8月最初のJ1リーグ戦となった第20節、16位C大阪と18位札幌の、今季苦戦を強いられているチーム同士の対決は、C大阪が4−0と大勝。第13節名古屋戦以来、7試合ぶりの白星を勝ち取っただけでなく、ホームゲームでは第8節磐田戦以来の勝利となり、王手をかけてから約3カ月で、ようやくJ1ホーム通算100勝を達成。順位も14位に浮上し、ひとまずJ2降格圏内からの脱出に成功した。一方の札幌は、今季初の連勝ならず。第18節磐田戦に続きアウェイで4失点での大敗を喫した。
長いトンネルから抜け出したC大阪。勝因にあげられるのは、試合前から至るところで見えた、選手、スタッフ、クラブ、サポーターの、この一戦に懸ける想い、そしてチームの一体感だ。「選手だけでなく、チームスタッフとか、そういうみんながひとつになって、今年一番のビッグゲームということも言っていたし、みんながひとつになっていい準備も1週間できた」と試合後に述べたのは、殊勲の先制弾を決めた村田和哉。前節では柏に大敗し、今季ワーストの16位まで落ちた桜色のチームは、それぞれが危機感を持って、この8月の大事な戦いへ臨んだ。
まずクラブは、先月7月下旬に、緊急補強を敢行。清水から枝村匠馬、イタリア・セリエAのローマからシンプリシオを獲得した。前節、途中出場で初めてC大阪の一員としてプレーした枝村は、今回の札幌戦で初先発。また、今週選手登録が完了したばかりのシンプリシオも、チームの苦況を打破すべく、今節いきなりスターティングメンバーに名を連ねた。
また、チームもアクションを起こした。今週は「試合に集中するため」(セルジオ ソアレス監督)ということで、極めて異例の試合2日前からの『前々泊』を選手、スタッフ全員で行った。そして、先発の陣容も様変わりし、これまで先発を続けていた前線の柱であるケンペスが、出場停止明けのこの試合では、ブランキーニョとともにベンチからのスタート。2トップは「柏戦でゴールを決めていた」播戸竜二と、今季J1で前節までに4得点をマークしている柿谷曜一朗が並んだ。そして、センターバックの一角には、累積警告による出場停止の藤本康太に代わって、プロ2年目の金聖基がJ1初先発を果たした。
試合前のスタジアムでは、C大阪のサポーターが動いた。「セレッソを愛する全ての人の気持ちをひとつにして、この苦況を乗り越えよう! さあ行こうぜ俺たちの大阪!」という横断幕を作成し、そこにサポーターの想いを寄せ書き。『セレッソ愛』を形で表現し、J1残留争いからの脱出を願うメッセージであふれていた。さらには、この日、ゲームキャプテンを務めた茂庭照幸から、試合前には、C大阪サポーターを代表してコールリーダーに、キャプテンマークにメッセージを書き込んでほしいと要望があり、実際に茂庭の左腕には、「共にこの苦境を乗り越えよう」というサポーターのメッセージ( /jsgoal_archive/photo/detail.php?photo_code=00099094 )が託された。
実際の試合では、序盤こそセルジオ ソアレス監督も言うように、「固さ、緊張感が非常にある前半だった」C大阪。しかし、ピンチを相手のシュートミスや、GKキム ジンヒョンの好守などでしのぐと、37分には「今週の練習でやっていたところを、しっかり出せた」(シンプリシオ)という、相手ボールを奪ってからのショートカウンターで先制点を記録。新戦力の枝村、シンプリシオとつなぎ、最後は村田が右足で今季初得点を決めた。
すると、1−0で迎えた後半は、C大阪の一方的な展開になる。54分にカウンターから柿谷が技ありシュートを決めれば、68分には酒本憲幸のFKから、途中出場のケンペスがヘッドで7戦ぶりの得点をあげる。87分に柿谷の突破から得たPKをケンペスが外すというシーンもあったが、終了間際には再度ハイプレスをきっかけとしたショートカウンターから、舩津徹也のクロスを受けたケンペスが、落ちついてゴールに流し込み、この日2得点目を獲得。守備陣も7戦ぶりの完封を達成。8月緒戦はC大阪にとって最高の形となった。
「勝ったことが本当に大事なこと」と開口一番述べたのは、Jの舞台で初お披露目となり、抜群のゲームメイクで勝利に貢献したC大阪MFシンプリシオ。ただし、「ここで決して満足することなく、これだけの(大きな)応援をしてくださっているサポーターの皆さんに満足してもらえるよう、彼らに報いるためにも、もっともっとここで満足することなく結果を求めていきたい」と、4日後に迫ったヤマザキナビスコカップ準々決勝第2戦、そして、1週間後のG大阪との大阪ダービーといった、これから続く大事な連戦に向けて、気を引き締めていた。
逆に、前節名古屋を倒し、これから勢いに乗っていきたかった札幌にとっては、悔しい試合となった。テレ、金載桓、ジェイド ノースが欠場する厳しい台所事情とはいえ、前半には古田寛幸、大島秀夫らに好機があったが活かせず。度重なるショートカウンターを受け、失点を重ねた。「取れるときに取れないと、こういう形になってしまう。本当に残念なゲーム」と悔やんだのは石崎信弘監督。これで札幌は今季17敗目。ますます厳しい状況に追い込まれた。
以上
2012.08.05 Reported by 前田敏勝
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