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【J2:第27節 東京V vs 富山】プレビュー:11試合ぶりの勝利を目指す富山を相手に、東京Vはエース阿部・西が不在。新加入・柴崎晃は救世主となるか?(12.08.05)

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前節・甲府との1、2位直接対決に敗れ、東京Vはまたしても首位の座を明け渡した。結果、再び首位・甲府(勝点50)から7位・京都(勝点46)までが勝点差4の中で凌ぎを削る大混戦となり今節を迎える。現時点での順位に関しては、週替わりで入れ替わるため、さほど気にする必要はないかもしれないが、勝点差だけは絶対に他に離されるわけにはいかない。前節黒星を喫し、勝点を積み上げられていないだけに、連敗だけはなんとしても避けなければならない。

必勝課せられる今節だが、東京Vは満身創痍と言わざるを得ない。「一番厳しい戦いになるかもしれない」と、巻誠一郎が覚悟を決めるのは、離脱中のDF土屋征夫に加え、これまでメンタル面でもプレー面でも核としてチームを牽引してきた西紀寛の故障離脱がほぼ確実。さらに今節は、絶対的なエース阿部拓馬が出場停止と、DF、MF、FWすべての“要”を欠いて臨まなくてはならないからである。「本当にいっぱいいっぱい。みんな、ギリギリのところでやってるんです」とは、前節試合終了後の巻の言葉だが、今節も全員が精魂尽き果てるほどの厳しい試合が待っていそうだ。ある意味、本当の意味で“チームの真価”が試される一戦となるのではないだろうか。

そんな中、救世主とも言うべく存在が現れた。柴崎晃誠だ。2010年まで東京Vに在籍し、川勝良一監督のサッカーの心臓として同監督、チームメイトから全幅の信頼を得ていた名ボランチが、2年ぶりに東京Vに帰ってきたのである。「やっぱり上手い!」(和田拓也)、「やっぱ晃誠イイわ〜」(飯尾一慶)早速、チームメイトたちから賛辞のことばが相次いでいる。
柴崎晃の獲得が決まった時点で、川勝監督は「上手くいけば、新しいシステムも試そうかなとも考えている」と語っていたが、早くもその考えを実行する可能性は十分ありそうだ。コンディション、フィット感、プレーの質など、合流間もない柴崎晃の現状次第という部分もあったが、「相変わらず上手い。元々うちにいた選手だから、(チームに)合わせるのもそんなに問題ない」と、指揮官もいきなりの先発起用にGoサインを出している。となると、好調の和田、出場停止が明ける中後雅喜、梶川諒太と、タレント豊富なボランチの枚数を増やすことは得策と言えよう。アンカーに和田を据え、前に中後と柴崎晃を並べ、トップ下に飯尾という、ダイアモンド型の中盤が最有力とみられる。「まだオプションの段階」だと川勝監督も話すが、非公開で行われた紅白戦、前日練習の出来次第では、新システムからのスタートも十分有り得るだろう。

もう1つ期待したいのが、フレッシュなメンバーのアピールである。DFでは刀根亮輔、FWには南秀仁の先発起用が予想される。刀根は前々節、前節と出場しており、戦力として機能することを証明している。そのパフォーマンスに「刀根、いいよ」と、森勇介も太鼓判を押す。「バウルさん(土屋征夫)が帰ってきても、なんとか試合に出られるようになりたい」との思いは強いだけに、必死のアピールを続ける。
そして、最も注目したいのが南だ。第15節以来出場機会がなかっただけに、サブメンバー入りしていたここ2試合は特に出番を渇望してきた。そして、ついにその機会が訪れそうである。プロ入り初の先発出場にも、決して臆するタイプの選手ではない。「シュートセンスは元々持っている。ギラギラしたものが伝わってきているし、だんだん良くなっている」と、川勝監督もポテンシャルの高さを認めつつも、一方で「(起用は)他の選手と比べてまだマシだから。消去法に近い感じだと、本人にも言った」と、厳しく手綱を引き締めたようである。南も「(先発は)まだわからないです。試合前日の練習まで気を抜かなければチャンスがあるかもしれない」と、あくまで慎重な姿勢を崩していないが、「出られたら、点をとることしか考えてないです」と、力強い目で言い切る。二種登録時代のJデビュー戦で、いきいなりプロ初ゴールを決めた“本番に強い男”の強運に、大いに期待している。

「東京VでJ1昇格を果たしたくて戻ってきました。チームからその緊張感も伝わってきますし、その中で、競争意識を持ってやっていきたいと思います」と、柴崎晃が語れば、飯尾も「良い順位をキープし続けて、西くんが帰ってきた時に『さぁ、ここから!』と、優勝争いできる状態になっていることを西くんも願っていると思う」と語るなど、徐々にチーム全体が本格的に昇格争いを意識し始めた雰囲気が漂い始めている。再び柴崎晃が加わった川勝ヴェルディが、どのように進化を遂げるのか。楽しみは大きい。

対する富山は、5月27日の第16節以来白星がなく、現在10戦未勝利中でクラブワースト記録に並んでいる。不名誉な記録を更新させないためにも、何としてもこの試合で勝点3を手にしたい。
ただ、7月に入ってからの5試合は4分1敗と、少しずつ勝点を積み重ねることはできているのも事実。安間貴義監督も「尻上がりに勝点は取れるようになってきている」と、手応えを口にしている。特に前節は、内容的にも「相手のストロングポイントを消しながら我慢強く対応し、チャンスがあれば仕掛け、残り30分でペースを上げることもできた」と、試合後の会見で安間監督が語った通り、自分たちが意図するサッカーができたことは、メンタル的にもサッカー的にも今節に大いにつながっているはずである。あとは、決定機を逃さず決める決定力だろう。一朝一夕で激変するほど簡単なことでもないだろうが、「分母であるチャンスを増やし、何度も何度も挑んでいきたい」(安間監督)繰り返し繰り返しゴールを目指す。

一方、守備面では、第16節以来10試合ぶりの無失点で前節を終えられているのは成長と捉えていいのではないだろうか。「相手のストロングポイントを消す」という意味では、東京Vのチームとしてのストロングポイントとも言える阿部、西の不在は間違いなく富山にとってはプラス材料と言えよう。また、東京Vの厳しい台所事情に比べ、富山はほぼベストメンバーだと言っていいだろう。全員で粘り強く守って、機を見て仕掛ける。柴崎晃、中後のところでボールが奪えるか。飯尾、巻、南、もっと言えば、展開によってアグレッシブにサイドを駆け上がってくる森にいかに仕事をさせないかが大きなポイントだろう。
「現在は1であっても勝点がほしい」指揮官の言葉を象徴するべく、今節も全員が最後まで全力で走りきる。

以上


2012.08.04 Reported by 上岡真里江
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