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【J2:第19節 横浜FC vs 大分】レポート:一瞬の隙を見逃さない試合巧者の大分が、横浜FCの猛攻を退ける。両者に収穫がある好ゲーム。(12.06.14)

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つなぐサッカーが浸透して6連勝中と好調の横浜FCと、安定した戦い方でプレーオフ圏内に位置する大分の対戦は、両チームが現在の地位を勝ち得ることができた理由がピッチ上にそのまま反映された好ゲームとなった。その中で、勝敗を分けたのは、勝負所で相手の隙を逃さずにゴールを陥れ、相手の攻撃を全力で阻止する大分の試合巧者ぶりだった。

横浜FCには、大分のような3-4-2-1のフォーメーションを取る相手へのプレッシャーがはまらない状況があった。この試合では、大分のボランチに対するプレッシャーを高めるために、八角剛史と佐藤謙介を縦関係に配置するが、この策が立ち上がりはうまく機能せず、中央で大分のドリブルを何度も許してしまう。一方の大分は、ポゼッションを狙う横浜FCのサイド攻撃に蓋をすべく守備の際には5バック気味にしながら、ボールを奪うと森島康仁と村井慎二を起点にしながら積極的に攻撃を仕掛ける。田坂和昭監督が試合後に述べた「チームでボールを運ぶ、全員でゴールを奪いにいく、全員で守る」というチームとしてのコンセプトを体現した。

試合の流れが変わったのは25分を過ぎたあたり。森島への縦パスへの対応ができ始めると同時に、攻撃時にボランチの1人がフリーになり、高地系治がプレスをかいくぐり前を向けるようになると、一転して横浜FCの「前進する保持」が機能し、横浜FCペースにとなる。前半のシュート数は横浜FCが8本に対して大分は2本。横浜FCは積極的に攻め立てたが、体を寄せて少しでもシュートコースを限定しようとする大分DFの気迫と、GK清水圭介の落ち着いたセービングでゴールを割ることはできなかった。

後半の立ち上がりから、大分は森島が少し低めのポジションを取りボールを積極的に引き出すようになる。そして、58分に大分が高松大樹を投入して前での起点を増やした後に、この試合唯一と言ってよい「勝負所」が訪れる。64分、森島と高松の高さを狙ったアーリークロスから、大分がコーナーキックを獲得。この時、大分はペナルティエリア内に実に7人を配置し、勝負を掛けてくる。コーナーキックのクリアボールを大分が拾うと、大きく右にサイドチェンジ。そのボールを西弘則が鋭いドリブルでペナルティエリアに切り込むと、折り返しを三平和司が冷静にゴールに流し込んだ。7人のプレーヤーが前残りしていたことに加え、西のアイディアと思い切りが融合したゴールだった。横浜FCは、74分に野崎陽介、82分に田原豊を投入。残りの全ての時間で積極的にゴールを狙い、守備を固める大分をなんとか切り崩そうとプッシュしつづけるが、大分の粘り強い守備に阻まれる。アディショナルタイムには、コーナーキックの際にシュナイダー潤之介が上がる執念も見せるが、ゴールを割れず。シュート6本の大分が、14本の横浜FCを下しその7連勝を阻むと同時に、2連勝を達成した。

横浜FCは、前半の25分以降のペースを握っている時間にゴールを奪えなかったことが大きく響いた結果となった。しかし、横浜FCの戦術への研究が進む中で、堅い守りをこじ開けようとする執念を最後まで見せ続け、なおかつ新たな攻撃パターンにもトライし続けた部分には、次のステップへの成長の種も見えた。それは、80分に中央の密集地帯を八角がワンツーで抜け出してシュートチャンスを作り出した場面にも現れている。この試合は大分を切り崩せなかったが、パスワークから相手を崩すサッカーにこだわり、なおかつワンランク上の守備を持つ相手に勝負を挑んで得た感覚は、今後の上昇の糧になることは間違いない。八角の「今まで、ここまで研究されることはなかったし、次にステップアップできれば、もっと上を目指せるサッカーになる。ポジティブにできている。上に向けた課題もはっきり見えているし、次の試合が楽しみ。次節の栃木もしっかり守ってくるし、そこをこじ開けたいという気持ちになっている」という言葉は、チームがこの試合で得たものを表している。

勝利した大分は、第16節、第17節の連敗から立ち直り、全員でサッカーをする大分らしさを取り戻したという意味で、狙い通りの勝利と言える。試合途中で足を攣る選手が数多く見られたが、それぐらいチームで走ってつかんだ勝利だった。そして、好調の横浜FCの攻撃を、最後のDFラインではしっかりと跳ね返す落ち着きと守備の堅さは見事だった。アウェイで勝点3を持ち帰り、プレーオフ圏内をしっかりとキープできたことは、今後につながる自信とともに大きな収穫となる。

横浜FCの「前進する保持」と大分の「全員サッカー」。両者が磨いてきたチームの特徴が、余すところなくピッチの上に表現された。勝った大分も、負けた横浜FCも、シーズン中盤にかけてより成績を伸ばす可能性を大いに感じることができた試合だった。

以上

2012.06.14 Reported by 松尾真一郎
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