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【J2:第22節 京都 vs 岡山】レポート:見応えあるゲームは互いに譲らず。岡山の後半への修正力と京都のシュート意識と、それぞれに見どころを作った(12.07.02)

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非常に見応えのあるゲームは互いに譲らず、勝点1を分け合った。京都は出場停止のバヤリッツァのポジションに染谷悠太が4/30の松本戦以来の先発出場。岡山は後藤圭太の出場停止を受け、右に一柳夢吾、中央に澤口雅彦、左に植田龍仁朗の3バックとなった。

試合は、岡山・影山雅永監督が試合後に「ゲームの立ち上がりは悪くなかった」と語った通り、積極的に入った岡山だったが、徐々に京都が主導権を握る。スタンドから観ると、京都のボールへのアタックの激しさと、一旦京都ボールになった時に、岡山のプレスを京都がパスでかいくぐることで、岡山が前に出ていけなくなり京都が自分たちのサッカーをするようになったように観えた。

その中で15分には京都はショートCKから駒井善成がヘディングシュートで迫り、25分には安藤淳のクロスからゴール前で混戦を作るなど岡山を攻め立てた。しかし岡山もサイドからチャンスを作り、19分には右サイドのカウンターからノーマークの川又堅碁へボールが入り、それを京都DFが何とか戻ってクリアすることで得たCKでも、ゴール前で混戦を作り、京都ゴール前に迫った。京都は中村充孝が抜群の冴えを観せ、31分には走り出して工藤浩平からパスを引き出しシュートを放ち、44分にもエリアの外からシュートを打って攻撃を牽引した。

後半、岡山が積極的に出る。「ファーストディフェンダーがボールに寄せる距離をもう一段詰めて、厳しい守備を後半頭から立て直すこと」「相手のプレッシャーにひるむことなく、勇気を持ってボールを動かす」(岡山ハーフタイムコメント)、という影山監督の指示を受け、岡山の出足が変る。後半9分ごろには後方からサイドチェンジを上手く使いシュートまで持ち込んでいる。だが、その後は京都も岡山を攻め、同17分には駒井がサイドの裏を取り久保裕也へマイナスに送りシュートシーンを作る。

後半の中盤に、京都は久保に代えて原一樹、岡山は千明聖典に代えて桑田慎一朗を投入。後半28分にはその原が駒井からパスを受けてエリアの外からシュートを放つ。そしてその直後、京都がスコアを動かす。福村貴幸から横パスが中村に入ると、中村はそこからダイレクトで原へ。これを原がダイレクトで浮き球で落とすと、相手DFの裏へ走り込んだ中村はダイレクトで左足を振り抜きシュートを決める。鮮やかなダイレクトプレーの連続で京都が先制。

しかし岡山の反撃も速かった。失点から6分後。左サイドで粘ってクロスを上げると、京都DFが跳ね返したボールを桑田がダイレクトでシュート。GKからの跳ね返りを川又が、京都DFが2枚いたゴールにしっかりと決めて同点に追いつく。こちらも、桑田がダイレクトでシュートすることで京都DFに時間を与えなかった、素晴らしいプレーを見せた。その後一進一退の攻防が続くもタイムアップ。互いに1点ずつ奪い合い、勝点を分け合った。

試合の印象は、両チームともアグレッシブに戦い、勝負にかける意地みたいなものを感じさせてくれる非常に見応えのあるものだった。特に、前半は京都のボールへのアタックが素晴らしく、逆に後半は岡山が盛り返した。岡山・影山監督のハーフタイムでの修正力は今節の岡山の、一つのポイントになるのではないか。

京都は、まず何よりもエリアの外からのシュートが増えたことは素晴らしいことだろう。前半13分にチョン ウヨンがミドルを放ったが、ゴール前に枚数があった中で思い切って振り抜いた。人数をかけて攻撃する形を代償に放った一本だったが、判断は悪くないと思った。その後は中村。シュートを6本放ったがその半分はエリアの外ではないか。自分たちのレベルを上げようと思えばそれくらいの位置から積極的に打つべきだろう。決め切れるかどうかは個々の技術向上の部分。自分の放ったシュートが試合を決める。そういう「試合を決める一撃」とどれだけ向き合えるか、だろう。

岡山の鋭いサイド攻撃を中央で跳ね返した守備も素晴らしかった。後半7分、左からのクロスに安藤がカバーに入りクリアした場面も含め、サイドを突かれてもセンターで跳ね返せばいい、という落ち着きがあり、非常に好印象だ。ただ、京都の守備の原則は「サイドを変えさせない」「サイドで押し潰してしまう」だったように思う。最終的にセンターで跳ね返せばいいのだが、原則が出来ていないと判断すれば、前線、中盤にしっかりとそこを思い出させる必要もあるだろう。というのも、後半、京都が中盤で相手ボールを強奪する場面が減ったように観えた。スタートポジションの部分かも知れないと感じさせたからである。

関連して、前半、岡山のプレスをかいくぐった京都の最終ラインから中盤エリアへのボールの運び具合は、たくましさを感じた。対して後半は、点を取りに行こうと中村、工藤がより前へのポジションを意識したようにも観えた。印象としては、前半は「パスを受けよう」で、後半は「パスを出してくれ」という感じ。この意識が後半のゴールを呼びこんだ部分があり、これはこれで面白かった。ただし、攻撃的な分、狙われたり、トライ&エラーのエラーも増えて、ボールが行ったり来たりする回数も増えた。「どちらがいい」という問題ではなく「こうなるとこういう展開になる」と選手が理解しているかどうかが大事なのだろう。

追いつかれはしたがチャレンジ精神旺盛な試合を見せてくれたのは良かったのではないか。実は、ここ数試合、選手個々の「出来ること」が増えたり、力強さを増したりという印象を持っている。だから、選手がやろうとしていることが、もっとスムーズに絡み合う感じが出れば、チームはまた一段ステップアップできるのではないか、という期待も持っているのだ。6戦勝ちなしという状況だが、選手には大いにトライしてもらいたいと思う。

以上

2012.07.02 Reported by 武田賢宗
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