試合前の早い時間から、そして試合中もヒートアップして応援していた両チームのサポーターが、試合終了を告げる笛の音を聞くとシーンと静まり返った。点が入りそうで入らなかった。勝てそうで勝てなかった。そんな無念の思いや残念な気持ちが静寂を作ったのかもしれない。だが、少しの間があってから栃木サポーターが選手にコールを送ったのに対して、千葉サポーターからはコールがなかったのは、スコアレスドローという結果の受け止め方や落胆ぶりの度合いの違いだったのではないだろうか。
ミックスゾーンに来た両チームの選手たちの表情にも違いがあった。もちろん悔しさはにじませながらではあるが、栃木は「やりきった」という清々しさや晴れ晴れとした感じの選手が多かった。だが、千葉はまるで敗戦後のような、うつむき加減の渋い表情や厳しい表情の選手が多かった。引き分けにも関わらず「典型的な負けゲームのパターン」と話したのは千葉のGK櫛野亮だが、千葉は攻守ともにミスで求めた形から遠のいていた。
序盤からボールを保持し、左のサイドハーフのMF兵働昭弘、サイドバックのDF武田英二郎の突破からチャンスを作り、サイドチェンジで右からも仕掛けを見せた千葉。だが、千葉の選手の自由を奪おうとする栃木の前からプレス、そしてゴール前の堅い守備網もあり、18分のFW深井正樹のシュートまで決定機を作れなかった。一方、栃木もボールを奪っても千葉が攻撃のスピードを上げさせないように意識した守備をすることもあり、一気にゴール前まで攻め込む形をなかなか作れない。栃木の最初の決定機は21分、CKのこぼれ球をつないでの攻めでのDF赤井秀行の強烈なミドルシュートだった。
だが、いくら千葉が栃木のカウンター攻撃を封じにかかっても、攻撃時に中盤で不用意にボールを奪われていたら何もならない。また、サイドを突いてもクロスが味方に合うことが少なく、素晴らしい対応を見せたDF大和田真史をはじめとした栃木守備陣の守備範囲内が多かった。それでも、後半には前半よりも得点チャンスが増えたが、63分の深井の利き足とは逆の右足のシュートはクロスバーに当たって外れ、交代出場のFW藤田祥史の81分のシュートは栃木のMF小野寺達也がブロック。87分には交代出場のMF米倉恒貴がターンでDFをかわしてシュートを打ったが、栃木のGK武田博行にセーブされた。
後半は守備網に綻びが出て千葉に複数の決定機を作られた栃木だが、「相手にプレッシャーをかけて、GKが予測しやすいシュートコースにする」(大和田)などの体を張った守備で無失点に抑えきった。その一方で、カウンター攻撃から68分にはFWサビア、82分にはFW廣瀬浩二が決定的なシュートを打つも櫛野の好守に阻まれ、連勝は6でストップ。守備は結果を出しただけに、数は互角も得点への近さという内容では千葉を上回った決定機を1つでもモノにして、攻撃でも結果を出して勝ちきりたかった。
千葉は前節に続いてスタメンのFWリカルド ロボには、昨季のフクアリでの2ゴールのような「そこでこんなシュートを打つのか」という意外性と迫力のあるプレーがなかった。何とか最後まで崩しきろうとする千葉の攻撃の仕方に染まってしまったかのように、持ちこみ過ぎて栃木の選手にブロックされ、シュートを打てない場面もあった。堅守の相手にこそ意外性のある攻撃が必要だった千葉だが、結局、最後まで攻撃の形もリズムも変化が乏しいまま。変化を追求し、それを身につけなければ、『1点』に泣く試合は多くなる。
以上
2012.08.06 Reported by 赤沼圭子
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