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【J2:第25節 東京V vs 熊本】レポート:いろいろな“想い”詰まった一戦。それぞれの強い想いを勝利に結びつけたのは東京V。熊本は、北嶋のデビュー戦飾れず。(12.07.23)

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まさに“DFの勝利”と言えよう。攻守にわたってDF陣の奮闘が際立った。
中でも、最大の勝因と言えたのが、無失点に抑えられたことだろう。守備の大黒柱・土屋征夫が戦線離脱している中、今節は、さらに右サイドバックの森勇介が出場停止だったため、ルーキー田中貴大が2試合目の先発出場となっていた。さらに、後半32分からは、同位置に刀根亮輔を加入後初起用という状況で無失点で終われたことは、両選手にとって自信となり、チームにとっても非常に大きな進歩と言えるのではないだろうか。
1−0で迎えた前半アディショナルタイム、中後雅喜に一発退場が言い渡され、10人での後半を強いられる苦しい状況になったが、「土肥さんのおかげです」。試合後、西紀寛が開口一番口にした労いの言葉が象徴するように、何度も迎えてしまった失点の大ピンチの場面を、土肥がスーパーセーブを繰り返し、さらに声でチームを鼓舞して「救ってくれた」(川勝良一監督)。
昨季5月4日以来、2試合目のピッチとなった38歳。復帰戦だった前節、自身にとっても思い入れひとしおの一戦だったが、「ほとんどボール飛んでこなかったから、何もしてないよ」と、主役の座を得点を決めた東京Vラストマッチだった19歳五輪戦士へと譲っていた。そして、2試合連続の完封勝利に貢献したあとも、「(スーパーセーブは)相手が僕の体に当ててくれただけだから。たまたま」と、“らしく”ジョーク混じりで謙遜しながら交わしたが、相手の冷静さを欠く積極的な前への飛びだし、一瞬の判断力を鈍らせる威圧感、そして何より「土肥さんが後ろにいて、声を出してくれるから安心してやれました」と、この試合が初先発だった田中貴大、初出場となった刀根亮輔という若いDFに与えた絶対的な安心感は、“土肥洋一”ならではと言えよう。
前節終了後、長く辛いリハビリを乗り越え、復活を遂げた背番号1は、静かに語っていた。「チャンスは必ずくると思っていた。ここまでくるのに、周りの人が本当に支えてくれた。ここまで付き合ってくれたドクターやスタッフ、家族のために、まず勝ててよかった」。そうした感謝の思い、そして、「(代わった)シバ(柴崎貴広選手)に恥じないようにしっかりやらなきゃ」というライバルへのリスペクトの思いが、土肥のハイパフォーマンスを支えていたに違いない。「さすが」の存在感を示した形となった。

守備だけではなく、両センターバックはゴールという直接的な形でも勝利に多大な貢献を果たした。特に、試合終了間際で決めた、高橋祥平の美しいボレーシュートには、人一倍の思いが込められていた。対戦相手・熊本の指揮官は高木琢也監督である。2009年、当時の東京V監督だった同監督に、ユース所属だった高橋は開幕スタメンに大抜擢され、プロ人生が始まったという経緯を持つ。「僕をプロにさせてくれた監督。高木さんが呼んでくれなかったら今の僕はいないかもしれない。今日は敵だったけど、僕にとっては常に“恩師”だから。僕が目の前で点を取れたのも嬉しかったけど、ヴェルディの成長を見せられたことが何よりも嬉しいんです」。ミックスゾーンに出てきた“恩師”の姿を見つけると、一目散に駆け寄り、固く握手を交わした旧師弟。高木監督は「おまえなぁ〜」と、若干恨めしそうに目を細めて苦笑していたが、成長した弟子の姿を見つめる表情は非常に嬉しそうに見えたのは筆者の深読みだろうか。いずれにしても、高橋にとっては、旧恩師へは手痛い、現在の恩師・川勝監督へは格別な“恩返し弾”を決めた、忘れ難き一戦になったに違いない。

「この試合が一番大事」と、試合前に指揮官が位置づけていたという重要なゲームを、メンバー4人が前節と代わった中できっちりとモノにした価値はとてつもなく大きいだろう。「今日はセンターバック2人が点を取ってくれたけど、FWの僕や(阿部)拓馬が取ればチームはもっと乗っていける」と、巻は早くも次節でのゴールへと意欲を燃やしている。次節、いよいよ前回対戦で文字通り“完敗”を喫した甲府戦(7/29@中銀スタ)を迎える。

熊本は、やはり北嶋秀朗のデビュー戦という意味での注目度が非常に高かった。「すごく気持ちが高ぶって、涙が出そうになりました」ここに至る経緯、自分を受け入れてくれた熊本への感謝の思いを胸にピッチに立った。前日、高木監督から「うちは、“上手くやる”の前にとにかく“走る”ことが求められているチーム」だと念を押されたという。そのとおり、34歳のロアッソ新人は、ヘロヘロになるまで90分間走り続けたが、FWとしてゴールという最高の形で思いを伝えることはできなかった。チーム全体としては、先制されながらも、相手に退場者がでたことで後半は数滴優位な状況となり、中盤でボールが収まるようになると、藤本主税、武富孝介を中心にリズミカルなパス交換で東京Vゴール前に迫り、決定機を何度も作った。だが、「あそこで決められない決定力が、相変わらずの課題」(GK南雄太)GK土肥の好セーブやバーに阻まれたことも含め、あと少しのところでネットを揺らすことができなかった。
「これからまだまだ良いチームにしていきたい」と、北嶋。昨年の5月頃、3試合連続ゴールの好結果につながった要因について、「若い頃は何でも自分でやろうとしていたけど、今は自分のできるプレーが何かを割り切り、それを全力でやっている」と語っていたが、熊本のサッカーの中で自分のできるプレーも「大きく変わらない」と言う。ただ、「ちょっと変わりそうなのが、走ることを以前よりもさらに求められそうなので、そこは自分の新しい域として、新たに広げていきたい」と、更なる成長を目指している。「今後、もっともっと質の部分で上がってくることも、今日のプレーを見て感じました」と、指揮官が期待すれば、南も「キタジが周りのレベルに合わせるのではなく、みんながキタジのレベルに上がっていかなければ、上にはいけない」と、チームのベースアップのチャンスとも捉えている。北嶋が“熊本仕様”となり完全フィットしたチームが楽しみだ。

以上

2012.07.23 Reported by 上岡真里江
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