サポーターのために勝利を。その思いは誰よりも強く、揺るぎない。前節、水戸との北関東ダービーで大敗を喫したことでその思いはさらに膨らみ、上位進出に足踏みが許されないことも理解していた。だからこそ、岡山戦に懸ける思いには並々ならぬものがあった。
「前節負けていたし、チームのカンフル剤になって活躍してやろうという気持ちだった」
連敗ストップのチャンスは巡って来た。CKの流れから大和田真史がファウルを受け、ペナルティエリアのすぐ外でFKを獲得した20分。菊岡拓朗の絶妙なキックはポストに嫌われるも、すぐさま河原和寿はリバウンドに反応しボールに食い付いた。左足で捕らえたボールは体勢不十分が災い。シュートは力なくゴールラインを割った。芝を叩き、天を仰ぐ河原。
「チームの流れも自分のパフォーマンスも悪かったけど、ひとつ決められるチャンスがあった。そこでの集中力というか、繊細さが足りなかった」
怪我で長期離脱しながら途中出場でアピールを繰り返して掴んだ、本職のFWの位置での今季初先発。シュートはわずか1本だったが、その1本で勝利を呼び込めた可能性が高かっただけに悔やみきれない。
「チームへ迷惑をかけた。FWとして責任を感じる」
河原の口からは反省の弁ばかりが漏れた。
チャンスを逃した栃木に対し、22分に岡山は先制点にして決勝点を挙げた。栃木は14分にもCKから廣瀬浩二がビックチャンスを迎え、押し込むだけの決定機でゴールが奪えなかった。河原だけが責任を負う必要はないが、2度あった先制のチャンスを見す見す逃したことは痛恨。勝負の世界は非情だ。仕留め損なえば、必ず痛い目に遭う。またしても、そのことを痛感させられた。
4試合ぶりに勝利を飾り、8位に浮上した岡山。前節の反省点である立ち上がりをうまく乗り切ったことが大きかった。「前のスペースを使いながら前に力をかけることが狙いとしてあった」と千明聖典が明かすように、フィジカルに長けたチアゴと川又堅碁にボールを集めては栃木のDFラインを押し下げ、その開いたスペースで金民均がアクセントになったことでボールが円滑に動いた。また、「こぼれ球を拾ったりだとか、そういったあたりで前半は先手を取れたのでボールを握れた」(影山雅永監督)。
難を逃れると、栃木のミスから石原崇兆のゴールで先手を奪う。その後は5バック気味に守って隙を与えず。「相手をうまく操作できずに、逆に操作された感じ」と河原を悔しがらせた。常に自分達の目の届く範囲に栃木を封じ込め、パワープレーにも耐え抜き逃げ切りに成功。指揮官は課題を克服し勝ち切った選手達を褒め称えたが、その一方で劣勢に立たされながらも後半にあったカウンターチャンスを潰したことを反省材料に挙げた。89分、カウンターから川又が左サイドを駆け上がり、そのクロスを澤口雅彦がフィニッシュしたシーンは、その典型だった。常に1‐0で逃げ切れるとは限らない。安全圏となる2点目を取ることを目指し、「大人のチーム」(影山監督)へと成長したい。
上位と勝点差を縮める機会を逸した栃木だが、「負けたけどマイナスな部分ばかりではない」と大和田。その大和田の復帰が、まず好材料。センターバックの本職不在で戦ってきたチームにとっては小さくない。守護神・武田博行の戦線復帰もプラス材料だ。失点後に2度も絶体絶命のピンチを防いだ安定感と気持ちの強さは、中3日で挑む北九州戦に向けた活力となるはずだ。失点に繋がる安易なミスを減らし、守備陣の奮闘に攻撃陣が応え、アウェイから“グリスタ”へ勝点3を持ち帰りたい。
以上
2012.06.10 Reported by 大塚秀毅
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