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【J2:第27節 北九州 vs 町田】プレビュー:本城では3年ぶりの再戦。足踏みの両チームが浮揚のきっかけをつかみ取りに行く。(12.08.05)

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1戦1戦が勝負であると同時に、それぞれはまた42分の1に過ぎない。そうであるとしても42戦の中には特別な意味を持つ試合がいくつかある。今節の北九州と町田の1戦。これもその一つに数えられるだろう。

意味を語れば、それはちょっとした歴史の紐解きになる。
いまから3年前の2009年11月29日、JFLのシーズン最終戦となる後期17節を北九州(当時・ニューウェーブ北九州)は本城陸上競技場で戦っていた。相手は、そう、町田ゼルビアだ。北九州は前週のアウェイ戦でJ2昇格圏内の順位を確定させており、いわば、凱旋と祝福の1戦だった。
一方で最終戦を前に町田は勝点わずか4差で北九州に及ばず昇格を逃していた。それでも…そして、北九州が昇格のムードの染まっていても、町田からも多くのサポーターが訪れ、1−1のドローに終わった試合に声援を送り続けた。

そして試合後。町田サポーターは手書きのダンマクを掲げ、J2へと旅立つ北九州にエールを送った。書かれていた文字は「おめでとう北九州! すぐ行くから待ってろよ」――。それから3年。町田もJ2昇格を果たし、5月にはJリーグの舞台で再戦が叶った。そして今週はいよいよ、町田サポーターが「すぐ行くから」と誓った本城で対戦する。
ともにJリーグでの歴史は浅く、しかし、当時を知る選手も少なくなってきたが、サポーターにとっては愛すべきチームであることに変わりない。双方がすんなりと昇格したわけではないし、1年目の苦しみも共通する。それだからこそ、「ようこそ」と「よろしく」が複雑な思いの中で絡み合う試合に、いっそうの気持ちを込めたい。

JFL最終戦で北九州のピッチに立ったのは、冨士祐樹、大島康明、関光博、川鍋良祐ら。関は町田市の出身でもあり、今節を前に「いつもとは変わらない」としながらも、当時については「覚えていますよ。大学の仲間、後輩もいるし、楽しみです」と話した。当時の関は左右のサイドハーフで出場していたが、現在は北九州のゲームメイクのカギを握る右のサイドバックで定位置を得る。ディフェンス面での不安はなくなり、戻りながらの守備もボールホルダーへのアプローチも力強い。平常心で臨むとする試合、関の守備からの活躍にも注目だ。

北九州は勝ちきれない試合が続いている。前週までアウェイ2連戦は、7月22日の第25節・徳島戦が先制しながらも85分に追いつかれて1−1、7月29日の第26節・湘南戦は後半立ち上がりに失点して0−1で敗戦を喫した。
浮き上がってきている課題は二つで、一つは試合の主導権も握れ、北九州らしいパスを最底辺からしっかりと繋ぐサッカーもできているが、シュートを打つタイミングやその精度がまだ追いついていないというフィニッシュ面。もう一つは後半の立ち上がりや終了間際などでの失点が相次いでいるという点だ。
失点面について守護神のGK佐藤優也は言葉を選ぶようにしながら「立ち上がりを意識しないチームはない。そこで取られているのはまだまだということ」と話す。今節は新井涼平、宮本亨が累積警告で出られず、新しい顔ぶれが並ぶことになる。危険な時間帯の失点を防ぐべく、佐藤の意識付けやリスク管理にも期待したい。

あと一歩の試合の連続に、三浦泰年監督は「日々の練習の中からメンタル面、タクティクス、フィジカル面、そういうところを意識してトレーニングをし続けていくことで、(点に)近づいていく。努力していくしかないと思う」と話している。ただ、前線にターゲットを置くようなサッカーをしないながらも、相手に応じたサッカーは次第にできるようになってきている。あと一歩が結実する日は近い。それが北九州として思い入れのある今節の試合になったとしても不思議ではなかろう。

町田も試行錯誤を続けながらも、目指すべきサッカーのスタイルにブレはない。前節・京都戦は1−2で負けてはしたものの、相手の得点チャンスに食い下がるハードワークと最後まで攻撃の手を緩めない姿勢が、簡単な相手ではないと思わせるに十分。前節も88分に追撃点を奪っており、その時間帯に失点の多い北九州にとっては警戒を怠ってはならないし、町田は90分を戦い続けることで勝機を見出せる。試合は北九州のポゼッションが上回る展開になるだろうが、内容は結果と異なることも多い。最後に勝るのは、選手も監督も口にする「意識」の微妙な差、ズレなのかもしれない。

あの日の町田サポーターのオマージュから3年。本城での再戦は、Jリーグサッカーの広がり、地域を超えた絆を感じるものとなる。8月の緒戦でもあり、浮揚のきっかけを掴む場、原点を見つめ直す場になれれば最高だ。

以上


2012.08.04 Reported by 上田真之介
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