試合の序盤から、徹底して放り込まれる富山のクロスに愛媛は守勢に回った。前半14分には、左サイドから放り込まれてゴール前での混戦になると最後はMF木村勝太にシュートを打たれたが、これはGK秋元陽太が防いだ。さらに富山は前半24分にFW平野甲斐が、そして39分にはFW黒部光昭がビッグチャンスを迎えたが、それらも両サイドから放り込まれたクロスからだった。愛媛は次々とピンチを迎える一方で、前半はシュートゼロ。富山に早めのクロスを放り込まれ、押し込まれた愛媛は前線までボールを前に運ぶことができない。数少ないチャンスも前線で息が合わず、フィニッシュにつなげられなかった。
後半に入っても流れは変わらず、その中でチャンスをつかんだのは富山。自陣からのロングボールを黒部が競ってファールを獲得。このゴール正面からのフリーキックを、MF加藤弘堅がゴール左へねじ込んだ。失点をしたことによってようやく愛媛にもエンジンがかかり始めるかに思われたが、守備でも高い集中力を保ち続けた富山。愛媛が苦し紛れに放り込む前線へのロングボールはFW有田光希とDF福田俊介がマッチアップをしていたが、ことごとく福田が跳ね返した。しかしそこだけでなく、攻撃が行き詰った愛媛はアイデアも見せられなかった。時間とともに前線に多くの選手が張り付いたものの、富山はDF池端陽介を入れるなど落ち着いて対処。「工夫が足りなかった」と大山俊輔は肩を落としたが、可能性を感じたのはFW久場光のドリブルだけ。そこから何度かフリーキックのチャンスも得たが、最後まで愛媛は富山のゴールネットを揺らすことができず、今季ホームで初となる黒星を喫した。
一方の富山は、実に5試合ぶりの勝利。前節の福岡戦でも内容的には復調の兆しを見せていたが、この試合ではそのサッカーを90分間続けて、最後まで集中を切らすことなく待望の勝点3を奪った。「自分の役割を個人がしっかりと強い意志を持ってやり、それがチームの力にもつながって勝点3をつかむことができた」と安間貴義監督は選手たちを称えたが、勝ちたい気持ちと戦術が一致した鮮やかな完勝。次はホームに京都を迎える(6/2@富山)が、「ほっとしていてはだめ」とGK鶴田達也が気を引き締め、「臆することなくやればチャンスはあると思う」と続けたように、最後まで戦い抜くサッカーでシーズン序盤の遅れを取り戻し、反撃に転じたい。逆に試合後、愛媛のバルバリッチ監督は「大事なこのタイミングで、最悪の形での敗戦になってしまった」と怒りをあらわにしたが、連勝で勢いをつけるどころか、得た勝点はゼロ。内容を振り返っても完敗といえる厳しい現実を突きつけられた。
今後は岡山戦(6/2@カンスタ)、岐阜戦(6/9@長良川)とアウェイ連戦が続く愛媛だが、今一度チーム全員で目指すサッカーを見つめ直し、取り戻す作業が必要。前回のホーム北九州戦も含め、攻撃でも守備でも各選手が役割を果たし切れず、詰めの甘さがチームとしてのほころびにつながり始めている。昨シーズンのように勝点を奪えない状況をずるずるとひきずり、取り返しがつかない痛手となる前に、突きつけられた課題を改善することが求められる。その中で上位と引き離されないためにも、勝点3を積み重ねなければならない厳しい状況に今は追い込まれつつあるが、これは6位以内を目指すのであれば乗り越えなければならない壁であることに間違いはないだろう。
以上
2012.05.28 Reported by 近藤義博
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