ロンドン五輪でＵ−２３日本代表が優勝候補筆頭のスペインを撃破し、日本中が歓喜に沸いた。あの大金星を挙げた先発メンバー１１人のうち、柏に所属していた選手は２人（酒井宏樹、大津祐樹）、そしてＣ大阪に縁のある選手は３人（清武弘嗣、山口螢、扇原貴宏）。そして今節のＪ１第１９節では彼らを輩出した柏とＣ大阪が激突する。もうこれはサッカーファンのみならず、日本中が注目していいカードである。

そんな強引すぎる前振りはさておき、柏もＣ大阪も、水曜日にはヤマザキナビスコカップ準々決勝第１戦を戦った。中２日で迎える夏場の試合は選手たちにとって相当ハードなものになるだろうが、裏を返せばそういったスケジュール面では両者イーブンの状態にあると言っていい。

柏は前節の清水戦では２点のビハインドを跳ね除け、後半アディショナルタイムに試合をひっくり返すという劇的な逆転勝利を収めた。そして先日のヤマザキナビスコカップのＧ大阪戦でも互角の攻防の末、３−１というスコアでしたたかに勝ち切っている。ハノーバーへ移籍した酒井の穴が懸念材料だったが、清水戦、Ｇ大阪戦とも那須大亮が右サイドバックに入り、ゴールにも絡むなど、後任はどうやら那須で目途が立ちそうだ。さらに今節はジョルジ ワグネルの出場停止が解け、再びスタメンに名を連ねる。

一方のＣ大阪はリーグ戦とヤマザキナビスコカップの鹿島２連戦をこなし、ともに１点差による敗戦を喫した。着目したいのはロンドン五輪でチームを離れた山口螢、扇原貴宏に代わり、横山知伸、黒木聖仁がボランチを務めたナビスコカップの方のゲームである。特に前半のパフォーマンスに関しては、セルジオ ソアレス監督も「山口螢、扇原貴宏のところに横山と黒木が入っていたので、いつもではやられないような形でやられてしまった部分は確かにあった」と山口、扇原の欠場の穴が決して小さくはないことを認めるコメントを残した。そして「これを修正するには練習しかない」と付け加えており、２日間という短い期間の中でどこまで中盤のディフェンス面が修正されているかに注目が集まる。

柏が誇る２人の外国籍選手、レアンドロ ドミンゲスとジョルジ ワグネルは、サイドに張り付くだけでなく、中央へ絞り、様々な手を駆使して攻撃を構築する。対戦相手としては非常にマークが掴みづらいのは言うまでもなく、実際にわずかなマーキングのズレを突いたレアンドロはＧ大阪戦でも中央から２ゴールを叩き出した。しかもトップ下の澤昌克も運動量が豊富で、ある時はオープンスペースに流れ、またある時は１トップを追い越す。Ｃ大阪にとっては、横山と黒木が澤、レアンドロ、ジョルジ、流動性の高い３人のマークをそれぞれのゾーン内で受け渡し、抑えることができるか。柏にとっては、Ｃ大阪の中盤の連動性に綻びを生み出すことができるか。これは今対戦の最大の焦点になりそうだ。

また、前回の第１２節の対戦では酒井のオーバーラップが２つのゴールに直結し、逆転勝利を呼び込んだ。だがその対戦時、Ｃ大阪は本来の左サイドバックである丸橋祐介を欠いていたため、その結果柏がサイドの主導権争いで上回ることができたとも取れる。その丸橋がスタメンで出場し、柏の右サイドバックは酒井ではなく那須、さらにＣ大阪の中盤右サイドには村田和哉が予想されており、柏の左サイドバックの橋本和は第１２節時には欠場と、中盤以外にもあらゆる局面で前回対戦とは異なるマッチアップが生まれることになる。

「セレッソのメンバーが替わるから、こちらが有利になるというのはないと思う。セレッソには“強い”というイメージしかない」。橋本はそう言って気を引き締める。現在５位、首位の広島との勝点差は６まで迫り、ようやく上昇気流に乗った柏。このまま勢いを落とさず、勝って上位にプレッシャーをかけ続けたいが、Ｃ大阪は一筋縄で行く相手ではない。

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2012.07.27 Reported by 鈴木潤