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【J2:第17節 横浜FC vs 熊本】レポート:熊本の術中にはまり掛けた横浜FCを救ったシュナイダー潤之介のPKストップと信頼感。横浜FCはJ入会後初の5連勝達成。(12.06.03)

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試合後の熊本・高木琢也監督の「全体の印象としては非常に面白いゲームをしてくれた印象」という試合後記者会見の言葉、そして横浜FC・シュナイダー潤之介の「今日の熊本は、彼らも手応えがあった試合だったと思う」というコメントにあるように、試合は熊本の術中に、横浜FCがほぼはまりかけていた展開だった。熊本のゲームプランは、横浜FCのストロングポイントを抑えつつ、先制点を取って逃げるという形。しかし、4連勝で得られた自信、チームの信頼感、そしてニッパツ三ツ沢球技場のサポーティングに後押しされたビッグプレーが、その逆境を跳ね返す原動力になった。

熊本の「術」。それは、片山奨典、藏川洋平の2人のワイドな選手を低い位置に置いて、横浜FCのサイドの選手の縦を封じることと、大久保哲哉、田原豊の2トップへのクサビのパスを体を張って阻止することだった。熊本のコンタクトに苦しむ横浜FCを尻目に、この戦術を忠実に実行した熊本が主導権を取っていく。ただし、熊本はその分、攻撃の際のパワーを出し切れず、試合は中盤でスペースの探り合いをしながら膠着に陥る。ターニングポイントである29分まで横浜FCは2本、熊本は3本のシュートを放っていたが、そのうち4本がミドルシュートであり、意図的な膠着状態が生まれていたことがわかる。

そして、29分、CKからの競り合いで高橋祐太郎がファールを受け熊本がPKを獲得。熊本にとってはゲームプラン上の大きなチャンスを迎える。しかし、このPKの時にニッパツ三ツ沢球技場には「潤之介」コールが大きくこだまし、今季最大のサポーティングでシュナイダー潤之介を後押しする。そして「ひたむきさが無かったと思う。入る気でいたし、謙虚さがなかった」という武富孝介のシュートコースを、シュナイダー潤之介が細かな駆け引きで狙い通りに誘い込み、見事なPKストップを見せる。熊本のゲームプランを打ち砕くには十分なビッグプレーだった。

ここから、横浜FCが本当にペースをつかむまでには少し時間を要したが、35分をすぎるあたりから、蓋をされたサイドの突破だけを狙うのではなく、横幅を考えたポジションチェンジを増やし、ようやくポゼッションを強める。そして、44分の大久保のシュートは吉井孝輔にライン上でクリアされるが、得られたコーナーキックのこぼれ球を武岡優斗が押し込み先制点を挙げた。35分にペースを握り始めてから、ゴールを挙げる45分までの10分間で可能性の高いシュートを4本放ち、ペースをつかんだ時間に寄り切る力をつけたことを証明する形となった。

1点リードした後半は、攻勢に出る熊本に対して横浜FCが冷静に守ってカウンターの基本的構図が出来上がる。後半の熊本は下げていた片山、藏川のポジショニングを高くするが、その状況に対応して横浜FCは山口素弘監督が磨いてきた守備ブロックを構築。こまめにラインコントロールはするが、場合によっては低い位置のブロックでも割り切る守備を見せる。そして、時間の長さを考えると守り一辺倒では守りきれないという判断のもと、前線に高地系治、カイオを投入する。一方の熊本は、守られた時に打ち破るパワーを発揮することができなかった。それは後半に武富、高橋、西森正明の3トップを全員交代させないといけないところにも現れていたと言える。そして、45+2分、横浜FCのゴールキックを大久保がヘディングで裏に流すと、数的同数になっていたセンターバックの間でカイオが受けて、そのまま抜け出しゴールを決める。横浜FCは逆境を跳ね返す冷静さを見せつけるJ入会後初の5連勝を達成した。

横浜FCにとっては、これまで磨いてきた武器を状況に応じて組み合わせることで、良くない状況でも切り抜ける自信をつけたゲームとなった。ペ スンジンが「点を取ってくれるという信頼感がある」と話せば、田原が「守備陣がよく守ってくれるのが勝利の要因」と語るように、攻守の信頼感が大きなベースとなっている。そして、苦しんでいたカイオが復活のゴールを挙げたことも、チーム全体の底上げに大きい。ただし八角剛史が「内容は良くなかった。このままでは上位には勝てない」と述べるように、上位に這い上がっていくには、研究された時の対応でのレベルアップが必要。連勝に酔うだけでなく、次の1戦に勝つことに集中しなければならない。

熊本も、単に守るだけでなく、きちんとつないでビルドアップするという狙いは見せられた試合。PKを決めていれば、結果は逆になった可能性は高かっただけに、結果がついていないことで、やり方を変える必要はないだろう。守備の形は持っており、1つ1つの精度を高めていけば、前節の山形戦のような形は十分に再現できる。この日の内容は、十分に意味があったものだった。

かつて「ハマナチオ」を横浜FCに構築した高木監督を相手に、その術を打ち破りさらに守ってカウンターで追加点という2006を少し彷彿する形で追加点を挙げてみせた山口監督。試合中の駆け引きを含めて、采配でも非常に見応えのある一戦だった。

以上

2012.06.03 Reported by 松尾真一郎
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