クラブ発祥の地・草津温泉での1泊2日ミニキャンプでチームをアップデートさせた草津は、有り余るパワーを漲らせながらキックオフと同時に福岡に襲いかかった。開始4分には遠藤敬佑のパスを受けた小林竜樹がいきなりオープニングシュート。ゴールこそならなかったがチームは一気に勢いづく。
小林、遠藤、金成勇が前線で活発な動きを展開した草津は、その後も福岡のDFラインを突破し次々と決定機を迎えて行く。「良いイメージを共有してゲームに入っていくことができた」(小林)。だが神山竜一の好セーブに阻まれどうしてもゴールネットを揺らすことができない。そんなムードを一変させたのが御厨貴文だった。34分、左CKの2次攻撃から小柳達司が入れた高速クロスをスラインディング気味に押し込み、9試合ぶりの先制点を決めてみせる。
クロスを入れた小柳が「ゴール前が混んでいたので感覚的に速いクロスをニアサイドへ入れた」と話せば、御厨は「なんとくなくニアに来ると思って飛び込んだ。うまくマークを外して入っていけた」と振り返る。サイドバックとセンターバックの攻撃的センスと互いのイメージが生んだ貴重な先制ゴールだった。
9試合ぶりの先制点で活気づいたチームは、その後も小林、林勇介らが次々と決定機を迎えて福岡を追いつめていく。前半アディショナルタイムには松下裕樹が渾身のFKを放つ。福岡GK神山の好セーブがなかったら、前半で試合は終わっていたかもしれない。草津は後半19分にも林が超決定機を迎えるが、流し込むだけで良かったシュートは無情にも枠外へ。決定機をことごとく外した草津は勝負のセオリー通りに、主導権を福岡へと手渡してしまう。
後半20分以降は、それまでの展開が嘘のように福岡のゲームとなっていく。ポゼッションを支配された草津だったが、センターバックを中心とした決死の守備で福岡の攻撃をブロック。単発な攻撃を繰り返す相手の迫力不足にも助けられて決定機を許さない。草津は勝ち慣れていないチーム状況も影響し、試合終盤は不安定なゲーム運びだったが、チーム一丸となった守備で福岡の捨て身の攻撃をしのいで1カ月半ぶりに勝点3を手にした。
福岡は、ゲーム中盤まで草津の激しいプレッシングに圧倒されてチームの特長を発揮することができなかった。前田監督は「前半45分でプレーしていなかった」とぶ然とした表情で怒りを抑え、多くを語らなかった。試合後の選手たちの姿からは、攻守のタレントを揃えながらもチームとして戦えないもどかしさがにじみ出ていた。J1復帰を目指す福岡にとって今は我慢のときだ。
9試合ぶりの勝利を挙げた草津は、チーム全体のハードワークと、縦と横を組み合わせたサッカーが復活。90分間走り続けた小林のハードワーク、相手の裏へ絶妙な浮き球パスを送り続けた松下の戦術眼など、選手の個性がピッチで表現された。流れの中からのゴールこそ生まれなかったが前半は今季ベストの内容だった。ただこの勝利は、9〜15節まで7連敗したうちの1つを返したに過ぎない。「一つ勝っただけで喜んではいられない」(松下)。連敗中に失った信頼を取り戻すには、勝ち続けることだけが求められる。
以上
2012.06.03 Reported by 伊藤寿学
J’s GOALニュース
一覧へ- natsuyasumi2024
- jwc2024
- 国立20240914
- pari olympic2024
- bluelock2024
- THE国立DAY
- 2024 明治安田Jリーグ フライデーナイトJリーグ
- 2024JリーグYBCルヴァンカップ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- AFCチャンピオンズリーグ 2023-24
- はじめてのJリーグ
- 2024天皇杯
- seasonreview2023 Jリーグ1年の振り返り(別ウィンドウで開く)
- シーズン移行の検討
- 明治安田Jリーグ 月間表彰
- 2023 移籍情報
- 大会概要まとめ
- 2024Jユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE