3359――。
試合後には決まって両チームの監督が記者会見が行われ、J's GOALではその場での発言を文字に起こしている。冒頭の数字はというと三浦泰年監督の会見を起こしたときの文字数。おおむね2000文字、5分強程度の時間を割く監督が多い中、突出した長さだった。「本城に勝てなかったのは悔しいですが、私の気持ちは非常に前向き」。2節前のホームゲームで湘南に辛勝したときよりも、三浦監督の語気は強く、明るかった。
攻撃面を中心に内容に手応えを得る試合だったと言っていいだろう。明らかにシュート数が少なかった前節の福岡戦に比べてフィニッシュの意識は高く、特に後半はミドルレンジから何度もシュートを放った。ただGKの正面に飛んだり、枠を大きく逸れるなど精度は低く、セカンドボールを得るまでには至らなかった。「ちょっとの差」と木村祐志。「練習でどれだけイメージしながらできるか」と差への挑戦を誓う。
一方で球際の強さを取り戻せているとは言い難く、「ボール際、球際、相手とのボディコンタクトのところで簡単に転んでしまう」と三浦監督。簡単にゴール前まで運ばれる場面が多く、守護神・佐藤優也に頼ることになった。
試合を振り返っていこう。
栃木は廣瀬浩二、棗佑喜の両FWのスピードが生き、縦パスにもタイミング良く反応。4分にペナルティエリア内から廣瀬が棗に送ってシュートにまで持ち込んだり、その直後にもやはり棗が左サイドを鋭く突破していくなど立ち上がりからチャンスを作っていく。
一方で北九州も安田晃大が「福岡戦が前半悪かった。それもあったので今日は勝ちたかった」と気合い十分。ワイドに流れた池元友樹のクロスを受けて何度もミドルシュートを放った。
先制点は、気合いに勝った北九州。24分。キローラン木鈴が自陣内でボールを得ると右サイドを上がる安田に送り、キローラン木鈴はそのままするするとゴール近くまで上昇。安田のクロスにゴール前で池元と栃木のDFが競って両方とも触れず、そのままファーサイドに流れたところを、キローラン木鈴が頭で押し込んだ。キローラン木鈴はJリーグ初得点。ユース時代にも流れの中からの点はあまりなかったといい、「点を取ったことは素直に嬉しい」と笑顔を見せた。もっとも北九州はこのあと追いつかれるため、キローラン木鈴は「もっと言えば失点をしなければもっと気持ちよく終われていた」と表情をすぐに締め直した。
しばらくは北九州の時間が続くが追加点は奪えず、じわりじわりと栃木が主導権を握るようになる。そして39分。左サイドを棗が崩し、最後は「ボールが縦に入った瞬間にシュートを意識」したという高木和正がゴール右隅を突く巧みなシュートで同点ゴール。試合は振り出しに戻る。
後半は立ち上がりは栃木のペース。開始直後には波状攻撃を仕掛けゴールにあと一歩まで迫ったが、枠内に飛んだシュートを北九州の宮本亨にかろうじて弾き出されるなど、栃木もちょっとの差が埋まらなかった。その後は双方にシュートを打ち合う大味な内容になっていったが、13分の北九州・常盤聡の左足弾はわずかに左に外れ、14分の棗のヘディングはクロスバーのわずかに上を通過。26分には菊岡拓朗もシュートに行ったが枠を捉えられなかった。
そして後半33分。栃木の宇佐美宏和が、池元の突破に対するチャージを取られて一発退場を喰らう。これによって栃木は「闇雲にいっても結局墓穴を掘るだけ」(松田浩監督)と判断。守備を固め、勝点1の固持へとシフトチェンジした。
北九州はレオナルド、林祐征と投入してスピードも高さも出してはいたが、ブロックを崩すことはできず、結局、勝点1を分け合った。
双方とも「ちょっとの差」が最後まで埋まらなかったが、この差を乗り越えていく作業は次へのステップになる。両監督が選手を称えていたことも印象的だった。「次に向かって勇気を出して乗り込みたいと考えておりますので、みなさんも期待していただきたいなと思っています」(三浦監督)。長かった会見のエッセンスはその言葉に凝縮されるかもしれない。北九州の次節は熊本とのダービー。その言葉を信じて、熊本に乗り込みたい。
以上
2012.06.14 Reported by 上田真之介
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