リーグ再開後の2試合目となるこの第15節。札幌ドームでは勝点4で18位の札幌と、同9で17位のG大阪が対戦する。17位と18位との直接対決。残留争いにおける、非常に重要な一戦となりそうだ。
ホーム札幌は前節、アウェイで仙台と対戦して1−4のスコアで大敗。失点数がリーグワーストということもあり、中断期間は守備の立て直しがフォーカスされたはずだったが、終わってみれば再開初戦も大量失点となってしまった。失点はどれもサイドからのクロスボールからで、「仙台は主に右サイド(札幌から見た左)から攻めてくるのがわかっていたのに、そこからのクロスでやられてしまった」と石崎信弘監督は振り返り、この試合で今シーズンのリーグ戦初先発を果たしたセンターバックの岡山一成も「自分のところでしっかり跳ね返せなかったことが、ああいう結果につながってしまった」と悔しがる。
中断期間では守備の立て直しが急務ではあったものの、奈良竜樹、岩沼俊介といった最終ラインの主軸が怪我で離脱しており、ジェイド ノースもオーストラリア代表に招集されていたため、なかなか思うようにメンバーが揃わなかったことが、この敗戦につながってしまったと言ってもいいだろう。
もちろん、この試合においてもポイントとなるのは守備だ。石崎監督の目指すスタイルは攻守の切り替えを意識した戦い方であり、いい守備がそのまま、いい攻撃へとつながっていく。まずは守備の部分が安定しないことには、自分達のスタイルを明確に打ち出すことはできないだろう。守備的MFやGKを含めた、守備陣の奮闘がこの試合のカギを握ることは間違いない。
一方、敵地に乗り込むG大阪の前節はホームで浦和と対戦して1−2のスコアで敗戦。15分にパウリーニョのアシストを佐藤晃大が決めて先制するも、29分そして後半のアディショナルタイムにそれぞれ失点をしてしまい逆転負け。「前半は狙い通りの戦いができていた。これをやり続けるしかない」と松波正信監督が話すように、前半の内容は非常に安定したものだった。それだけにタイムアップまでしっかりと継続できなかった部分が悔やまれる。
思い返してみると、中断期間前最後の試合となった13節の鳥栖戦もそうだった。後半途中までに2点をリードする理想的な展開だったにも関わらず、終盤に守備が崩れて立て続けに3失点。最後の得点はアディショナルタイムだった。つまり、2試合続けて逆転負け。さらに試合終了直前に守備が崩れてしまってのものだ。
もちろん、タイスコアの状態から得点を奪うために前がかりとなり、その結果、カウンターを受けて失点をしているため、最後まで勝点3にこだわる姿勢は素晴らしいものと評していい。それだけに、リズムを乱しての失点は避けたいところだ。こちらもまた、守備の部分での課題が明確に突きつけられているということだ。
こうして振り返っていくと、状況は明白だ。この2チームが下位に低迷している理由はズバリ、守備である。17位のG大阪の失点はリーグワースト2位の27。18位の札幌はリーグワーストの32。この2チームが順位を上げるには、とにかく失点を減らす他はない。特にG大阪に至っては得点数を見ると6位・清水、7位・F東京とほとんど変わらない。失点を減らせば、それに応じて着実に順位は上がるはずである。
ただし、忘れてはいけないのは、守備意識を高めることだけが失点の減少要因になるわけではないということ。札幌の砂川誠が言うように、「チャンスの数を増やせば、それだけ得点の可能性が増えるということ。同時に、守備の時間も減るわけだから、失点の可能性も減る」のである。いい攻撃をするためにはいい守備が必要であるのと同じように、いい守備を演じるためには、いい攻撃をすることも重要なのだ。
17位と18位との直接対決。シビアに結果が求められる、熱いバトルが今ここに始まる。
以上
2012.06.22 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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