先手必勝とばかりに、岐阜は立ち上がりから積極的な姿勢を見せた。2分にバイタルエリアでボールを回すと、MF染矢一樹が強烈なミドルシュート。これは町田GK修行智仁に阻まれるが、先にチャンスを作り出したことで、攻撃にリズムが生まれた。
直後の3分にカウンターからワンボランチのコリン・マーシャルに決定的なシュートを放たれるが、GK時久省吾がファインセーブ。このシーン以外はピンチを与えず、逆に高い位置からのプレスで、相手の攻め手を限定させることに成功した。

これまでの試合に無いほどの完璧な立ち上がりだった。岐阜の前から追い込む積極的なプレスに、町田は完全にリズムを失い、DFラインをずるずる下げざるを得ない展開となった。後はこの流れの中で先制点を取るだけ。
しかし、この作業が岐阜にとって、非常に困難なものであった。いい流れの時に決めきれず、さらにいい形が出来ても、ワントップの佐藤洸一にボールが収まらず、どんどん攻撃がトーンダウンし、せっかく掴んでいたリズムも失っていく。
30分を過ぎると、閉そく感が漂い始めた。そして、それに対し町田もいつまでたっても打開策が見いだせず、良い見方ですればがっぷり四つ、悪い見方をすれば共に全く決めての無い展開となった。
必然のスコアレスドローの前半。終盤は山もなく谷もないまま時間だけが過ぎて行った。
しかし後半、この悪い流れを岐阜が断ち切った。前半立ち上がりのいいイメージをおさらいするかのように、後半立ち上がりから攻撃的な流れで入ると、54分、中央でMF井上平が右サイドのスペースを見逃さず、柔らかなパスを送り込む。そこに走り込んだDF野田明弘の折り返しを、ファーサイドに詰めた佐藤ががら空きのゴールに蹴り込んで、待望の先制点を奪う。
ここから町田の猛攻が始まる。町田は56分、ディミッチに代え、MF柳崎祥兵を投入。1.5列目の動きに変化を加えると、右ワイドのMF北井佑季を起点に、右サイドからの崩しでチャンスを作り出す。さらに76分にはMF鈴木崇文に代え、FW鈴木孝司を投入。布陣も【4-1-4-1】から【4-4-2】に変えて、より攻撃の手を強めてきた。
しかし、この日の岐阜の集中力は途切れなかった。最後までチャンスらしいチャンスをそれ程与えることなく、逆にカウンターからチャンスを作り続けて、1-0の完封勝利にまでたどり着いた。

4月15日の北九州戦以来のホームでの勝利。長く遠ざかっていたホーム勝利を手に出来たことも大きいが、それ以上に最下位の町田を叩けたことと、何より内容が向上してきたときに完封勝利を出来たことが大きい。
ここ数試合、不運な判定に泣かされて、勝点を取りこぼすことも多かったが、決して守備が崩壊したわけでないし、戦い方が崩れたわけではなかった。こうしたプラス要素が、この試合でようやく形となった。
「ここ4試合の出来は決して悪くはなかった。東京Ｖ戦も1-4で負けましたが、そんな内容ではなかった。ようやく内容と結果がつながってきた」（行徳浩二監督）。
あとはこれを続けて行くだけ。今季初の連勝、そして更なる上の順位を目指して。岐阜の巻き返しはここから始まる。

以上

2012.06.25 Reported by 安藤隆人