前節までの5試合、ともに未勝利ながらも、5連敗だった鳥取に対し、松本は3分2敗。わずかながらも勝点を積み上げてきていた松本が、その違いを感じさせる僅差の勝利をつかんだ。
立ち上がりは鳥取が敵陣まで攻め込む回数が多く、セットプレーのチャンスをつかんでゴールを脅かす。今季ここまで、ビルドアップの初期段階でプレッシャーを受け、クリアで逃げざるを得なくなる、あるいは自陣でボールを奪われてピンチを招くことが多かったが、松本が引き気味に構えて守っていたこともあり、比較的落ち着いてパスを回すことができていた。
しかし、松本はボール奪取後の攻撃への切り替えが早く、カウンターに転じた際に複数の選手がタイミング良く前に出ていくため、攻撃の迫力という点では、最初から鳥取を上回っていた。敵陣に入った後にミスが多く、大きなチャンスを作るには至らなかったものの、鳥取にも決定機を作らせず、悪くない流れを保っていたと言える。
そうするうちに33分、松本が先制点を奪う。相手の攻めをはね返した直後、右サイドの玉林睦実が前方のスペースにロングラン。そこに左サイドの木島徹也から、大きなサイドチェンジが入った。グラウンダーのパスだったが、とりぎんバードスタジアムはこの日、キックオフの約2時間前から芝生に水がまかれたため、パススピードが非常に早く、ボールは失速せずに玉林へ。受けた玉林が早いタイミングでアーリークロスを送り、ニアサイドに飛び込んだ塩沢勝吾は足を滑らせて合わせられなかったが、中央に流れたところに、いち早く反応した船山貴之が走り込み、ヘッドで合わせて流し込んだ。
1点のリードを奪って折り返した後半は、前がかりに攻める鳥取に対し、松本がカウンターで追加点を狙う構図に。松本の反町康治監督が「最後の45分間はハッパをかけて送り出しましたけど、フラフラになるのは分かるかな、というゲームだった」と振り返ったように、3連戦の最後ということもあり、徐々に疲れが見え始める中で、それでも攻撃に転じた際は多くの選手が長い距離を走り、チャンスを作った。しかし、59分、61分と塩沢が決定機をつかんだものの、いずれも決めることができない。64分までに2人を代える早めの選手交代で動いた鳥取も、65分過ぎからは右サイドバックの尾崎瑛一郎の攻め上がりを中心にチャンスを作ったが、66分にゴール前のこぼれ球を狙った住田貴彦のシュートはGK野澤洋輔の正面を突き、69分に尾崎のセンタリングを吉野智行がヘッドで狙ったシュートは、ゴール左に外れた。
残り10分を切った81分、鳥取はDFの内間安路を前線に投入し、パワープレーで同点を狙ったが、81分、84分に、その内間が狙ったヘッドは決まらず。88分からはセンターバックの戸川健太も前線に上がりっぱなしとなって、さらに圧力を加えたが、最後の一線を割れなかった。松本は84分と終了直前のアディショナルタイムに、交代出場のエイジソンが決定機を逃して2点目こそ奪えなかったものの、守備陣が粘り強く守り、前半の1点を守って逃げ切り。6試合ぶりの勝利で勝点を24に伸ばした。
敗れた鳥取は、これで今季ワーストを、さらに更新するリーグ6連敗で、昨季33節から最終節までのクラブワースト記録に迫り、岐阜と入れ替わって21位に後退。尾崎瑛一郎は「なかなか得点できるような感じに持っていけないし、失点すると下を向いてしまう。このまま、ずるずるいってしまうと、降格のところ(残留争い)で苦しくなる」と強い危機感を示した。今季3節で町田にホームで敗れたとき、9節で最下位に転落したときは、そうした危機感が結果をたぐり寄せるきっかけの一つとなったが、現在は光明を見いだせる要素も少なく、厳しい状況がさらに続く可能性も十分にある。
松本は、大分とのアウェイ、松本でのホームに続き、約7時間というバスでの長距離移動を経て臨んだ鳥取で、価値ある勝利。反町監督は2点目を奪えなかった詰めの甘さを指摘しつつも、「勝点3を取れたのは、非常に大きい」と喜んだ。ボランチのユン ソンヨルが右足首を痛めて欠場したものの、代わりを務めた今季初先発の大橋正博が、しっかり穴を埋めたことについても、反町監督は「彼の良いところは攻撃のアイディアで、ウイークポイントもある。だけど、それを補うために努力した。彼にとってはビッグゲームだったと思う」と評価。選手層が厚くなってきていることを、結果で実感できる大きな勝利で、19位以下の下位グループとの勝点差を10に広げ、さらに上を狙っていく土台ができたと言っていい勝点3となった。
以上
2012.06.18 Reported by 石倉利英
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