3月3日の富士ゼロックススーパーカップで対戦した両者が、再び国立競技場で対峙する。前回対戦は2−1で柏が勝利を手にした。紆余曲折のシーズンを過ごし、F東京と柏が同じ場所に立つ。
ランコ・ポポヴィッチ監督はどんな相手と対戦しようが同じ調子で話す。「柏は序盤こそ苦しんでいたが、上り調子になってきた。現在の彼らは、本来の姿を取り戻しつつある。だけど、私たちのやることは何も変わらないよ」と語った。柏は、ここリーグ5戦で4勝1分と元の姿へと戻った。
しかし、F東京の戦い方は、昨季のJ1王者であろうとも変わることはない。そして、それが勝利への近道でもある。ヒントは、前節のC大阪戦に隠れている。C大阪はチームのストロングポイントと呼べる清武弘嗣、キム・ボギョンの2人を中盤の両サイドに配置している。主導権を握った場合は、脅威となる。だが、攻撃に重きを置く彼らは守備への戻りが浅い。両サイドバックが高いポジションを取り、かつ早い展開でサイドに起点を作ることができれば、自ずとサイドで数的優位を作ることができる。その考えを実践し、相手を敵陣に押し込むことに成功した。
柏の両サイドのレアンドロ・ドミンゲスと、ジョルジ・ワグネルもC大阪と同じことがいえるだろう。だが、柏はC大阪以上に、ボールの奪いどころが徹底されている。両サイドバックが高いポジションを取るタイミングを間違えれば、途端に窮地に陥ってしまう。「確かに、C大阪のイメージでもいいと思う。タイミングよく出て行けば、チャンスになる。でも、相手のプレスを掻い潜るために、引っ張るのか、それとも引いて起点を作るのかの見極めは重要になる」と右SBの徳永悠平は言う。さらに、逆サイドの椋原健太は「相手は意識しない。第一は自分たちのサッカーをやること。起点になることも大事だし、高すぎてはいけない。そこの使い分けが重要になる。紙一重なのでギリギリのところを狙いたい」と話した。両サイドバックが高い位置を取るためには、前線からのプレスと、守備から攻撃への切り替えが不可欠となる。
GK権田修一はもっと明快な言葉を使った。「両サイドのブラジル人と、(酒井)宏樹に守備をさせれば勝ち。C大阪のように全力で戻らせる状況を作りたい」。分かりやすい図式だ。F東京がボールを保持し、両サイドバックが高いポジションを取ったときはF東京ペース。逆に、レアンドロ・ドミンゲスと、ジョルジ・ワグネルが起点となって柏が面白いように攻撃を仕掛けていれば柏のゲームだ。スタンドから注視すべきは、それぞれの両サイドの選手がピッチのどの位置に立っているかで、このゲームは見えてくる。
前回対戦ではレアンドロ・ドミンゲスと、ジョルジ・ワグネルの強烈な個性の前に屈した。ただし、試合後半、ゲームの流れを握っていたのはF東京だった。ポポヴィッチ監督は「そうだ」と頷き、声を上げる。
「あの後半の続きを始めよう」
以上
2012.06.26 Reported by 馬場康平
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