東海勢同士の対決となったヤマザキナビスコカップ準々決勝。第1戦は、リーグ戦で8試合勝利から遠ざかっている清水のホームで行なわれるが、清水にとっては悪い流れを変えるチャンスでもある。
もちろん、“チャンス”という言葉を使うには根拠がある。まず、清水はリーグ戦で勝てていない時期でもヤマザキナビスコカップ予選リーグでは好調な戦いを見せ、3試合で8ゴールを決めていたこと。とくにリーグ戦では出場機会があまりない選手たちの活躍が目立ち、余計なプレッシャーさえかかっていなければ、決めきる力は十分にあるということを証明している。
また、前節の柏戦では後半途中から9人になってしまい、3-5でホーム初黒星を喫したが、チーム通算1,000ゴール目が決まって、その呪縛から解かれたのは大きい。実際、1,000ゴール目が決まった後は、10人で2得点を決めているのだから、サッカーとは不思議なものだ。今回は、岩下敬輔と吉田豊が出場停止で、アンカーの村松大輔がU-23日本代表で不在となるが、それで攻撃力が大きく低下することはない。逆に、夏休みに入ってサッカーに専念できるようになった17歳の石毛秀樹をはじめ、今回もヤマザキナビスコカップで結果を出すべく虎視眈々とチャンスをうかがっている若手選手は多い。得点力という意味では、期待できる要素が多いと言えるだろう。
守備に関しても、失点の少なさは相変わらずで、5失点の柏戦でも11人のときに失ったのはPKによる1失点だけ。守備の組織に関しては、元々揺るぎない安定感を見せている。しかも今回は、名古屋のほうがケネディと玉田圭司がケガで欠場濃厚、永井謙佑がU-23日本代表で不在と、FWの主力3人を欠いている。アウェイゴールを与えないことも重要な試合だが、その意味では清水にとって優位な状況がある。
ゴトビ監督も、「1,000ゴールは終わった。もう心配はいらない(笑)。今われわれにはプレッシャーがなく、逆に自信はある。この先に向けて“勝つ習慣”を作っていきたい」と語っている。チームが自信を深め、勢いをつかんでいくためにも、この試合をチャンスととらえ、前向きな戦いで勝利をつかむことが、清水にとってはもっとも重要なミッションとなる。
一方、名古屋のほうは、リーグ戦で6試合負けなし(3勝3分)と調子を上げてきたが、前述の通り、攻撃の主力3人を欠くのは痛いところ。ただ逆に言えば、清水と同様に若手にとっては大きなチャンスとなる試合であり、アウェイということもあり、清水以上に伸び伸びとやれるはずだ。
また、セットプレーに関しては、ケネディを欠く中でも攻守ともに優位に立てるだろう。今季の清水はセットプレーの失点が多いということも、名古屋にとっては追い風になる。仮に自分たちのやりたいサッカーができなかったとしても、しっかりと守備を固めたうえで、セットプレーでアウェイゴールを奪うことができれば、2週間後のホームゲームをかなり優位な条件で戦えるだろう。守るべきときはしっかりと守れるチームだけに、メンタル面では名古屋が有利な側面もある。
しかし、それは清水にとっても望むところ。「たとえば石毛は、プレッシャーをまったく気にしていないし、しっかりと責任を持って勝利に向かっている。(大前)元紀も、1,000ゴール目がかかった難しいPKをよく決めたし、彼はプレッシャーを自ら求めていた。そういう選手が必要」とゴトビ監督も言うように、プレッシャーのかかる場を自ら求めるような選手を育てていくことも、清水にとって大きなテーマのひとつだ。
以前ほどの重苦しさはないが、やはり適度なプレッシャーはかかる。そうした舞台は、今の清水にとってちょうど良いチャレンジの舞台と言えるかもしれない。「勝てばどんどん上に行けるし、どんどん強いチームと当たりたい」(河井陽介)という意識が選手の中にもあるのは、楽しみなところ。
清水と名古屋はこの半月の間に3回戦うことになるが、その初戦がどんな内容になり、どんな結果に終わるのか。それは、後の2試合にも大きな影響を及ぼすことになるだろう。
以上
2012.07.24 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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