試合開始時点での順位が18位・札幌と、17位・新潟というJ2降格圏内にいるチーム同士の直接対決。しかし、終わってみればスコアこそ0−1と僅差だったものの、シュート数は札幌が6本で新潟が17本。CKも札幌が1本なのに対し新潟が9本。アウェイの新潟が札幌にほぼ完勝した試合だったと言っていい。
試合は開始早々に動いた。
5分。鈴木大輔からのパスをバイタルエリアで受けたミシェウが素早く前を向き、相手DFラインの裏へスルーパス。これに反応した田中亜土夢がフリーで抜け出し、難なくシュートを流し込んで新潟が先制点を奪ってしまった。
この失点自体もそうだが、崩され方もまた札幌にとっては痛かった。
この試合の札幌は4−3−3のシステムでスタート。今シーズン、というよりも石崎信弘監督が就任してからの札幌は一貫して4−2−3−1を基本布陣としてきた。それが前々節途中から、リーグ最多失点の守備を立て直すべくバイタルエリアに3枚の壁をつくる4−3−3に着手。バイタルエリアを封じることで守備全体を固める算段だったはずが、まさにそのバイタルエリアでミシェウに簡単に振り向かれ、あっさりとスルーパスを通されてしまったのだから、あまりにも痛い失点の形だった。
同時に、アウェイチームに先制点を与えてしまったことは、やはり札幌の戦いを苦しいものにした。1点をリードしたアウェイの新潟は無理して前がかりになる必要がなく、その後はを保ったまま相手の攻撃を跳ね返せばいいわけである。
札幌はバイタルエリア付近に3人のMF、わかりやすく言えば3人の守備的MFを置いているわけだから、両サイドバックが攻撃参加をしやすくなる。この試合を前に左サイドバックの岩沼俊介が「守備的MFにカバーをしてもらいやすい形なので、積極的に前に出たい」と話していた。だが、リードを得た新潟が守備意識を高めてスペースを埋めてきたため、攻め上がるためのスペースをなかなか得られなくなってしまったのだ。
また新潟は、札幌が最終ラインでボールを動かしている場面では無理してアプローチに行かず、徹底してブロックを作り、札幌がついロングボールを蹴ってしまうような陣形を意図的に敷いてきた。
「前線の顔ぶれのサイズを考えると、ロングボールを蹴る展開はかなり厳しい」と振り返るのは札幌の古田寛幸。札幌の前線は岡本賢明、内村圭宏、古田の3選手が並んだが、いずれも身長が170センチ台前半の選手。足下でのボール使いには非常に長けているが、空中戦は苦しい。身長180センチ以上の選手がズラリと並ぶ新潟のDFラインにことごとく跳ね返されてしまった。前後半を通して攻撃の形をなかなか作り出すことができず、うまく噛み合わないままに時計の針だけを進めてしまった印象だ。
後半に入ると「相手のプレッシャーがちょっと甘くなっていた」(柳下正明監督)こともあり、新潟がボールを保持する展開となる。札幌はボールを奪いに前に出たい選手と、少し引いてスペースを埋めたい選手との意思の疎通が取れない局面が増え出し、そうして生まれたスペースを新潟が有効に使っていたのだ。時にはGK東口順昭も加わって後方から丁寧にビルドアップしたかと思うと、またある場面ではその東口の高精度なロングキックから一発でビッグチャンスを作り出すなど、緩急のある攻撃を演じて安定感のある戦いを続けていた。
終盤は札幌がパワープレーを敢行するも、柳下監督は「しっかり体を張っていたので、安心して見られました」。わずか1点差ながらも、新潟が落ち着いたゲーム運びを遂行し、0−1のスコアのままタイムアップの笛を聞いた。
この試合を終えて今シーズンのJ1は前半戦を終了。新潟は順位を1つ上げて16位、札幌は18位で折り返すこととなった。J2降格圏内にいる両チームだが、後半戦の巻き返しに期待したいところだ。
以上
2012.07.08 Reported by 斉藤宏則
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