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【J2:第27節 東京V vs 富山】レポート:「おかえり、コウセイ!」盟友・飯尾の復帰歓迎弾で東京Vが阿部、西不在のピンチを乗り切る。富山は消化不良の内容で無勝利記録11に(12.08.06)

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「勝ちたい気持ちが、チーム全体にとても強く感じられました。僕も同じ気持ちでした」
約1年半ぶりに戻った東京Vでの初先発で、柴崎晃誠が新しいチームにまず最初に感じたのが、高い“勝利意欲”だったという。そして、古巣での久々の90分間は「楽しかったです」と、うれしそうに笑った。

FW阿部拓馬の出場停止、MF西紀寛の負傷離脱と、今節の東京Vは直接点を取れる攻撃の主柱を2人も欠いて臨まなけれいけなかったため、「キツいなとは思っていた。誰が点を取るの?というところで、誰でもいいからとにかくみんなでやっていこうという話をして試合に入りました」(飯尾一慶)。そんな危機感高まるチームにとって、直接点を量産するポジションではないとはいえ、新戦力の存在は非常に心強かったに違いない。おそらく、柴崎晃の復帰を喜んでいるサポーターたちも、「誰が、どうやって点を取る?」の懸念と同時に、「コウセイが入ってどんな風になる?」という、目に見えた変化を期待していただろう。そして、新・背番号『7』は初陣で早くもその役割を示せていたのではないだろうか。

ここまで機能していた和田拓也と中後雅喜、もしくは梶川諒太の2ボランチに加え、柴崎晃が加入したことで、この週の練習では3ボランチも試しており、スタートのシステムが注目点の1つだったが、「僕が最初から真ん中にいるとそこで潰されちゃう可能性もあったから、サイドから入っていった方がいいということになったんだと思う(飯尾)」と、川勝監督が選んだのはこれまで通りの2ボランチ(和田、柴崎晃)、両ワイドに飯尾、中後という中盤形成だった。その意図を、指揮官は「ドイスボランチ(2ボランチ)だけど、中後はボールを持つときに中に入って、ワイドからボランチの位置に行っても構わない。張ったり中に入ったりを繰り返してほしい。その分(森)勇介を上げるので、サイドを使いたい。そして(和田)拓也は少しアンカーというか、下がったりもしくはサイドに出たりという感じ」だと説明した。
実際、その狙いは効果てき面だった。「中後くんの斜めの侵入なんかで、木村(勝太)が前に行くんじゃなくて逆に後ろで時間を費やされてしまったのは、前に行きたいチームにとって、推進力に欠けたのかなと思います」と、安間貴義監督は敗因の一つにも挙げている。

ピッチコンディションの影響で足を取られながらも、自分たちから前に仕掛けていきたい富山を後手に回らせ、徐々に持ち前のポゼッションサッカーが出来はじめてくると前半23分、試合が動いた。
この日、待望のJ初先発となった南秀仁と中後の、ペナルティエリア直前での連携が惜しくもズレてしまいボールがルーズになったところを、和田が素早く反応して再び攻撃態勢へ。勢いのまま右サイドへと流れ、キープしているところをサイドバックから森勇介が駆け上がって相手DF2人をつり、見事に開いたスペースからゴール前に走り込んでいた巻誠一郎へ向けクロスを入れた。が、「地面を蹴ってしまって…」と、和田はキックミス。しかし、逆にこれが好転し、ペナルティエリア左中央にいた飯尾へのナイスクロスとなる。右足で、しっかり抑えて「思いっきり打ったら入りました」。ここまでチームをプレーで、言葉で引っ張ってきたヴェルディの生え抜きが、最大の窮地ともいえる一戦を勝利に導いた。

後半は、守備が奮闘した。南同様、この試合が東京Vでの初先発になる刀根亮輔は特に気合が入っていた。前半から時には積極的に前に出て攻撃の起点となる場面もみられ、貢献度は高かった。だが、後半19分に足をつり無念の交代となると、和田が「人生初」という急造センターバックへ。富山は、後半からアグレッシブさを取り戻し、積極的なサッカーができはじめており、さらに苔口卓也、黒部光昭と次々と速くて上手い選手を投入して何度かビッグチャンスを作った。さらに、最後は188cmのDF福田俊介を最前線に入れるオプションを使い、パワープレーで1点を目指したが、これらを東京Vの守備陣、さらには巻も福田対策としてセンターバックに入り、必死でしのぎ切った。

「飯尾サマサマです」。川崎Fへの移籍話を相談していたほど、以前から公私ともにおいて慕う先輩・飯尾がもたらしてくれた“初陣白星”に、柴崎晃は「自分が入って負けなくてよかった」と、安堵と喜びの表情を浮かべた。さらに、試合後のミックスゾーンの雰囲気も、選手同士の会話が多く非常に活気あるものだった。そうしたところに、チーム状況の良さがははっきりと物語られているのではないだろうか。次節は、エース阿部が戻る。これからの東京Vの進化が楽しみだ。

一方、富山はクラブワーストとなる11戦無勝利という結果となった。本来であれば、ソ・ヨンドクとの2つの攻撃の起点となるはずだった山瀬幸宏が、試合前のアップ中に負傷し欠場するというアクシデントがあったとはいえ、特に前半は「なんだか、様子を見ているようになってしまった」と、福田は悔しそうに振り返る。「ウチは、自分たちから仕掛けていって、ボールを奪ってリズムを作るのがスタイル。ここ最近はそういう戦い方ができていたのに、ボールを持たれるとわかっていたヴェルディ相手だったからか、なぜか積極的に持ちに行けなかった」(福田)。
さらに、主将・足助翔は、「やられることもできなかったって感じです」と、落胆の色を隠さなかった。「全力でぶつかっていって、やられる分には良いと思うんですよ。精一杯やったんだから。でも、その手応えすら感じられないまま終わってしまった。不完全燃焼という感じで、たまらなく悔しい」。結果はもちろんだが、“自分たちの力をまったく発揮できなかった”ことに一番の歯がゆさを感じていた。
後半は一変し、チャンスを作れたこと。また、前半も失点シーン以外はほとんどピンチらしいピンチを作られなかったからこそ、前半の戦い方、そしてあの1失点が悔やまれるのではないだろうか。だが、それについて福田は語る。「あの失点も、(和田のキックミスが)たまたま不運な結果になったとはいえ、その前で触れたかもしれないし、もっと細かく言えば、GKもシュートを予想していたら止められたかもしれない。その前でそれぞれがあと1歩ずつ詰められていたら、クロスも上げられなかったかもしれないし、その前の場面でマイボールにできていたかもしれない。すべて、そういう“あと一歩”の甘さが、この結果を招いている」。そして、続けた。「うちは、毎回『あれがなければ』という失点を繰り返してしまている。そこを修正していかないことには、現状は変えられない」。すべてをすぐに変えることは難しいだろうが、自分たちで気づいたやれることを、やるべきことから1つずつ変えていくことが現状を打開する最善策ではないだろうか。
「現実的なところで、たとえ相手が東京Vだろうとどこだろうと、『相手が○○だから』なんて言っていられません。これからも、全ての試合で勝点3を狙って、最悪でも引き分けで勝点1というふうな戦い方をしていかないと、本当に厳しい」。なんとか、現状から立て直して、いまの状態を最後に『良い経験になった』と言えるようにしたい」プロ生活を東京Vでスタートし、富山の主将を任されるまでに成長した足助は、東京V在籍時よりはるかに大人びた表情と言葉で、富山のJ2残留のために献身することを誓った。

以上

2012.08.06 Reported by 上岡真里江
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