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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第22節 鳥取 vs 北九州】レポート:数的不利での鳥取の奮闘実らず。北九州が逆転で5試合ぶりの勝利。(12.07.02)

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前半に鳥取、後半には北九州に退場者が出て、試合終盤は10人対10人の戦いに。それぞれの退場後に流れが大きく変わった一戦は、北九州が前半のリードを守り切り、5試合ぶりの勝利を手にした。

立ち上がりに主導権を握ったのは、前節の勝利で連敗を6で止め、ホームで連勝を狙う鳥取。リズム良く攻め込み、連続してセットプレーの機会を得ると、4分に早くも先制点を奪う。尾崎瑛一郎の右CKに、密集を使ってマークを振り切った戸川健太がヘッドで合わせたシュートが、左ポストに当たりながらもネットを揺らした。
同様にホームで開始4分に先制した16節の横浜FC戦では、先制した後にミスが増えて自らリズムを崩し、前半のうちに3点を奪われ、最終的に2―5で敗れている。だがこの日は、パスワークの質で上回る北九州にボール支配率では上回られたものの、慎重になり過ぎることもなく、落ち着いて戦うことができていた。

ところが29分、尾崎のスローインから突破しようとした福井理人が、新井涼平との接触後に倒れたプレーがシミュレーションの判定となって警告を受け、6分に続く二度目の警告で退場。接触があったのはペナルティーエリア内だったため、北九州のファウルならPKで2―0とするチャンスを得ていた場面で、逆に前半のうちに数的不利を強いられることになった。

これを受けて鳥取は、布陣を試合開始時の4―3―3から、両ウイングを中盤に下げ、住田貴彦を1トップに置く4―4―1に変更したが、戸川は「退場者が出た後、ポジションをどう修正するかが明確になるまでが遅かった」と振り返る。中盤中央のスペースを北九州に使われるようになり、対応が後手に回ると、33分には同点ゴール。フリーでパスを受けた木村祐志へのアプローチが遅れ、ゴール前にスルーパスを通されると、やはりフリーで走り込んだレオナルドに今季初得点を決められた。ラインを止めながらもオフサイドを取れなかった連係、オフサイドを主張して動きを止めたセルフジャッジなど、複数のミスが重なった末の手痛い失点だった。

北九州は、鳥取の守備のリズムが出る前、自分たちの焦りが出る前に追い付いたことで、攻撃に勢いが生まれた。数的優位を生かし、両サイドバックも高い位置まで攻め上がるなどして圧力を強めると、43分には逆転ゴールを奪う。中盤の中央、約30メートルの位置でパスを受けたレオナルドが、すぐさま右足を振り抜いたシュートが、GK小針清允の頭上を破り、クロスバーと右ポストに当たりながらもゴールラインを割った。本人が「とにかくシュートに持っていこうという姿勢で、うまく入ってくれた」と振り返った逆転ゴールは、今季初得点だった1点目に続く、価値ある連続ゴールだった。

数的優位を生かして前半のうちに逆転したことで、その後も北九州のペースが続くかと思われた。しかし後半は、三浦泰年監督が「戦術的に、集団的に、コレクティブにボールを回して、ゲームを支配できればと思っていたんですが、なかなかリズムとテンポが出なかった」と振り返ったように、ボールを奪った後のミスが増え、ボール支配率を高めることができない。逆に自陣に押し込まれるなど、苦しい展開が続いた。

だが鳥取も、決定機こそ作るものの、決めることができない。54分、左サイドバックの森英次郎がドリブル突破からスルーパスを送ると、左サイドに流れながら抜け出した住田が、ペナルティーエリア内でGK佐藤優也と1対1に。しかし、「右スミを狙った」というシュートは、佐藤の好セーブに阻まれた。65分にはFKの素早いリスタートから、交代出場の小井手翔太が右サイドを突破してセンタリング。ニアサイドでは住田がマークを外してフリーになっていたが、当てていればゴールかというヘッドを空振りし、シュートを打てなかった。

このシーンのすぐ後の68分には、北九州の冨士祐樹が自陣でボールを奪われるミスから、この日二度目の警告を受け、退場処分に。10人対10人となり、それまで押し気味だった鳥取にとってはチャンスが広がったが、同様に布陣を4―4―1にして守備意識を高めた北九州を、むしろ攻めあぐねてしまう。
北九州に退場者が出た後のチャンスは結果的に、76分に交代出場した岡野雅行が、登場直後に右サイドを破ってセンタリングを送り、美尾敦がシュートを放ってDFに当たった場面のみだった。88分には右サイドバックの尾崎に代わり、コスタリカ代表DFロイ スミスが移籍後初出場。185センチの高さとジャンプ力を駆使するヘッドの強さを生かすべく、前線に投入するかと思われたが、吉澤英生監督が試合後に明かした「選手数が同じになってから、ボールも動かせるようになり、小井手、岡野がゲームを動かしていたので、パワープレーをしなくても、後ろ(DF)を1枚減らし、前に人数を割いた方が点は取れるという判断」もあり、最初は3バックの右サイドでプレーした。4分のアディショナルタイムに入った後、結局は前線に上がったものの、遅きに失して、高さを生かす場面を作れないまま試合終了となった。

鳥取は、戸川が「1点差で後半に入って、今までは前から行って、後ろがおざなりということが多かったけど、今日は焦れず、焦らずにやろうと言っていた。そこはうまく我慢できたんじゃないかと思う」と語ったように、10人になった後の、反撃の意欲とリスク管理を共存させた戦いは、今後につながるものと言える。しかし、少なくとも勝点1は取れたと思われる内容だっただけに、下位脱出を目指す現状を考えれば、何とも悔やまれる敗戦。ホーム連戦となる次節の栃木戦では、確実に上向いているチーム状態を、現実的な勝点につなげられるかが問われる。

北九州は、三浦監督の「最後まで前半の1点のリードをしっかり守り、勝点3を取ったのは、7月が大事な時期であることを考えると、大きな勝利だったと思う」という言葉通り、4試合未勝利と失速していた状況でのアウェイでの勝点3は、自信回復につながるだろう。プレビューで触れたように、フィニッシュの積極性と精度が不足していた状況で、レオナルドがお手本を示すような2ゴールを決めたことも、チーム全体に好影響をもたらすはず。「われわれの目指すサッカーからは程遠い内容」(三浦監督)だったとはいえ、それでも勝つ勝負強さを発揮し、上位追撃への足がかりとなりそうな勝利をつかんだ。

以上

2012.07.02 Reported by 石倉利英
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