第2節以来となる攻撃の爆発。徳島は長きにわたって積もった鬱憤を晴らすかのような3ゴールで鳥取を降した。またそれぞれのゴールを生んだ形も、前節までの停滞が嘘のようなものだったと言えよう。スムーズなボール回しを展開して奪った先制点、非常に早い守から攻への切り替えを結実させた2点目、3点目と、どれもが本当に見事な流れであった。
しかしそうした素晴らしい得点が生まれたのも、選手たちが切れることなく地道なハードワークを続けたからこそ。そのことから、この勝利を手繰り寄せた何よりの要因はやはりチームとしてかいた汗であり、全員が見せた泥臭い頑張りだったと言えよう。
事実徳島は序盤から攻守両面で組織としてのハードワークを大いに披露した。まず守備についてだが、ゲーム後の会見で小林伸二監督も「個人ではなくグループで連動してボールを奪うことが今日は出来ました」と語っていたように、チームは常に狙い所を共有。意思疎通を持った追い込みを仕掛けてボール奪取していったのである。さらに、攻撃面では誰もが献身的な動きを見せていたと言って間違いない。前線でもサイドでもボールが出た先へ労を惜しまないスプリントで複数人がサポートに入り、次の繋がりを生み出そうと懸命のポジション取りを行った。
すると、その攻撃でのハードワークが待望の先制点へと結び付く。ミスのない落ち着いたボールの動かしから左サイドへ展開した38分、衛藤裕のクロスのこぼれ球を花井聖がバイタルエリアから豪快に叩き込んだのだ。前節までまでなら花井がその深い位置まで入ってセカンドボールへ対応することはほとんどなかったが、「もしかしたら来るな(花井)」と感じた背番号27の妥協ない前への侵入がゲームの優位を握る得点をもたらしたのであった。
そして迎えた後半はそのハードワークの効果がよりいっそうハッキリ。しかも勝負の大勢を決める追加点へ繋がる形で表れる。
速攻から津田知宏が取った61分の2点目は右サイドタッチライン際で上里一将が粘り強く体を寄せ局地戦を制してボールを奪取したことがスタートであったし、86分の3点目は自陣深くまで戻ってセカンドを拾ったジオゴと疲れに負けないタフなドリブルでボールの持ち出しを見せた衛藤の演出。最終的な得点の形こそドウグラスのPKだったものの、彼らのそうしたハードワークがあったからのトドメ弾であったと言うべきだろう。
いずれにしても、こうして徳島は気持ちを乗せた緩みのないプレーを全員が最初から最後まで徹底。その結果としてホームで内容ある勝利を収め、この出来には指揮官も「間違いなく変わっていくと思う」とこれからのチームの変化を確信していた。
とは言え、理想的な戦いもまだ一戦だけ。それだけに当然まだまだ安心などには至らない。「満足せずにまだまだやっていかなければ」という津田の言葉通り、徳島はこれをいいキッカケとして活かし、次節からもこのような100%の戦いを一戦一戦で続けなくては。選手たちには継続した奮起が求められる。
一方敗れた鳥取について述べると、結果こそ得られなかったが、チームに幾らかの前進が見られたのは確かであろう。事実吉澤英生監督は「ボールを動かすということに関しては、出来ている時間帯は前回のゲームよりもあったと思う」と話し、チームの組織的進歩を感じ取ったようであった。しかしながら、ここ数試合で高まっていた我慢強さをミスの発生などで突如崩してしまったことには猛省が必要なはずだ。せっかく自らのストロングポイントとして育ってきていたものなのだから、この一戦でもその成長を続けなくてはならなかった。そういう意味では徳島同様、鳥取も次節以降いい部分の継続というところがテーマとなろう。
以上
2012.05.21 Reported by 松下英樹
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