本文へ移動

今日の試合速報

ルヴァン 準々決勝 第1戦
ルヴァン 準々決勝 第1戦

J’s GOALニュース

一覧へ

【2012Jリーグスペシャルマッチ】レポート:デル・ピエロのゴールを含む4得点でJリーグ TEAM AS ONEが勝利!互いに持ち味を出し合う好ゲームで大いに観客を沸かせた(12.07.22)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
小笠原満男は、試合前のロッカーで手倉森誠監督が発した言葉によって気持ちが奮い立ったという。
「手倉森監督が『勝たなきゃいけないのはオレらの方なんだ』と言ってくれた。『被災地を代表したチームと被災地を代表した選手が集まって試合をして、オレらが勝たないんでどうするんだ』と言ってくれて、それで自分自身も奮い立ちました。やっぱり多くの人が見てくれてるし、その言葉でやらなきゃ、という気持ちになった」

手倉森監督も同調する。
「小笠原キャプテンも言っていましたけれど、『勝たなければいけないのは我々の方だ』と。『今日示すパワーが、復興に向けたパワーになると信じて、心に刻んで戦おう』という話をしました」

実力が拮抗する両チームの明暗をわけたのは、まさに気持ちの部分だろう。
Jリーグ選抜を率いたネルシーニョ監督が「組織力の部分で我々が劣っていたと正直思います」と脱帽するほど、Jリーグ TEAM AS ONEの選手たちの気持ちの充実ぶりが際立っていた。

とはいえ、前半を優位に進めていたのはJリーグ選抜だった。その顔ぶれには、W杯南アフリカ大会やドイツ大会で日本代表に名を連ねた選手がずらりと揃う。遠藤保仁のクロスにレアンドロ ドミンゲスがボレーで合わせたり、中村俊輔の大きなサイドチェンジを右サイドから遠藤が折り返し、そこに前田遼一が飛び込むなど、代表チームでともにプレーしてきた選手が息の合ったところを見せる。

Jリーグ TEAM AS ONEはデル・ピエロを中盤に起用したことで攻撃は魅惑的だったが、守備がうまく機能しない。そこで手倉森監督がシステムを変える。
「前半の途中でシステム変更できて、またそれがスムーズにできたこと、それが非常に効果的でした」
そうふり返ったように3トップ気味にしたことで守備が安定するようになった。ベガルタ仙台、鹿島アントラーズの選手を主体とした気心しれたチーム構成だからこそ可能な戦術変更だった。

その効果もあってか、36分、Jリーグ TEAM AS ONEが先制点を奪う。小笠原がDFラインの裏に走り込もうとした梁勇基を狙ってフワリとしたパスを送る。それを駒野友一が胸トラップで処理したところ、それを見透かしたように梁がボールを奪い、右足ボレーを叩き込んでみせた。
終了間際には、Jリーグ選抜がゴール前でFKを取る。キッカーを務めた遠藤が右足を振り抜くと鋭く曲がったシュートはゴールの枠をとらえたが、これを林卓人が左へ横っ飛びして弾き出し、一進一退の前半戦は1-0で終了した。

後半は大きくメンバーを変えた両チーム。Jリーグ選抜は柿谷曜一朗、原口元気という両サイドの若さ溢れるドリブル突破がアクセントとなった。しかし、試合を左右する次の1点を決めたのはデル・ピエロ。右サイドの西大伍からパスを受けると、すぐさまシュートコースを見定めて左足を一閃。鋭いシュートにキーパーの菅野孝憲は逆を取られるほどだった。
もともと「後半10分まで」という約束だったスーパースターの一撃にスタジアムは大喝采となった。その後も赤嶺真吾、太田吉彰が得点を重ねたJリーグTEAM AS ONEが4−0で勝利をおさめた。

惜しむらくは終了間際にJリーグ選抜も絶好機を迎えていたことだ。左サイドからのクロスにフリーで合わせたのは86分からピッチに立っていた中山雅史。左足で合わせるも、シュートは大きく枠を外れ、中山はピッチに突っ伏し、Jリーグ TEAM AS ONEの選手も頭を抱えていた。昨年3月のチャリティーマッチでは三浦知良がゴールを決めていただけに、ここで中山が決めると絵になったのだが、「あのミスシュートを決められるようにしっかりと鍛えていきたいと思います」とまだまだ元気なところを示していた。

被災地のひとつである鹿嶋で開催された今回のスペシャルマッチ。23,760人ものファン、サポーターが集ったスタジアムの雰囲気は時間の経過と共に一体感に包まれた。自然発生的に会場全体を包み込む声も多く、小笠原の「すごくスタジアムの雰囲気がよくて、みんながサッカーを楽しんでくれて、一体感を感じられて非常にいい試合だった」という声を筆頭に、林からも「サポーターの中での一体感も生まれたり良いきっかけの試合になったのではないかと思っています」と同様の声が聞かれていた。

また、イタリアから今回の試合のために駆けつけたアレッサンドロ・デル・ピエロは「この場に呼んでいただき、たいへん嬉しく思います。私はそんなに動けなかったところをみんなで助けてくれて、感謝しています。大きな喜びと達成感とともにイタリアに帰ることができます」と話していた。しかし、例え運動量は少なくとも、あのゴールで得た喜びはなにものにも代え難い。きっちり見せ場をつくるところはスターの貫禄を見せたと言えるだろう。

最後に会見で手倉森監督が残したコメントを紹介したい。
「震災が伝えたものは、やはり命の尊さであったり、人間としての絆であったり、やはり一人では生きていけないということであったり、ということを考えれば、ただ復興(支援)マッチをしていれば復興が進むのではなくて、やはり人々の、ああいうことが起きたことに対して、もっと心をしっかり持たなければいけないということを感じます」
わざわざイタリアから日本に来る行動力や、試合のなかで見られたワンプレー毎の気迫から受けた感動が、新たな一歩を踏み出す勇気へと変わっていくはずだ。

以上

2012.07.22 Reported by 田中滋
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/09/07(土) 00:00 ハイライト:八戸vs福島【明治安田J3 第27節】