J1昇格を目指す大分にとって3連敗は許されなかった。村井慎二が「連敗後だったし勝利優先だった」と語ったように、内容より結果がすべて、そんな気迫が選手全員に宿っていた。
試合前日、選手だけのミーティングを開き、その席でチーム在籍年数が12年の高松大樹が、経営再建中のクラブのいまと、これまで幾度となく訪れたクラブ消滅の危機に対し、多くの方に支えられてきたクラブの過去を熱く語ったという。いつもは口数の少ないミスタートリニータの言葉により、チームの方向性がひとつのベクトルになって進むことになった。
試合は開始8分に幸先よく先制。三平和司が右サイドから切れ込み、イ・ドンミョンがクロスに競ったこぼれ球を森島康仁が懸命に拾い、角度のないところから強引にシュートを押し込んだ。どのプレーも決して可憐なプレーではなかった。「粘って粘って取った点」と森島が振り返ったように泥臭かったが、「何としてでも勝ちたい」気持ちは十分に伝わった。
先制後は勢いに乗れず、逆に松本に押し込まれる展開が続いたが、一旦ブロックを組んで守るという意思統一を図り、ルーズボールに食らいついた。後半に入りさらに松本の反撃は続いたが、大分は動じる事なく対応。最終ラインが5枚になることも多々あったが全員守備をベースに、セカンドボールを拾うとカウンターを突破口として押し返すなど、流れを明け渡さなかった。時間の経過とともに集中力は研ぎ澄まされ、松本の決定的なシュートをことごとくブロックした。
88分には、またもイ・ドンミョンが競ったこぼれ球を森島が詰め、GKのミスを誘い追加点を決めた。その後のアディショナルタイムを含めた6分は、相手コーナースポットで高松、石神直哉らが憎らしいほど巧妙にボールをキープし時間を使い、万全な形で勝利を呼び込んだ。
一方の松本は、早い時間帯に先制され、守備の意識が高かった大分の壁を打ち破ることができなかった。試合後に反町康治監督が「我々のチームの課題だが、ペナルティエリアに入ってからの精度が今日は露呈した」と話したように、最終ラインから中盤を経由してゴール前までボールを運べているにも関わらず、フィニッシュの数、アイデアがともに少ないのが課題である。
それは選手もわかっている。「形はつくれたが自分の力が足りなかった。決めるべきところで決めなければ、こうなる」(塩沢勝吾)。「先に点を取られ難しい試合になった。そのなかでチャンスをつくり、粘り強く戦えた。どんな試合でも身体を張って、点を取るところで決めなければ、こうなってしまう。守備に関しては隙を与えないパーフェクトな守備をしないといけない。難しいことだが、やり続けるしかない」(飯尾和也)。
どのチームの課題でもあるが「決定力」の改善が必要で、隙を与えない守備を貫くことができれば、再び勝点を伸ばしていくことは可能だろう。
以上
2012.06.10 Reported by 柚野真也
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