気象庁は7月26日に東北地方での梅雨明けを宣言した。夏本番となり、Jリーグが熱戦続きの中盤戦を迎えるとともに、選手達は蒸し暑さのなかで消耗との付き合い方が問われるようになる。ユアテックスタジアム仙台でJ1第19節に対戦する仙台と鳥栖は、ともに90分間走り抜く運動量を組織的なスタイルの中で生かすチーム。両者がこの時期にどのような試合運びを選択するのかが興味深い一戦だ。
日程でいえば25日にJリーグヤマザキナビスコカップを戦った仙台に対して、直近の公式戦(7月14日のJ1第18節)から二週間の準備期間を経た鳥栖の方が有利。しかし今節は仙台のホーム戦で、鳥栖は長距離移動を考慮する必要がある。4月4日のJリーグヤマザキナビスコカップでの対戦時には、悪天候による交通機関の乱れで鳥栖側が苦労したこともあった。両チームともまずは試合前のコンディショニングに細心の注意を払っている。
この一戦では、消耗とも関係する要素として、ある時には味方を走らせ、またある時には相手を振り回す中距離以上のパスに注目したい。一発で局面を打開するまっすぐで力強いパス、レーザービームにも似た威力を持つパスの使い手が、両チームの中盤には存在するからだ。
鳥栖は現在ボランチでレギュラーを務める藤田直之と岡本知剛からのパスを号砲とした速攻が大きな武器だ。藤田は脚ばかりかその両腕も強力なロングスローによる砲台となるが、流れの中では中盤の底からのパスで攻撃の始点となる。第9節の仙台戦では彼からのパスが前線の豊田陽平に通り、エースの同点ゴールを導いた。水沼宏太の右足、金民友の左足もシュートレンジが長く、遠目からでもフィニッシャーとなることが可能だ。前仙台で鳥栖に期限付き移籍中の高橋義希も中距離のパスや無回転シュートが得意なことは、仙台サポーターもよく知っている。
迎え撃つ仙台はこの鳥栖の中盤からのパスを寸断して攻撃につなげることが求められる。「最終ラインを不用意に下げてしまうなど課題が多かった。鳥栖戦では一発のパスで裏を取られないように注意します」と25日のJリーグヤマザキナビスコカップ・F東京戦からの守備の修正を誓った上で、渡辺広大は「逆にこちらがボールを持ったらうまくボールを動かして相手を消耗させたい」と、今季の仙台が取り組んでいる高いエリアでのボール回しで鳥栖に対抗することを展望した。
そのためには、仙台にも攻撃のリズムを作るパスが長短両方の距離で欠かせない。仙台は角田誠と富田晋伍を負傷で欠いていることもあり、現在は松下年宏と田村直也が中盤の底でコンビを組んでいる。この二人は深い位置から長めのパスを出してボールを動かすことが得意だ。松下はセットプレーでも鋭いパスを通せる選手であり、田村はF東京戦でも前線へのストレートなパスでチームの2点目を演出した。サイドバックでの起用も多かった田村だが「守備では予測をしっかりしてF東京戦のようなファウルをせず守り、攻撃ではボランチとして取り組んでいる勝負の縦パスを前向きに出していきたい」とボランチでの活躍に意欲を見せている。梁勇基のように強烈なミドルシュートを武器とする選手も合わせ、中・長距離でのパスを交えた攻撃の組み立てが見ものだ。
ショートパスの中に織り交ぜられたり、一本で長距離のカウンター攻撃をつないだり…そういった勝負どころでの「レーザービーム」がピッチ上で飛び交う様を、この一戦を観戦する方々は目に焼き付けてほしい。
以上
2012.07.27 Reported by 板垣晴朗
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