富山が粘り強く戦って1−1で引き分け、首位・京都の連勝を5で止めた。昨季から3度目のドローとなった京都・大木武監督、富山・安間貴義監督の師弟対決は試合後のコメントも象徴的だった。両チームの監督、選手が繰り返した共通のキーワードは「やるべきことをやる」。やるべきことをやり切った富山が「すごく大きな勝点1」(安間監督)をつかみ、大木監督は「権利ばかりを主張して義務を果たしていない。それで勝てるわけがない」と不満を口にした。
「やるべきこと」とは富山、京都が共有する戦うための前提となる基本プレーであり、姿勢ともいえるもの。前からプレスにいく、攻守を素早く切り替える、守備のスタートポジションをしっかりとる、ボールをもらうために走る、といった主にボールを持っていないところでのプレーを指している。両指揮官は昨季から選手たちに叩き込んできた。
「京都には常識的な対策は通用しない。覚悟を決めて自分たちのストロングポイントで挑むぞ」。安間監督の檄に奮い立った富山の選手は序盤から飛ばした。「やるべきこと」であった前線からの献身的かつ丹念なアプローチを繰り返す。京都のパスワークを調子づかせることなく、逆に主導権を握って相手陣でプレーした。10分、MFソ ヨンドクがバイタルエリアでプレスをかけて相手のミスを誘発させ、FW黒部光昭がコントロールしたシュートをゴール左に決めた。その後のキックオフにも勢いよく襲いかかるなどチャレンジ精神を失わずにプレー。ボールホルダーに付かず離れずの距離に素早く寄せ、タイミングを見逃さずにパスをカットするなど神経を張り詰めた対応を続けた。
京都は徐々に盛り返すが、パスワークのテンポがなかなか上がらなかった。それでも43分、ペナルティーエリア内で倒されたMF中村充孝が自身でPKを決めて同点に追い付いた。ハーフタイムに大木監督は「前からしっかりいくこと。あと45分、もう一度やり直そう」と指示。選手があらためて「やるべきこと」を自覚したことで後半は攻防の様相も変わり、両チームの対戦らしい中盤での激しい密集戦が増えた。地力でまさる京都が押し込むようになり、何度も好機をつくった。後半37分にMF内藤洋平のスルーパスにMF駒井善成が裏に抜けてGKと1対1になるがシュートはゴール左へ。同43分にはFW原一樹がDFを交わして狙うがGKに阻まれた。
富山も同22分にソが相手の両ボランチをドリブルできりきり舞いさせて際どいミドルシュートを放つなど見せ場をつくった。アディショナルタイムにはカウンターからFW平野甲斐がGKと1対1になる。しかし、股を抜こうとしたシュートはGK水谷雄一に阻まれて金星奪取はならなかった。
富山の安間監督は試合後に選手に苦言を呈したという。「(ミスが出たり約束事を守らなかったりして)勝負に徹し切れていない時間があった。ここからはい上がるには、余分な感情を捨て、もっと勝負に徹しなければいけない」と話す。絶好機を逃した平野には「あそこで決めるのがお前の仕事だ」と伝えた。リーグ最強クラスの相手に全力を出し、克服しなければいけない課題が明らかになった。進むべき道がはっきりと見えた点からも大きな勝点1だった。
以上
2012.06.03 Reported by 赤壁逸朗
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