本文へ移動

今日の試合速報

国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋
国立競技場に10,000名様無料ご招待 9/14 19:00KO 国立競技場 FC東京vs名古屋

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第20節 名古屋 vs 神戸】レポート:“FW”闘莉王が4得点の大立ち回り。久々の瑞穂で5得点の名古屋が神戸に完勝、順位も一気に5位へと浮上(12.08.05)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
まったくもって、田中マルクス闘莉王という選手の実力は計り知れない。DFとして破格の攻撃力を誇る男はこのところのチーム事情からFWで起用されているが、神戸を迎えてのホームゲームで何と4得点の大立ち回り。奇しくも同時刻、はるかイングランドでは永井謙佑がオリンピック代表を4強に導く活躍を見せていたが、インパクトでいえば闘莉王のゴールラッシュも負けてはいない。前線で絶大なる存在感を見せた背番号4のストライカーにけん引されるように、名古屋は神戸を一蹴。前節、最下位の札幌相手に喫した敗戦のショックを払拭してあまりある圧勝劇を完成させた。

闘莉王の大爆発は様々な好循環の賜物だが、スタメンの顔ぶれもそのひとつだ。7月25日のヤマザキナビスコカップで負傷し、全治3週間と診断されていたダニルソンが驚異の早期復帰を果たした。確かにこの週のトレーニングには復帰していたが、神戸戦での復帰は本人もクエスチョンマークだっただけに、サプライズともいえるもの。これで田口泰士が1つポジションを上げ、小川佳純が得意の前線サイドで起用されたことで、チームはバランスとしても攻撃力としても向上。それは、いきなりの先制点を見るに明らかだった。

神戸の西野朗監督が「あれがすべてだった」と悔やんだ開始2分での一撃は、流れるような攻撃から生まれた。左サイドバックの阿部翔平のロングフィードを田口がフリーランで引き出し、ワンタッチで闘莉王に落とす。闘莉王はゴールへの意識を見せつつ右サイドの小川へ流し、ファーサイドへ。小川が落ち着いてクロスを闘莉王に合わせるまで、神戸の選手たちは一度もボールホルダーへ寄せることができなかった。そして169cmの奥井諒とのミスマッチを悠々と制した闘莉王が豪快にヘディングシュートを沈めたことで、試合そのものが名古屋へと傾いていく。

ほぼ試合開始からビハインドを背負ったような形になった神戸は、当然のごとく反撃に出た。野沢拓也や田中英雄を中心にパスを回し、小川慶治朗のスピードと都倉賢の高さを織り交ぜる。両サイドバックは高い位置を取り、相手陣でのポゼッションからチャンスを窺った。だが時に4−2−4のようなフォーメーションに見えるほどに神戸は攻勢に出るも、なかなかシュートに持ち込むことができない。それには名古屋DF陣の頑張りももちろんあったのだが、神戸の敵陣での高いポゼッション率は、実は名古屋の仕掛けた罠でもあった。

25分、敵陣に踏み入ろうとするサイドでの縦パスを、金崎夢生が鋭くインターセプトしカウンターを仕掛けた。前がかりになっていた神戸の選手たちは完全にノッキングし、金崎、藤本淳吾、闘莉王、小川の4人で仕掛けたショートカウンターに対応したのはセンターバックの2人だけ。闘莉王と藤本をオトリに左サイドの小川へとパスは渡り、冷静に左足のシュートをゴール右隅へ流し込んだ。「今日はちょっと低い位置からディフェンスをしてカウンターを狙っていた」と藤本は語ったが、まさしく狙い通りの展開だった。

その後は闘莉王のゴールショーが“開演”。38分、相手のパスミスを拾った闘莉王がシンプルに右サイドにいた藤本へ展開。ドリブルの後のリターンパスを受けると、周囲のDF陣をものともせずにワントラップから左足を振り抜き2点目。後半に突入しても勢いは止まらず、開始早々の50分にまたもショートカウンターから金崎のシュートのこぼれ球を拾い、飛びこんでくるGKの鼻先を浮かしたループシュートでハットトリックを達成してみせた。さらには終了間際の88分にも、田口のクロスを中央で胸トラップし、DFを引きずりながらも流し込んで驚きの4点目をゲット。FWとして起用されてはいるものの、DFの選手の4得点は規格外の記録である。試合は最後に神戸の小川がゴールを決めて一矢を報いたが、5−1という圧倒的なスコアで名古屋が勝利。順位も5位にジャンプアップするなど、良いことづくめのホームゲームとなった。

この試合を分けたのはどこかといえば、チームのバランスの差であったと考えられる。ビハインドを取り返すべく総攻撃に出た神戸は守備をおろそかにしすぎた。ショートカウンターからの3失点がそれを如実に物語っている。逆に名古屋は攻守のバランスが絶妙で、ややセーフティ気味のゲームコントロールを意識していたことも、余計にプラスに働いた。「常にパスコースがどこかしら空いていた。守備もチグハグしていた」と名古屋の阿部が話したように、神戸は守備組織自体が機能不全に陥っていたところも否めない。それは西野監督も「少しずつできていたボールを保持して戦うこと。粘り強くバランスを崩さず戦うということが、今日は通用しなかった」と完敗を認めたことからも推測できる。

勝利の立役者・闘莉王は「自分はFWじゃないですよ(笑)」と謙遜したが、そのハイレベルなプレーはFW顔負けどころかもはや本職のストライカーといってもいいほど。ケネディの復帰時期が見えないいま、闘莉王をセンターフォワードに据えるこのシステムが大成功を収めた今回の結果はチームにとっても非常に大きいものだ。次週は週半ばのヤマザキナビスコカップと週末のリーグ戦の両方を清水と戦う、非常に珍しく難しい日程が待っている。同じ相手と4日間で2度対戦する上で、戦術的オプションの豊富さはアドバンテージとなるが、いよいよ実戦配備された“FW闘莉王”はその最たるものとなりそうだ。

以上

2012.08.05 Reported by 今井雄一朗
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/08/05(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田J2リーグ全ゴールまとめ【0803-0804】