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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第22節 徳島 vs 草津】レポート:ドローの結果で連敗こそ逃れた両チーム。しかし内容はどちらもポジティブに捉えられない。(12.07.02)

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シーズン後半戦での浮上を狙う両者だけに連敗は何としても避けたかった。その観点からすればドローという結果は、徳島にとっても、草津にとっても、決して悪いものでないだろう。
しかし、内容的な部分に目を向けると、どちらもあまりポジティブな引き分けとは捉えられないはず。ミスが多く、展開のスムーズさと攻撃の連携を欠いたそれぞれの戦いは次節以降への心配を抱かせたし、事実ゲーム後の両チーム選手たちから聞かれたのは反省の言葉がほとんど。次に向けて修正が大いに必要であることをピッチでプレーした本人たちがハッキリ口にしていた。

特に前半の徳島はかなり停滞した状況であったと言わざるを得ない。
まず「イージーミスが多かったので自分たちからリズムを崩してしまったとも言えるのではないか」と上里一将も振り返っていたように、チームは攻撃の組み立てにおいて精度を欠くパスを頻発させてしまったのである。中でもポイントと思われた両サイドバックからのフィードは非常に厳しい状態であったと言えよう。草津の前線の激しいチェイシングがあったのは間違いないが、西嶋弘之も、那須川将大も、送り出すボールはほぼ全て正面前方へのラフなロングキック。ボランチへつける斜めのパスや2トップの足元へ正確に入れる配球をし切れなかった。
そして何よりその停滞を招いていたのは、奪った後の早いタイミングで前へ仕掛けられなかったことであろう。事実、前半の徳島はボール奪取直後に縦パスを通すようなシーンが全く見られなかった。一旦後方で落ち着いてしまい、草津にブロックを形成する時間を与えてしまったのである。そのためチームはなかなか効果的な崩しが出来ず。最初に45分において好機と呼べるものは、一度西嶋が花井聖との変化あるワンツーで右サイドを破って折り返した場面と、終了間際に見せたシンプルなカウンターの2度しかなかった。

ただそのような徳島も迎えた後半には改善の兆しを感じさせる。「狙いを明確にして攻撃を連動させよう」という小林伸二監督の指示を受けた選手たちは縦への意識を改めて持ち直し、起点作りの出来るドウグラスへ早いタイミングでしっかりボールを預けるようになったのである。また前半消えた存在となってしまっていた衛藤裕がボールへ絡み始めたこともチームの活性を上げる要素になっていたと言えよう。実際に後半の彼は那須川や上里との連携で何度か左サイドからいい形を創造。チームが前半見せられなかったアタッキングサードでの変化を率先して生み出していた。
とは言え、そうした幾らかの好転もゴールネットを揺らすまでには結び付かない。小林監督も試合後会見でそこに触れていたが、勝負どころの細かな精度と駆け引きが不足し、それゆえ得点を取るためのフィニッシュも十分に打ち切れなかったのだ。90分で僅か4本というその数がこの一戦での徳島の攻撃における苦悩を如実に表している。

それに対し草津だが、こちらも徳島同様に攻めが上手くいかなかった。時折細かいパスでバイタルへ侵入し、松下裕樹に得意のミドルを打たせる形などを作るものの、ちょっとしたタイミングや意思疎通のズレで決定的と呼ぶほどのシーンは掴めない。だが、草津について言うと、マイボールになった直後の前への早さは一試合を通して持っていたと言っていいだろう。熊林親吾は常に縦へ入れることを狙っていたし、前線の金成勇はそれを受ける動きをいつも継続していた。となれば草津もあとは最後の所での精度。その部分の修正がこれからに問われよう。

こうして2005年J入会同期の対決はどちらもが攻撃に課題を覗かせ、決定打の出せないまま終了のホイッスルを迎えた。冒頭で述べた通り連敗をしなかったという結果こそ悪くないものながら、次の戦いへ繋がる内容かと言うと両者ともに決してうなずけないだろう。
それだけに徳島も草津も、次節までの1週間には課題への妥協なき改善取り組みが求められる。それがなければ今節からのシーズン後半戦が間違いなく悔しいものになってしまうのだから。それぞれの選手たちには危機感を深めてまたトレーニングを重ねてもらいたい。

以上

2012.07.02 Reported by 松下英樹
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