どちらが上位で、どちらが下位なのか。この試合に関して言えば、順位は実力を表す数値ではなかった。6位の大分がホームに19位の岐阜を迎えての一戦は、岐阜ペースで試合が進んだ。その原動力となったのが、“ストライカー募金”で加入した新外国籍選手アブダであった。7月20日に加入発表されたストライカーの情報は、対戦相手にはブラジルのU-17代表に入っていて、ドイツ、フランスで活躍していた、という経歴しか入っていなかった。「全く情報がなく、アップのときに確認することしかできなかった。実際に試合を見ると球際が強く、強引さがあり、目を引くものがあった」と田坂和昭監督が試合後に述べたように、前線で脅威となった。ボールの収まりどころとなり、個性派が揃う岐阜の前線の選手とフィットした。6分には、アブダのパスから染矢一樹、樋口寛規とつなぎ最初の決定機をつくれば、11分にはアブダとのワンツーで抜けた井上平が2度目の決定機を迎える。どちらも得点には結びつかなかったが、主導権を握るには十分だった。
ホームの大分は前節に続き、序盤から精彩を欠き、球際での力強さが足りなかった。それでも粘り強い守備からカウンターで活路を見出すと、21分に高松大樹のパスをペナルティエリア内で受けた村井慎二が倒されPKを得る。村井自らがキッカーとなり、一度はGKに弾かれるも、こぼれ球を押し込み先制。相手にペースを握られながらも守備からリズムをつくり、僅かなチャンスをモノにする大分の必勝パターンで、ハーフタイムを迎えた。
しかし、58分にアブダにペナルティエリア内に侵入されるとあっさり同点弾を浴び、途端に旗色を悪くしてしまう。生命線の前線からの守備が機能せず、ラインが間延びして、「コンパクトな守備ができなかった」(村井)。ボールを奪っても、意図したパスがつながらず、ピッチの状態に合わせたボールの運び方ができなかった。
2失点目はセカンドボールが拾えず、服部年宏のシュートに対して何のプレッシャーも与えることなく2点目を献上。後半、大分が作った決定機は1つで、それがゴールとなり辛くも勝点1を得ることができたが、内容から言えば負けゲームだった。
一方の岐阜は、1シーズンのなかで状況を劇的に変化させる“分岐点”がひとつ存在するなら、この試合は候補のひとつになるかもしれない。「(アブダは)想像以上にポテンシャルが高かったし、連係も良かった。キープできるし、染矢も気持ちよく走っていた」(服部)というように、序盤から相手を圧倒。アブダが起点となり相手を翻弄し、次々と決定機を築いていった。ようやくラストピースが埋まり、反撃の狼煙を上げるときがきた。
以上
2012.07.23 Reported by 柚野真也
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