柏は基本的には丁寧なビルドアップとショートパスをつなぐ攻撃的なスタイルを持ち味とするが、“ネルシーニョイズム”が隅々まで浸透したチームは、時間帯、点差、ゲームの流れ、相手の出方などにより、自らの戦い方を臨機応変に変え、術中にはめてしまう“したたかさ”にこそ本来の強みがある。FUJI XEROX SUPER CUPとJ1第9節でのF東京戦は、まさにそれを象徴する2試合となった。ボールポゼッションに長けるF東京に対して強固な守備ブロックで応戦し、そこからレアンドロ ドミンゲス、ジョルジ ワグネルを起点にしたカウンターやセットプレーでゴールを陥れたのである。
「F東京のイメージは変わらない。ビルドアップをしながら、縦パスを入れて2人、3人が連動してくる。縦に入れられた時にどう対応するか。そこで奪えれば、攻撃に人数をかけてくるチームだから、カウンターからチャンスを作れる」(大谷秀和)。こうして選手の話を聞く限りでは、おそらくシーズン3度目となる今回の対戦も試合のイメージに変わりはない。前節の新潟戦こそ、相手のブロックの前にスペースを見出せなかったが、第18節清水戦、第19節C大阪戦、そしてヤマザキナビスコカップ準々決勝G大阪戦のホーム・アウェイとも、スペースを得て素早い攻撃を仕掛けた4試合では計14得点と攻撃陣が爆発傾向にある。また、新加入のネット バイアーノの登録が完了し、今節から起用できることになった。もちろん先発は、現在得点ランキング2位に名を連ねる工藤壮人が濃厚だが、流れを変えたい時の切り札として、水野晃樹、田中順也に加え、ネット バイアーノが控えるのは大きく、これまでなかった攻撃のオプションを柏にもたらすに違いない。
対するF東京にすれば、同じ相手に3度も敗れるわけにはいかないだろう。自陣に籠り、陣形をリトリートしてスペースを消しさえすれば、スピーディーな柏の攻撃力を半減させることができるとはいえ、F東京がそれをやってくるとは到底思えない。リーグ戦では3試合白星から見放されているが、前節浦和戦の後半に見せた敵陣でボールを動かしながら攻撃を構築していく鮮やかなパスワーク、そして水曜に行われたヤマザキナビスコカップの仙台戦での勝利には、現在のリーグ戦10位という位置には見合わないクオリティが存在していた。
第9節の対戦ではF東京がポゼッションでは上回るも、それはアタッキングサードから自陣寄りのエリアでのボール回しがほとんどで、最後の部分での攻撃のアイデア不足は否めなかった。実際にシュートが少なく、決定機はほぼ皆無と言っていい。したがってF東京は攻撃陣に高い能力を持つタレントを擁するチームだが、柏が敷く守備網の前のエリアではなく、その裏へ飛び出して勝負ができる石川直宏の存在が鍵を握ると思われる。しかも柏は今節、左サイドバックの橋本和が出場停止。那須大亮の出場も微妙なことから、柏の左サイドとF東京の右サイドの攻防が戦況を左右する可能性は高い。
当然柏も左サイドの対応に関しては十分な対策を練っているはず。それにネルシーニョ監督も、シーズン3度目の対戦となれば相手の特徴なども熟知していることだろう。百戦錬磨の策士は、誰も予想しない周到な戦略を練り、この一戦に臨むかもしれない。
以上
2012.08.10 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
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