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【J2:第27節 水戸 vs 山形】レポート:山形に圧倒されながらも、土壇場で勝点1をもぎ取った水戸。塩谷との約束を守るために必要なスタンスを手に入れた(12.08.06)

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試合前、バックスタンドに陣取るサポーターが「塩谷コール」を行うと、メインスタンドのサポーターからも大きな拍手が贈られた。最初、バックスタンドに向けて手を上げて応えていた塩谷司だが、驚いた表情でメインスタンドに振り向き、再び手を上げた。「恥ずかしかったですね。でも、うれしかったです」とはにかんだ塩谷。広島への完全移籍が決まり、これが水戸でのラストゲーム。「このメンバーで試合をするのは最後なんだな」という寂しい気持ちと「絶対に勝つ」という闘志を胸に秘め、戦いに挑んだ。

序盤は水戸のペースであった。4分にプロ初先発を飾った三島康平のポストプレーから抜け出した岡本達也がシュートを放つが、ゴール左へ。1分後には今度は右サイドで三島からのボールを受けた岡本が中央に折り返し。走り込んだ橋本晃司がフリーでシュートを放つも、ゴール上に外れてしまう。それでも攻め手を緩めなかった水戸が「3度目の正直」を実現させる。中盤で塩谷がインターセプトすると、素早く橋本に縦パスを入れる。橋本がダイレクトで中央にはたくと、岡本がスルーし、三島へ。三島は落ち着いて、ペナルティエリア内に走り込んだ小澤司へパスを送る。そして、小澤はDFに挟まれながらもGKの動きを見極めて、冷静にゴールに流し込み、先制点をあげる。水戸が最高のスタートを切ったかと思われた。

だが、そこから「終始山形ペースで進んだ」(柱谷哲二監督)。ここまで上位に君臨するチームの力はさすがであった。「自分たちが落ち着いて、ボールをコントロールする作業が多くなってきました」と奥野僚右監督が語ったように、テンポのいいパスワークで水戸のプレスをかいくぐり、チャンスを作り出していった。特にビルドアップの際のパスの出し手の多さと精度の高さには驚かされた。サイドバックから質の高いクサビのボールが入るために、水戸はなかなかボールの取りどころを定めることができず、押し込まれる展開を強いられた。サイドバックに厳しく行こうとすると、今度はアンカーの宮阪政樹がフリーとなり、ボールを動かす。山形の変幻自在のビルドアップに水戸は苦しめられた。

そして、水戸の体力は奪われ、プレスの精度も落ちていく。45分に左右に揺さぶられ、最後は左サイドからのクロスを永田亮太に頭で合わされ、同点に追い付かれてしまう。後半に入っても、流れは変わらなかった。山形のパスワークに翻弄され、75分に再びサイドから押し込まれて、逆転ゴールを許してしまった。
水戸がここまで何もできなかった試合は珍しい。前節栃木戦のように守備を固める相手をこじ開けられないことはあったが、この試合のように中盤の主導権争いで敗れ、ほとんどの時間を支配された試合はほとんどなかった。力の差を痛感させられながら、試合は終盤を迎えた。
だが、それでも水戸は、最後までファイティングポーズを崩さなかった。特別指定選手の山村佑樹を投入して、中盤をダイヤモンド型に変更。なんとか主導権を握り返そうとした。手薄になった守備の隙を突かれて、山形にカウンターを食らう場面があったものの、塩谷を中心に耐え抜き、最後まで山形ゴールを目指して戦った。
そして、90+1分、右サイドからのクロスをゴール前で三島が相手DFに競り勝ち、ヘディングシュート。大学以来のフル出場を果たした三島は、この時間帯はすでに「バテていた」と言うが、最後の気力を振り絞って相手と競り合い、空中戦で勝利したのだ。しかし、ボールはGKの正面へ。万事休したと思われた。だが、勝負は最後までわからないもの。GKの前でボールがイレギュラーし、まさかのファンブル。そして、こぼれたボールをゴール前に走り込んでいた山村が押し込んで、土壇場で試合を振り出しに戻したのだ。

その後、両者とも勝点3を目指して攻め合うものの、試合は終了。勝点1を分け合った。
山形はこれで7位に落ちてしまった。目標のJ1昇格を見据えるならば、悔やまれるドローであった。しかし、「攻撃の崩しの部分が非常によくなってきた印象」と奥野監督が手ごたえを口にしたように、チームとしての進化を示すことはできた。内容の向上なくして、目標の達成はあり得ない。なかなか勝ち切れない試合が続くが、もうすぐトップギアに入るであろうことを予感させるゲーム内容であった。
塩谷を最高の形で送りだすことができなかった水戸。引き分けに終わったことは悔やまれるが、「山形は強かった。よく引き分けに持ち込めたなと思います」という塩谷の言葉通り、勝点1で納得しなければならない試合展開であった。今後のさらなるレベルアップの必要性を感じさせられたのと同時に、力の差はあれども最後まで勝負を諦めなければ何が起こるかわからないということも教えられた90分であった。
J2プレーオフ圏内の6位とは勝点12差に開き、非常に厳しい状況となった。しかし、「僕は諦めていない」と指揮官の視線にブレはなく、チーム内で下を向いている者も誰もいない。
「J1で会いましょう」。塩谷と交わした約束を守るためにも、水戸は最後の最後まで諦めずに戦い続ける。

以上

2012.08.06 Reported by 佐藤拓也
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