前節、甲府との“甲信ダービー”は実に熱い一戦となった。あの場にいた両チームのサポーターの皆さんはもちろん、スカパー！でご覧になっていた方も、「J’s GOAL」を通じて試合展開に一喜一憂されていた方も、或いは松尾潤先輩（甲府担当）の筆による熱気ほとばしるレポートをお読みいただいた皆様にも、それはおわかりだろう。

結果的には1-2での敗戦となったが、松本は1点ビハインドの後半から紅白戦でも試した事のない4バックにフォーメーションを変更。これが見事にハマった。甲府相手に主導権を握る事に成功し、玉林睦実と鐡戸裕史のホットラインからゴール、一時は同点に追いつく。保坂一成の勝ち越し弾で追いかける展開となってからも、片山真人の投入で塩沢勝吾とのツインタワーが完成。ペナルティエリア内では火花散る肉弾戦が幾度も繰り広げられるなど、最後の最後まで手に汗握る展開となった。

今節はホームに岡山を迎えての一戦となる。松本にはかつて岡山に所属していた選手も多く、意識しないはずがない。残念ながら久木田紳吾が負傷で戦線離脱、喜山康平も警告累積で出場停止となるが、先日入籍を発表した玉林もプロ生活のスタートは岡山で切っている。前々節にJリーグ初ゴールをあげ、前節もアシストを記録するなど、ここ数試合は攻撃面にも積極的に絡んでおり、古巣相手に「成長した姿を見せたい」と意気も高いだけに、今節はやはり『メモリアルゴール』を期待したいところだ。

一方の岡山は、直近5試合を2敗3引き分けと勝利には恵まれていない状況ながら、失点19はリーグ2位と、その堅守は健在だ。今節は最終ラインの一角を担う植田龍仁朗が出場停止となり、その穴を埋めるのは竹田忠嗣が有力だが、戦い方そのものが大きく変わる事はないだろう。前半戦の対戦時は「ほとんど何も出来なかった」（反町康治監督）だけに、選手起用を含めた岡山対策に俄然注目が集まる。「基本的なスタンスは変えるつもりはない」と指揮官は従来の3-4-2-1のフォーメーションを基本にすることを明言しているが、対戦相手や試合展開に応じて3-5-2や4-4-2などを柔軟に使い分ける形になりそうだ。

後半戦に入ってから強豪相手にも真っ向勝負を演じており、チームは全ての面で確実に成長を遂げているだけに、勝点ゼロに終わった相手に雪辱を果たしたい松本。対して先輩の意地に賭けて負けられない岡山。熱戦必至の好ゲームとなることは間違いない。

当日はクラブも『レディースデー』と銘打ち、女性向けの様々なイベントを企画している。この一戦で活躍を見せ、女性サポーターのハートを射抜くヒーローとなるのは、誰か。

以上

2012.07.21 Reported by 多岐太宿