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【AFCチャンピオンズリーグ2012 広州 vs F東京】プレビュー:F東京がアジアのビッグクラブ広州恒大FCに普段着で挑む(12.05.30)

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F東京が29日、AFCチャンピオンズリーグラウンド16の舞台、広東省広州市に足を踏み入れた。ランコ・ポポヴィッチ監督は今回の旅の目的を「それ以上も、それ以下もない」と言って端的に話した。
「シンプルに勝って次にいくだけ。我々はツーリストではないし、しっかりと目的を果たすだけだよ」

負ければ、そこで敗退が決定の一発勝負。勝たなければF東京に後はない。ただし、対戦相手は、アジア最強の呼び声も高い広州恒大FC。莫大な資金力でアジアの勢力図さえも塗り替えようとするクラブだ。予算規模では、すでにアジアNo.1のクラブと言って過言ではない。そして、話題にも事欠かない。

国内の中国超級では首位を走り、ACLラウンド16へも首位通過したにもかかわらず、5月中旬にイ・ジャンス監督を電撃解任した。そして、名前を聞いただけで輝く白髪と、高い鼻に眼鏡を乗せた顔が思い浮かぶ伊達男が後任に座った。広州は、2006年のワールドカップ優勝監督のマルチェロ・リッピ氏を招聘した。新監督就任後、すでに2試合を消化。20日の青島中能戦を1-0で勝利して初陣を飾ると、25日の山東魯能戦には1−1で引き分けて国内リーグの首位を守っている。さらに、6月からはドイツブンデスリーガを制したドルトムントから多額の移籍金を支払ってパラグアイ代表FWルーカス・バリオスも加わるのだから驚きだ。

その実力は伊達ではない。チームの中心は、09、10年の2年連続ブラジル全国選手権MVPを獲得した、アルゼンチン出身のMFダリオ・コンカ。1トップのFWクリオと、突破力に優れたMFムリキ、MFガオ・リンを両サイドに配した前線をトップ下で操る。この4選手の攻撃力はすこぶる高い。残る7選手が背後を固めて、突出した個の力を前面に押し出すサッカーをしてくる。さらに、彼らを真っ赤に染まったスタジアムが後押しする。その完全アウェイの雰囲気の中、予選グループではJリーグ王者の柏さえも圧倒されてしまった。

「超アウェイ!?そのほうがいいよ。だってやりがいがあるでしょ」と、MF長谷川アーリアジャスールが、片側の口角を上げてニヤリと笑った。「きっとこれから先、あの時の中国に比べればって思える。それに強い、強いと言われるチームを相手に、俺たちのほうがいいサッカーができるってところを見せたいしね」と前向きな言葉を並べる。GK権田修一がそれに続く。「きっと、他の国の人たちは、名前や、実績だけ見たら俺たちが負けるってみんな思っているでしょうね。アウェイで何が待っているか分からない。それは、予選グループの自分たちがまいた種でもあるから。でも、その全部をポジティブに考えたい。チャレンジャーとしてアウェイに乗り込んでいける。僕たちは、思い切りぶつかっていくだけ」

そして、権田は別の形のコメントも残した。
「思い出してみてくださいよ、FC東京はずっと世界で戦うクラブを目指すと言ってきた。それが今こうして実を結んだ。これまでクラブに関わってきた人たちの願いを背負って僕たちが歴史を切り開いていける。今は、まだFC東京という名前は知られていないかもしれない。でも、いずれアジアの中で、誰もがすぐに名前が浮かぶようなクラブを目指したい。今回が、その第一歩。まだ終わりじゃない」

ポポヴィッチ監督は息を吸い込み、それを言葉と一緒に吐き出した。「お金を使ったからといって成功は得られない。質の高い仕事をしてはじめて成功を手に入れられる。ここ数年のトレンドは、いい選手を集めるためにはお金が必要だと思っている。私は、魅力的なゲームをするためにお金は必要だとは思わない。コレクティブに戦い、これが日本のサッカーだという試合をしてみせるよ」

このゲームが終われば、代表選手を除く選手たちは一時だけ緊張が解かれる。その時間が勝って英気を養うのか、それとも負けた後の気晴らしになるのか。その選択権は、自分たちの手の中にある。握り締めて離さなければいい。だからといってF東京が彼の地で“ヨソユキ”のサッカーをやるなんてことはない。ここまでどんな相手、どんな状況であっても、やり方を曲げずにきた。いつだって足元でボールをつなぎ、ゴールを目指してきた。自分たちが信じたスタイルをやり抜くことに変わりはない。きっと完全アウェイな雰囲気が、ヒリヒリとした一発勝負を一層スリリングにする。そうであったとしても、いつもの服装で、肩の力はいつもどおりに普段どおりのF東京であればいい。広州恒大がどんなに強くたって、監督がワールドカップ優勝監督のあのリッピだって、ちょっとアウェイ過ぎて嫌気が差しても怖くなんてない。明日も、変わらずF東京のいいフットボールの時間を愉しむだけだ。

以上

2012.05.29 Reported by 馬場康平
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