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【J2:第22節 東京V vs 水戸】プレビュー:第2ラウンド開始!前半戦で着実に積み上げたそれぞれのスタイルを存分に発揮し、後半戦スタートダッシュ目指す。(12.07.01)

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今節から、後半戦がスタートする。ちょうど折り返しとなった前節を、東京Vは5年ぶりの単独首位で迎えた。だが、豪雨とそれに伴うピッチコンディション不良で、多くの選手が「あんなの初めて」と語るほどまるでボールが転がらず、自分たちのサッカーせずして敗戦を喫してしまった。それでも、誰ひとりとしてピッチを敗因にしておらず、それよりもむしろ先制点を奪っていただけに、「勝たなければならなかった」との反省の弁ばかりが聞かれた。ただ、「まったくサッカーになってなかったから、それで負けてもあまり引きずらなくてすむところもあります」と梶川諒太が語るように、素早く気持ちの切り替えができたことも確かではないだろうか。
結局、3位で折り返しを迎えることとなったが、首位・山形との勝点差はわずか「1」だけに、後半戦は首位のメンタリティーで戦って行きたいところだ。というのも、単独首位に立った時点で川勝良一監督は次のように語っている。「(上位が)団子状態の中、我慢比べになるけど、周りが脱落していくのを待つよりも自分たちが勝っていくことだけに集中したい。よく『順位は気にするな』という考え方もあるけど、逆に、今年は“下位に負けてない”だけに、1位に立てば全チームが下位になるわけだから、どこにも負けられないということになる。だから、あえて『意識しろ』と言ってる」。
また、巻誠一郎も「上の勝敗を気にしながら勝点計算するよりも、一刻も早く首位に立って、下をどんどん突き放して余裕をもって戦っていたい」と語っているだけに、あえて“首位奪還”、そして後半戦スタートダッシュが目下のテーマとしたい。

前半戦の結果を振り返り、川勝良一監督は目指すサッカーの完成度について、「波があったのは間違いないけど、悪い時間帯でも0で抑えられて、それなりにゲームは作っていけるようになった」と、及第点を口にしている。言葉通り、特にここ4試合(前節は対象外)は安定した戦いぶりが続き、加えて結果もしっかりと手にできていることが、チームが徐々に熟成されつつある何よりの証明と言えよう。それでも、「ヴェルディは、ただ単にJ1に上がるだけじゃなくて、“J2を優勝して”昇格を目指している。まだまだこんなところで満足してない」。コンデイションも上がり、完全にヴェルディサッカーにフィットしはじめているFW杉本健勇は、今節もゴールを心に期していた。

そんな手応えを掴みつつある中で一番の課題となっているのが、セットプレーからの失点である。悪条件の中でのゲームだったとはいえ、前節もセットプレーから2失点と、ここまで喫した22失点のうち半分がそれに当たるのである。『優勝してJ1へ』の目標を達成するためには得失点差も重要だけに改善は急務。ということで早速、今週のトレーニングではセットプレーの守備に特別時間を割き、体の入れ方、競り方、マークの確認などを徹底的に行った。FWの阿部拓馬も、マークの付き方や相手との距離感などをDFのスペシャリスト・土屋征夫にアドバイスを求めるなど、攻撃陣のセットプレー守備に対する意識がこれまで以上に高められたことは確かである。今節は、DFの急成長株・深津康太が出場停止だけに、全体としてより一層の集中力が求められるだろう。そこで、闘志を燃やしているのが高橋祥平だ。「少なくとも声だけは切らさないようにしたい。どんな相手でも、ヘディングとかで競り勝って、そこからチームに流れを作れたらいい」。また、水戸戦といえば、前回の対戦で奮闘を見せた吉弘充志も深津の欠場にともない出場機会は十分ありそうだ。「もし出られたら、とにかくセットプレーを特に意識して、絶対に0で抑えたい」と意気込む。“水戸キラー”ぶりに、ぜひ注目したい。

東京Vにとって、最も厄介な存在となりそうなのが、FW鈴木隆行だろう。コンディションが明らかに良化され、前々節大分戦を機にパワフルかつアグレッシヴなプレーで圧倒的な存在感を示している。特に前節は第3節以来のゴールも決め、まさに絶好調と言えよう。その鈴木の恐ろしさを誰よりも知っているのが、かつてのチームメイト・秋田豊コーチ。「ヘディングが強くて、スペースを作るのがとにかく上手い」と特長を話し、対策を東京Vの選手たちに徹底的に伝授するという。この試合の見所のひとつと言っていいだろう。

また、チーム自体も前々節から確実に内容に手応えを感じており、前節・京都に勝ったことでさらに自信を深め、メンタル的にも充実した中でこの試合に臨んでくるに違いない。そして、そこに気の緩みもなさそうである。というのは、GW時の4連勝後、3連敗という急失速から、「緩んだら下位チームにも勝てなくなる」という厳しい教訓を得ているからだという。
気になるのはケガ人などによる欠場選手が相次いでいることだが、たとえば前々節では塩谷司(累積警告のためだったが)の代わりに入った代健司が、前節では市川大祐の欠場によって起用された岡田佑樹がそれぞれしっかりと役割を果たし、チームの層の厚さを感じさせるプラス要素となった。今節は、さらに島田祐輝の離脱がクラブからも発表されているが、出場機会が巡ってくる選手にとっては、「次は自分が!」との思いは強いに違いない。貪欲さに満ち溢れた、良い状態で戦いに挑めるのではないだろうか。

テクニックとパスワークによる華麗なるサッカーの東京Vと、自分たちからボールを奪って攻めに出るアクションサッカーの水戸。川勝監督、柱谷哲二監督それぞれのスタイルが存分に浸透しているどちらのサッカーも、ベースとなる最大のポイントは“ハードワーク”である。チームのため、仲間のため、応援してくれるサポーターのために、どれだけ汗を流せるのか。互いの“闘将”が仏の顔になるような熱戦をぜひ期待したい。いよいよ第2ラウンド、そして本格勝負の夏がはじまる。
 
以上

2012.06.30 Reported by 上岡真里江
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