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【J2:第15節 水戸 vs 愛媛】レポート:負のスパイラルに陥った水戸。今こそ自分たちのサッカーを信じなければならない時。愛媛は4試合ぶりの勝利!(12.05.21)

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試合後の記者会見、「(前節)鳥取戦のビデオを見ているようなゲームでした」。柱谷哲二監督は開口一番そう口にした。まさに前節を彷彿させる“自滅”で、今季初の3連敗を喫することとなった。
主導権を握ったのは水戸であった。「今週は引いてブロックを作るやり方を確認した」と愛媛FW有田光希が語るように、愛媛がラインを下げて対応してきたことで、「攻める水戸」「守る愛媛」という構図で試合は進んだ。引いた相手をいかに崩すかという前節と同じ課題を突きつけられるゲームとなった。
だが、それに対する水戸の攻撃は決して悪いものではなかった。むしろ、うまく攻めることができていた。序盤こそ前線に岡本達也が張り、鈴木隆行がやや下がった位置でボールを受けるという形が機能せず、前線で起点を作れなかったが、15分過ぎに2人の役割を変更すると、岡本がうまくボールを引き出せるようになり、小澤司や島田祐輝らとユニットを作りながら、愛媛の堅固な守備を崩しはじめる。DFライン前で起点を作り、息の合ったコンビネーションプレーで再三愛媛ゴールに迫った。愛媛DF陣の粘り強い守備に防がれ、ゴールこそ決められなかったが、「イニシアチブを取って、どのタイミングでゴールを奪えるか」と柱谷監督が見ていたように、愛媛の守備が崩れるのも時間の問題と思われた。
しかし、今の水戸を象徴する場面が訪れる。39分、それまで防戦一方だった愛媛が左サイドから攻め込み、前野貴徳がミドルシュートを放つ。そのボールがDFに当たり、反応したGKの逆に飛び、ゴールに吸い込まれたのだ。不運な形で先制点を奪われた水戸。だが、残り時間はまだたっぷり残っている。それまでの流れを考えると、十分逆転を考えられる展開であった。
だが、水戸はその1点で崩れてしまった。前節も集中力を欠いたミスから追加点を奪われた水戸。今節も失点後、チーム全体に落ち着きがなくなり、中盤でミスを連発。さらに攻め急ぐばかりに全体のバランスを欠き、DF裏に膨大なスペースを空けてしまう。当然、カウンター狙いの愛媛の餌食となり、後半はピンチの連続。本間幸司の度重なる好セーブに救われるものの、77分にCKを有田に決められて、勝負は決した。

「大きな勝利」。有田は満面の笑みを見せた。愛媛にとって4月30日以来の4試合ぶりの勝利。アウェイで今季2勝目である。特にトミッチ不在の中で勝利を手にできたことはチームにとって大きな自信となったことだろう。水戸に攻め込まれる展開が続いたが、当初からラインを下げて対応することを決めていただけに、ある程度は想定内だったに違いない。攻め込まれても崩れない守備の集中力と組織力はさすがの一言に尽きる。今後も大崩れすることはないだろう。上位争いを視野に捉える貴重な勝点3を手に入れた。

水戸はまさに負のスパイラルに陥っている。決して内容が悪いわけではない。しかし、一つ歯車が狂うと、戻すことができないのが今の水戸である。「運動量が少ない」「守備の意識が薄くなる」「パスミスが多い」。問題を挙げだしたら、キリがない。ただ、一番の問題はメンタル面だと思われる。失点後、「みんな下を向いてしまった」と岡本が言うように、明らかにプレーの質が落ちてしまった。前節鳥取戦もそうだった。「点を取られて焦るんじゃなくて、取り返せるぐらいの気持ちで戦わないといけない」という小澤の言葉の通り、失点前と同じようにプレーすることができなかったことが前節同様今節の敗因と言えるだろう。

今、最も重要なのは、自分たちのサッカーを信じることだ。昨季から貫いてきたサッカーとは何だったのかということを見つめ直し、強い気持ちで試合に臨むことが求められる。昨年の天皇杯3回戦ではリードされながらもガンバ大阪に逆転勝利をおさめたではないか。先制されてもサッカーを変える必要はない。もっと自分たちのサッカーに自信を持って、試合を進めなければならない。そのために何が必要なのか。まずはいい守備をすること。そこからいい攻撃につなげること。そして、走り勝つこと、やりきることである。その繰り返しに他ならない。
しかし、「(この状況を)変えるためには相当な覚悟と努力が必要」と柱谷監督が言うように、一度狂ってしまった歯車をかみ合わせるのは容易な作業ではないだろう。同じ選手、同じシステムで戦いながらも、これだけバランスを逸してしまうのだからサッカーは難しい。ただ、長いリーグ戦、好調ばかりではない。必ず悪い流れの時が来る。その時に立ち返るべき場所を全員が理解しているチームが上位に行くチームである。悪い時にこそ自分たちのサッカーを信じることができるかが重要となってくる。今、昨年から積み上げてきた力が問われている。
そして、自分たちのサッカーを信じるのは選手だけではない。サポーターも同じだ。ここまで水戸が繰り広げてきたサッカーに大きな可能性を感じたはずだ。3連敗を喫したから、可能性を諦めているようでは、クラブとして前進できるわけがない。水戸は昨季17位のチームであり、リーグでも運営費の少ないクラブである。そのチームが「J1昇格」を掲げて戦っているのだ。順風満帆に進むわけがない。幾多の苦難を多くの人の力を合わせて乗り越えてこそ、夢が現実となる。わずかな可能性をみんなの力で切り拓いていかなければならないのだ。今こそチームを、そして選手を信じる時。ここから水戸は強くなる。水戸に関わるすべての人がそう信じることで、選手たちは必ずこの闇を打ち破ってくれるに違いない。

以上

2012.05.21 Reported by 佐藤拓也
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