見応えのあるゲームだった。互いの良さを出しきった、と言いたいところだが、京都の巧さによって岡山の良さがより多く引き出された、という方が正しいかもしれない。もちろん岡山が攻める姿勢を見せ続けたからこそ、その力は発揮できた。
試合後、岡山の監督と選手から、「京都の独特のポゼッション」という言葉を聞いた。「非常に流動的で、次々に人が湧いてくる、そして正確」(岡山・影山雅永監督)なポゼッションをする京都は、試合開始直後からサイド、中と場所を変えながらピッチのあちこちにフラッシュポイントを作り出し、何度もボールをペナルティーエリアまで持ち込んだ。しかし岡山もぎりぎりで凌ぎ、シュートを打たせる回数は最低限に抑えていた。
岡山は守備をしながらもしっかりと仕掛け、カウンターからも好機を生む。一方の京都も中央をサヌが突破するなど攻撃のバリエーションを見せていた。速い展開の中で、先制点は岡山に生まれた。前半18分。左ワイドの田所諒が、金民均とのワンツーから角度のないシュートを決めた。「僕は下手だから、毎日蹴り込んで身体に覚えさせる」と話す田所は、素晴らしい技術を持っていることを自覚して、毎日の練習をこのままストイックに続けて欲しい。
先制点の後、工藤浩平の仕掛け、チョン ウヨンのロングシュートなど、京都は攻撃に加速度をつけてきた感がある。対して岡山はプレーに雑味が混じり始めた。それを補うハードワークと、こういった現場に強い千明聖典の巧さは光り輝いたが、前半31分、京都は中央を中村充孝から中山博貴、宮吉拓実と繋いだボールを素早く、サヌが決めて同点に追いつく。さらに後半24分、右SB安藤淳からのボールを工藤がヘディングシュート。ポストに当たったこぼれ球を工藤が再び押し込んで、決勝点とした。
岡山は良いプレーで対応していたが、奪った後に奪われることが多かった。このゲームのポイントは、どちらかの巧さにあるのではなく、サッカーの本質的な部分にある。影山監督は、「もう少し寄せることは出来なかっただろうか、ボールへのプレッシャーが連続して出来ていたか」と試合後に振り返った。最終ラインの後藤圭太は、「どこかで必ず防ぐことは出来ると思う」と話す。
京都の関係者から、「各選手が2〜3人分の動きをすることが求められるんです」と聞いた。そんなタフな京都にあって、2トップの宮吉拓実とサヌは開始直後から広いエリアを走って攻撃に絡んだ。前半、岡山が先制するまでの時間、岡山の最終ラインとボランチ、ワイドの集中力は高く、シュートが打てなかったため、ストレスが溜まっていたのではないかとふと思った瞬間もあったが、全体を通じてこれだけ仕事をしていればストレスはないだろう。京都のプレッシャーは速く、2列目もボランチも様々な手段でゴールを狙ってきた。
京都はこのゲームの勝利で連勝を4に伸ばした。しかし両監督が絶賛した素晴らしい雰囲気を作り出したカンスタの1万1088人の観客は、敗れた岡山を面白く、魅力のあるチームだと思ったのではないか。長く岡山を見ている人たちは、引いて守らず、挑んでいった岡山を誇らしく思っただろう。
以上
2012.05.21 Reported by 尾原千明
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