時が経つにつれカシマスタジアムが誇る不敗神話は、その数を減らしてきたが、大宮に対するそれはまだ継続することを許された。この日、J1通算100試合だった西大伍の一撃で鹿島が辛勝。カシマスタジアムでの対大宮戦を6勝2分とし不敗を保った。
前半はいつ失点してもおかしくない内容だった。この日は岩政大樹が出場停止ということで、代わりに中田浩二が先発に復帰。山村和也とコンビを組む最終ラインはラインが高く、いつも以上にコンパクトな布陣を敷こうとする意図が感じられた。
しかし、2つの点がそれを阻む。1つは長谷川悠がロングボールを体を張って競り合ってきたこと。セカンドボールに対する反応が大宮のほうが早かったため、最初の競り合いは五分でもボール支配に差が出た。
2つめは前からの守備がゆるく、相手のボールを絡め取るための網がほとんど機能しなかったこと。気がつくとDFラインの4人とボランチの2人だけで守る状態になってしまい、相手が中盤から飛び出してくると、ほとんどノーマークでゴール前に入られてしまった。青木拓矢、東慶悟に相次いで決定機をつくられ、曽ヶ端準の活躍がなければゴールを割られてもおかしくなかった。また、マークがぼやけているため、カルリーニョスから正確無比なロングパスが次々と打ち込まれる。チョ ヨンチョルにも決定機が何度もあった。
それだけに、試合後、ベルデニック監督が「彼らのプレーは勝利に値する」と鹿島を称賛したのは意外だった。大宮にも十分にチャンスがあり、それが1つでも決まっていれば試合の結果は変わっていたかもしれない。
ただし、後半は一方的な展開となった。
あまりに不甲斐ない内容に、ハーフタイムでジョルジーニョ監督は激しい言葉で選手たちに檄を飛ばす。
「いつもの鹿島はどこへいった?勝利への執念を表に出せ」
その言葉に、ようやく鹿島の選手たちが目を覚ます。
守備の切り替えが早くなり、ボールを奪われてもすぐに奪い返しに行くため、相手は苦し紛れのパスを前線に送るばかり。それを難なく奪い返し、もう一度攻撃に繋げるという好循環を生むようになった。
しかし、チャンスをつくりながらゴールはなかなか生まれなかった。ジリジリと時間が過ぎるなか、74分に大迫勇也のポストからパスを受けた西大伍が右足を振り抜くと、糸を引くようにスーッと伸びていく強烈なシュートが逆サイドのゴールネットに突き刺さった。これにはジョルジーニョ監督も手放しで称賛。
「1970年のワールドカップでカルロス・アウベルト・トーレスというブラジルの右サイドバックが得点したような形だったね」
と、ペレのアシストから生まれたワールドカップの名場面になぞらえて、西のゴールを讃えていた。
鹿島はこれでリーグ再開後、4試合目にして初勝利。試合内容としては厳しかったが、それでも勝ち切れたことはこれまでとは違う印象を与える。
「スコアより勝ったことが重要。ここから新たなスタートが切れればと話していました。こんなところにいるチームじゃない」
西のコメントは、鹿島を取り巻くすべての人の気持ちを代弁したもの。これを上位浮上へのきっかけにしてほしい。
以上
2012.07.08 Reported by 田中滋
J’s GOALニュース
一覧へ- ルヴァンカップ決勝2024
- 2024 明治安田Jリーグ終盤戦特集
- アウォーズ2024
- bluelock2024
- THE国立DAY
- 2024 明治安田Jリーグ フライデーナイトJリーグ
- 2024JリーグYBCルヴァンカップ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- FIFAワールドカップ26 アジア最終予選 特集ページ
- 2024天皇杯
- 明治安田Jリーグ 月間表彰
- 2024Jユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE