Ｊリーグヤマザキナビスコカップ・Aグループは何やら混沌としてきた。Ｃ大阪・磐田・鳥栖（ここまで消化した試合数4）の3チームが勝点9で並ぶ状態で、その次に勝点6で仙台（同じく4試合消化）がつける。今節はこの混戦から抜け出そうとする首位・Ｃ大阪と、決勝トーナメント進出を目指してこの上位の混戦に食いこもうとする4位・仙台がユアテックスタジアム仙台で激突する。

両チームとも前節に3点を叩き出し、攻撃陣が波に乗っている。そしてどちらも水曜日の試合から中二日で次節を迎えるということで、試合感覚が短いなかでは前節に得た勢いを持ち越す可能性が高い。打ち合いも大いにあり得るカードだ。

アウェイの地に乗りこむＣ大阪は、代表招集で清武弘嗣とキム・ボギョンという攻撃のタレントを欠きながら、これまた攻撃性の高い川崎Ｆとの打ち合いを3-2で制した。仙台戦では扇原貴宏、酒本憲幸、播戸竜二を出場停止で欠くことになったが、結果を出す中でニューヒーローが台頭する流れができている。川崎Ｆ戦では公式戦3試合連続得点を記録したケンペスとともに、Ｃ大阪が誇る柿谷曜一朗が得点感覚を発揮。さらにルーキー吉野峻光の登場もあり、欠場者の穴を埋めて余りある勢いが感じられる。敵地でも守りに入らず、サイドからでも中央からでも攻撃のしかけを作動させて仙台ゴールをねらう。

迎え撃つ仙台は広島戦で先制を許しながら、後半に3点を連取して逆転勝利。後半の固め打ちが多いことに象徴されるように、今季の仙台は流れを相手に持っていかれそうになっても攻撃力で奪い返す戦い方も身につけている。現在、守備陣を中心に負傷者が出ているが、メンバーが入れ替わっても腰が引けることのない戦いで、前に向かう試合運びができている。
ニューヒーロー賞候補の武藤雄樹・奥埜博亮といった積極的に前に出る若手がＣ大阪の攻撃陣の対抗馬としては有力だ。「スタートから使ってもらっているときはもちろん、『やってやろう』という気持ちをプレーに出してチャンスをものにしていきたい」と武藤は意気込んでいる。

そしてＣ大阪の柿谷のように、前節に2得点して波に乗っている選手が仙台にもいる。広島戦で今季公式戦初先発と同初得点を記録した中原貴之がその人で、「レギュラー争いに残るためにも結果が欲しかった」という意気込みのもとで奪ったゴールを、Ｃ大阪戦の勝利にもつなげようとしている。柿谷がテクニックなら中原はパワーで勝負。抜群のジャンプ力とシュート力を味方とのコンビネーションのなかで生かし、さらなるゴールをねらっている。

Aグループの混戦を象徴する2チームの勝負は、勢いに乗った両チームの攻撃陣がカギを握っている。

以上

2012.06.08 Reported by 板垣晴朗