１位甲府から６位山形までが勝点３差内にひしめき合う史上空前の大混戦となっている今季のJ2。そんな状況の中で首位チームに不思議な“魔法”がかけられている。

首位に立ったチームは勝てない。19節で山形が首位から陥落して以来、毎節ごとに首位が交代。８節連続で首位が入れ替わっているのだ。さらに首位クラブは11節連続で勝てていないという。今節首位甲府をホームに迎え撃つ草津は、各クラブで引き継がれてきた「バトン」を次へつなぐことができるのか。草津はJ2をさらなる混戦へと陥れるためにも勝たなければならない。

草津は前節敵地福岡戦で開幕戦以来の３ゴールを挙げて３−０と大勝した。小林竜樹の先制点、ヘベルチの追加点はいずれもエクセレントなゴールだったが、その２点の印象を薄れさせるような衝撃のゴールが後半36分に飛び出した。34分に途中出場でJデビューを果たした新ブラジル人アレックスラファエルが、ファーストシュートで約４０メートルのミドルをゴールへと運んだのだ。

相手GKの位置を確認しての技ありの一撃。アレックスラファエルのスーパーゴールは、中位追撃を狙う草津を勢いつける。今節も途中出場が濃厚なアレックスラファエルは「来日から１ヶ月、多くのサポーターに応援してもらったので感謝の気持ちをホーム戦のピッチで表現したい」と、名刺代わりのホーム初ゴールを狙う。草津は一丸となった守備で前半を凌いで、後半にアレックスラファエル投入の機会を待つことになる。

一方、首位甲府は、前節東京Vとの首位攻防戦を制して今季初の４連勝、首位へと躍り出た。18節で千葉に敗れてから８試合は６勝２分と負けなし。19ゴールでJ2得点ランク単独トップを走るダヴィを軸とした攻撃力を前面に出して首位固めに入る勢いだ。前節東京V戦は、永里源気、柏好文、石原克哉がゴールを決めるなどダヴィを前線に配置するシステムも視界良好。前節後、柏好文が「次の草津戦も勝って（首位が勝てないという）ジンクスを破りたい」とコメントしているが、チーム一丸となってジンクスを破りにくることだろう。

逆に草津は、J2を盛り上げるためにも甲府に勝点３を渡すわけにはいかない。最近１０試合を５勝３分２敗で乗り切り、じわじわと勝点を積み上げている草津だが、ホームでは６月２日の福岡戦以来、勝利を挙げていない。今季草津が挙げた８勝中、ホームでの勝利はわずかに２つ。今季平均観客３４８０人でリーグワースト５位となっている草津は、魅力あるサッカーでホーム戦勝利を飾りたい。副島監督は「ホームで勝ってチームの勢いをホンモノにしたい」と２カ月ぶりのホーム戦勝利に執念を燃やす。

前節福岡戦で今季初ゴールを決めた小林竜樹は、得点後、サポーターが陣取るゴール裏へ駆けつけ喜びを共有した。小林竜樹は「サポーターも僕らと一緒に戦ってくれているチームの一員。甲府戦でもゴールを決めてサポーターの元へ駆けつけたい」と２戦連発で甲府撃退を誓う。今季、低迷が続く草津だがホームで甲府の進撃を許すわけにはいかない。J2のジンクスを味方につける草津が、甲府を首位から引きずり下ろす。

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2012.08.04 Reported by 伊藤寿学