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【J2:第19節 東京V vs 岐阜】レポート:苦しみながらも勝点3をつかんだ東京Vは3連勝で2位浮上!岐阜は4失点も今後への手応え掴む試合内容に。(12.06.14)

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終わってみれば4−1とスコアは開いたが、点差はゲーム内容をそのまま表わすものにはならなかった。それは、試合後のミックスゾーンにも顕著に表れていたように思う。数字上の大敗に悔しさを口にしながらも、プラン通りのサッカーが「ある程度できた」(行徳浩二監督)ことに手応えを感じていることは、岐阜の選手たちの表情を見れば十分伝わってきた。一方、4点と大量得点を奪いながらも、東京Vの選手たちから聞かれたのは「難しかった」「うまくいかなかった」など、苦戦を強いられたことへの反省の言葉ばかりで、そこに笑顔はほとんどなかった。

試合は、早い時間から動いた。前半3分、飯尾一慶がドリブルから出した裏へのスルーパスを阿部拓馬がシュート。GK時久省吾に弾かれたところに西紀寛がしっかりと詰め、頭で押し込んだ。今、東京Vにとって先制点を挙げることは、自分たちのサッカーを全力でやるためにも、勝点3を得るためにも最も大きなポイントとなっている。だからこそ、絶対に取りたかった先取点を開始3分で奪えたことで、幸先良いスタートを切れたかに見えた。が、皮肉にも、その大事な鍵があまりにも早い時間に簡単に手に入ってしまったことで、逆に「ホッとしてしまったところはあったと思います」と梶川諒太はじめ、他の何人もの選手も、「油断」が生じたことを猛省する。もちろん、“先に点が入ったこと”自体は、非常に大きな収穫であることは言うまでもない。問題は、その後だと、飯尾は振り返る。「1点入った後ですよね。その後10分ぐらいは、すごく良い形で自分たちのサッカーができていたのに、そこで2点目3点目を取れなかったのが悪かった」。梶川も、「すぐにたたみかけるべきだった」と悔やんだのは、9分後にあまりにもあっさりと同点ゴールを奪われることになったからである。同12分、パスカットに成功した染矢一樹からの左からのクロスを井上平がスルーし、樋口寛規がフリーで受ける。思い切って放ったミドルが東京Vゴール右隅へと吸い込まれていった。このゴールで、東京Vが主導権を握っていたはずの試合展開は、大きく変わっていったのだった。

初めての4-1-4-1システムに慣れてきたこと。そして、樋口の同点弾で自信と落ち着きを取り戻した岐阜は、対東京Vのためのゲームプラン「相手のMFのところの仕事を抑えて、奪って、カウンターをしかける」(行徳監督)という戦い方を徹底してできていた。守備意識が非常に高いだけに、「全員守備への帰りが早くて、ペナルティエリアの周りにあっという間に人が揃ってしまって、スペースがなかった」(飯尾)、「攻撃がシュートで終われず、途中で変な奪われ方をしてしまって、守備に体力を使わされてしまった」(梶川)と、攻めあぐねる時間が、特に前半は続いた。

後半にも持ち越した、そんな停滞した状況を一変させたのが、選手交代だったのではないだろうか。後半12分にジョジマール、同23分に小林祐希が入ったことで、一気に流れが変わった。「スペースがなかったから、(阿部)拓馬にスペースを空けてあげるように言われていた」というジョジマールが入ったことで、「反応が良いから、相手のDFにただ大きいクリアで弾き返されることがなくなった」(和田拓也)ことで、前に意識を持っていくことができるようになったと語る。また、小林も、味方が中盤でボールを奪うと一瞬にしてゴールへ向かって全力疾走。これはジョジマールも同じで、そこから、東京V持ち前の勢いある、相手ゴールに押し寄せるような攻撃展開が見られるようになってきた。ボールへの執着心も非常に強かった。前々節、前節と、それぞれ試合出場に飢えて悔しさ抱えている2人が、その思いの丈をしっかりとピッチで示した。

そして、勝負を決めたのもまた、小林だったと言っても過言ではないだろう。後半30分、自らが放った好ミドルシュートはバーに弾き返されたが、そこから上手く体を入れて阿部がPKを得ると、そのPKを落ち着いて決め、決勝ゴールとした。苦しみながらも再び奪ったリードで活気づいたチームは、その後も高橋祥平、阿部(PK)と2点を追加し、今季2度目の3連勝を勝ち取った。「ものすごく重要な試合」と、指揮官が言う次節は、宿敵・千葉との首位対決となる。この試合の前、川勝良一監督は「(岐阜戦の)次(=千葉戦)のためにも、次(=岐阜戦)が大事」だと語っていが、『苦しみながらも勝った』ことも、間違いなく“次”につながる経験・収穫となったはずだ。日曜日、非常に楽しみである。

岐阜も、敗れたものの、疲労を考慮して李漢宰を外したことで、「服部の1ボランチになるのを、前の4人で埋めようということしか考えてなかった」として敷いた4−1−4−1システムは、機能したとみていいのではないだろうか。選手たちも「相手のイヤがるDFはできたと思います」(樋口)など手応えを口にしていた。ただ、この試合においては、初めてのシステムで立ち上がりに戸惑い、その時間帯に失点したことが何よりも痛恨だったに違いない。「あそこで失点していなかったら、違った展開になっていたと思うと本当に悔しい」と、同点ゴールを挙げた樋口は唇をかみしめた。東京V対策として、攻撃面でも「今日はミドルとバイタルに入るのでそこからいこうと送りだした」(行徳監督)という中、ミドルシュートで得点を奪ったことは大きかったに違いない。だが、やはり追加点を奪えない所が、これまで同様、岐阜の今後の最大の課題と言えるのではないだろうか。
ただ、繰り返しとなるが、「やろうとしているサッカーが少しずつはできてきているという手応えはあります」と、選手たちも口々に語っている。これからどのように行徳サッカーが浸透していくのか、注目したい。

以上

2012.06.14 Reported by 上岡真里江
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