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【J2日記】町田:“静学の10番”先崎勝也が全体練習に合流。現在センターバックに挑戦中(12.05.31)

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(C)大島和人

谷澤達也(F東京)、狩野健太(横浜FM)、先崎勝也(町田)、杉浦恭平(川崎F)、吉野峻光(C大阪)…。皆さんは、この5選手の共通点がわかりますか?

静岡学園は高校サッカーの名門で、“技”にこだわる独自のスタイルが名高い。最初に挙げた5選手は“静学の10番”をつけていた選手で、2003年度卒業の谷澤から2007年度卒業の吉野まで、5年連続でJリーガーになった。ただし先崎選手は、まだ1試合もJリーグの試合に出場していない。大学を卒業して2年と2カ月。今月29日にFC町田ゼルビア入りが発表された、25歳の新人選手である。

先崎勝也選手は神奈川県の出身で、横浜F・マリノスJrユースから静岡学園高に進んだ。中学時代は静岡学園のことを何も知らなかったというが、当時の指導者から「お前は絶対に合う」と勧められ、いざ練習試合に出ると「やりやすかったし、おもしろいなと思って」入学を即断。高校では1年生から出場機会を得て、U-16日本代表候補にも招集される。

しかし彼は高校3年生の冬に大きな挫折と直面する。「Jリーグへ行くことしか考えてなかった」という先崎に、練習参加の話こそあったが、肝心のオファーは来なかった。国士舘大学に進むと、彼はさらに大きな試練を迎える。大学3年の秋に前十字靭帯を断裂し、これから進路が決まるという大学4年の後期には、右膝半月板が欠ける重傷を負う。
先崎は卒業後のチームが決まらないまま、大学の卒業を迎えてしまった。「リハビリをして、ある程度は動けるようになったのが10月頃。そこからは大学で練習させてもらいました」と無所属の1年を振り返る。「全く動けなくなっていて、サッカーをやめようかなと思って」相談したのが、国士舘大学のチームメイトだった小島暢明選手だ。小島選手は遠野高の10番として全国高校選手権で4強に輝いた大型MFで、当時は青森県に戻り、Jリーグを目指して活動中のヴァンラーレ八戸でプレーしていた。

「それで辞めたら後悔するんじゃない?」と、小島は先崎を説得する。ヴァンラーレ八戸の監督が国士舘大学で指導を受けた山田松市氏という縁もあり、先崎は東北2部の新興チーム入りを決める。昼はクラブが紹介したコールセンターで仕事をし、夜はサッカーという生活が待っていた。しかし先崎の八戸入りから3日後、彼らは東日本大震災に見舞われてしまう。リーグ戦は再開されたが、2011年度の東北リーグは震災の被害を考慮して“昇降格なし”という特例が適用された。東北2部を圧倒的な成績で制したヴァンラーレ八戸だが、昇格はならなかった。
先崎は次のステップに向かい、町田のセレクションに合格。練習生としてチームに参加していた。しかし2月上旬の鹿児島キャンプで負傷し、メディカルチェックが遅れてしまう。そういう経緯で、5月末の加入発表となった。

先崎選手は今、「人生初」というセンターバックに挑戦している。彼は183cmの長身で、エレガントな技巧派だ。泥臭さ、球際の激しさでアピールするタイプではない。本人も「どこのチームでも、守備は求められてこなかった。諦められていたと思います」と、自分のサッカー人生を振り返る。ただし町田のパスサッカーは、彼を生かし得るスタイルだ。唐井直GMは「ウチの課題である高さを持っているし、パスを出せるDFはアルディレス監督のサッカーのベースになる」とセンターバックに彼を置く理由を語る。「できれば中盤で勝負したい」という先崎選手だが、センターバック挑戦について「経験になるし、自分のプラスに絶対なる」と前向きだ。

彼にとって町田は馴染みやすいクラブだったようだ。鈴木崇文、小川巧と同学年の選手がいて、大竹隆人は国士舘大学の1年後輩。薗田淳は静岡県の国体選抜でプレーした元チームメイトだ。また田代真一、北井佑季の両選手が横浜F・マリノスJrユースの後輩にあたる。特に北井は「家も近かったので、よくサッカーを一緒にして遊んでいました」(北井選手)という幼な馴染の関係だ。北井は「身近で一番うまい人が先崎さんだった。うまいなと思っていました」「小学校の時から大きく、あの身長で足元が本当にうまかったですね」と当時を思い出す。

先崎選手は5月29日に全体練習へ復帰。「まずは90分戦えるコンディションを作ることが必要」(先崎選手)というのが現状だ。ただ彼のような技巧派が最終ラインに立った時、町田がどういうサッカーを見せるのかは今から待ち遠しい。本人も「町田はおもしろいサッカーすると聞いていたけれど、思った以上に繋ぐ。そういうサッカーは好きなので、早く試合に出たい」と出場意欲は十分だ。

以上
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