J’s GOALのトップページにはJ1、J2ともにリーグランキングが掲載されている。J2は1位から6位まで、湘南は現在そのいちばん下に位置している。
前節はアウェイ北九州戦に臨み、敗戦を喫した。それまで5試合引き分けが続き、次こそは、と勝利を期していたチームにあって、真逆の結果は端的に言って厳しい。引き分け続きなら「負けなし」とポジティブにも捉えられようが、負けてしまえばそんなレトリックも通じない。序盤戦の快進撃とのコントラストに失速の文字が躍ってもおかしくはない。ただ、開幕以来上位6チームの枠から一度も漏れたことはなく、目下8試合勝利から見放されているにもかかわらずいまなおそこにとどまっている事実には、序盤戦の積み上げとリーグの混戦ぶりもまた逆説的に浮かび上がる。
北九州戦では0−0で迎えた後半開始早々に先制を許し、一度は追いつくもすぐに突き放され、終盤さらに追加点を与えた。先手を取り、追いつかれてなお相手を置き去りにする展開は、快進撃の渦中にあった湘南を想起させなくもない。いずれにせよ、ボールロストやミスを契機に後手を踏んだ。また惜敗の一方で、菊池大介の9試合ぶりのゴールや吉濱遼平のプロ初出場初ゴールなど喜ばしい足跡も残されている。翻ってホームに戻る今節は、まずは先手を、端的に言えば先取点を奪い、ゲームの主導権を引き寄せたい。
かたや今節BMWスタジアム平塚に乗り込む富山は、3勝9敗5分の勝点14で現在19位に沈んでいる。ただ、「縦に速く、ボールを失ったあとのプレッシャーも速い。選手たちがそれぞれの責任を果たしている」と湘南の曹貴裁監督が印象を語ったように、下位に甘んじているとはいえその内容にはチームの一体感を覚える。前々節はアウェイで愛媛を降し、前節はホームで京都と引き分けており、今季これまで3試合と続いていない勝点奪取を今節こそは果たしたいところだろう。
前節の京都戦では、持ち前のハイプレッシャーが相手のパスミスを誘い、奪った黒部光昭が冷静に流し込んで先制した。前半の終わりにPKを与えて追いつかれたものの、後半の粘り強い守りとともに勝点1を手にし、京都を首位から引きずりおろしている。先取点を決めた黒部をはじめ、ボール奪取の契機となったソ ヨンドクや空中戦に強い福田俊介など得点力を具える。対する湘南としては、大西容平のクロスとあわせて注意したい。
また湘南は今節、古橋達弥とハン グギョン、大野和成が出場停止となる。怪我も重なり、台所事情を含めて厳しい状況にあるが、しかし選手会長の山口貴弘は語っている。「1年を通じてこういう厳しい時期は必ずある。たしかに勝てていないけれど、練習から気持ちを引き締めて、前向きにしっかり取り組むのみだと思う。こういうときこそいかにまとまるかが大事」。好ましい状況ではないからこそ、チーム力の見せどころと言えるかもしれない。
一戦を前に、あらためて曹貴裁監督は言う。
「自分たちの判断を磨かなければ湘南スタイルの質は上がっていかない。戦術のなかで空気を感じ取り、発展的に打ち破っていく判断や勇気が大事。選手たちには脱皮してもっと大きくなってほしい。そのために、通らなければならない道だと思っている」
自己判断を磨き、共有をもってチームとしての判断に昇華する作業は、一朝一夕に結果に導かれるたぐいのものではない。一方で目指しているのは目の前の勝点3だ。一見相反するこの課題を克服したら、現在の取り組みを経て勝利に結ぶことができたなら、一皮むけた強さの獲得を意味しよう。さなぎを不用意に動かしては成虫にはなれない。進化を想い、そして、指揮官の願う脱皮の瞬間を見たい。
以上
2012.06.08 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
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