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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第17節 東京V vs 大分】プレビュー:失点後のメンタル強化が最重要課題の東京V。「ナニクソ!」の思いで克服なるか。積み上げがみられる大分は、田坂フットボールをより深めたい。(12.06.02)

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先制点が1つの鍵を握る。とは、一般的にも非常によく言われることだが、いまの東京Vにとっては、その先制点が「すべて」という状況になりつつあると言わざるを得ないのではないだろうか。先に点を取った試合は滅法強く、勢いに乗ってアグレッシヴで攻撃的な戦いを披露する。だがその一方で、先に失点を喫するとたちまち状況は一変し、消極的なゲームに終始してしまう嫌いがある。前節の栃木戦も、それを象徴するような試合だったように思う。先制を許しながらも、直後に追いついたことはプラス材料と言えよう。だが後半、再び相手にリードを許したことで意気消沈の色は隠せず、さらに追加点を与えるという結果を招いてしまった。「まだ時間もあったし、チャンスも作れていたから追いつくことは十分可能なのに、ゲームを投げたわけではないけど自信なさそうな、ネガティブな雰囲気をチームとして完全に払しょくできなかった」と、川勝良一監督もメンタル面を最大の敗戦ポイントに挙げていた。飯尾一慶も「今のウチにとっては、1点が重い」と話し、自ら“1失点”以上ダメージを背負いこみ、必要以上に下を向いてしまう悪癖を指摘する。

その改善策として最も理想的なのは、言うまでもなく「先制する」ことだろう。前節でもみられたように、阿部拓馬、杉本健勇、西紀寛、飯尾といった攻撃陣は非常に充実したパフォーマンスを続けている。特に前半でみせた西の同点弾は、阿部を起点に杉本健、飯尾、西が絡んだ、実に見事なものであった。そうしたことも含め、指揮官も語っている通り、得点チャンスの形はしっかりと作れているだけに、あとは決定機で決められるかだろう。
そこでポイントとなりそうなのは、ボランチのところでの守備である。効いていた和田拓也の負傷欠場の影響が実は大きく、中盤での守備がハマらないため、どうしてもFWの阿部、杉本健も守備に加わらざるをえない。前節も、敵陣中盤で守備貢献する杉本健の姿が何度もみられていた。そうなると、いざ攻撃へと切り替わった時にスタートの位置が低く、走る距離も増えるため、負担が非常に大きくなってしまう。もちろん、FWの守備貢献もチームとして重要な任務だが、FWとしての最大の仕事“得点”ということに全精力を傾けさせることもまた、チームとして重要なことではないだろうか。好パフォーマンスが続いている中、「とにかく、点に直接絡みたいんですよ!!」と、杉本健の得点意欲は増す一方だ。それはまた、阿部も然りだろう。
この試合、DFの主軸・土屋征夫、和田の復帰も可能性としてはアリである。また、それが叶わなくとも、ボランチに高橋祥平を置くオプションも十分考えられる。両エースの思いを実現させるためにも、中盤での守備安定が大きな鍵を握っていそうである。

だが、「もちろん先制できれば理想だけど、試合ではいろんな状況が起こるから。先に失点した時のこともしっかりと想定していかないと」と、経験値の高い中谷勇介は語る。となると、やはりメンタル強化は目をそらすことのできない重要課題と言えよう。ただ、こればっかりは一朝一夕で改善するのは難しいことだろうし、「自分で鍛えるしかない」という飯尾の言葉がすべてではないだろうか。とはいえ、その中でもすぐにやれることも当然ある。指揮官は、前節の3-2に追いついた直後のシーンを例に挙げた。「あの時、ゴールに入ったボールを取りに行って、全力で走ってセンターサークルに戻した巻(誠一郎)以外は誰も取りに行こうとしなかった。それに、本当は2-1、3-1にされた時から、負けているんだからさっさとボールを取りに行って、少しでも逆転するための時間を増やさないと。3-1じゃ諦めかけてて、3-2になったからって急に勢いづくなんて調子がよすぎる」と、厳しく指摘し、取られたら『ナニクソ!』という負けず嫌いの思いを常に露わにすることの重要性を説いた。「ショックを受けてる時間が長すぎる。そんな時間はない。フリでも良いからとにかく上を向かないと」と、飯尾。立ち直りの早さが、今すぐにできるメンタル的な改善策と言えるのかもしれない。
久しぶりに喫した3失点、そして最大の武器であるヘディングで競り負けた屈辱に、深津康太は「もう絶対に負けない!」と、人一倍奮起している。失敗するごとに着実に成長を遂げている深津だけに、今節も気合いこもったDFに期待したい。

大分も、前節は千葉を相手に9試合ぶりの黒星を喫したものの、「前回からの課題を修正し、自分たちの良さが出てきたゲームだったと思う。町田戦は結果は出たが狙いとするフットボールができなかったが、今回の試合は狙いとするフットボールができたが、結果がでなかった」(田坂和昭監督)と、こちらは収穫を手にしたようだ。連動した守備とボールを奪ってからのサイド攻撃という狙いは徹底できていたと言っても過言ではないだろう。
特に、サイド攻撃は威力十分で、何度か決定機を作れていた。その攻撃の中心となっているキーパーソンが、2シャドウの一人・村井慎二ではないだろうか。機転がきき、キックの精度も非常に高い元日本代表の存在が、周りも生かし、自分も生かしながら大分の攻撃を司っている。また、右サイドの三平和司もチームトップの5得点が物語っている通り実に好調と言えよう。攻撃が始まると一気にサイドを駆け上がり、ゴール前に絡んでいく。ヘディングの強さも大きな武器だけに、東京Vとしては特に警戒すべき選手である。
前節ケガによる長期離脱から復帰し、今節は先発が予想されるチェ ジョンハン、サイド突破が鋭いイ ドンミョンなどもまた、大分の「狙いとするフットボール」を具現する存在だけに、彼らをいかに封じるられるかはこの試合のみどころとなりそうだ。

勝点「28」で並ぶ東京Vと大分。互いにJ1昇格が最大目標なだけに、もうこれ以上負けるわけにはいかない。

以上

2012.06.01 Reported by 上岡真里江
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