再開試合となった福岡戦、26分変則マッチを危なげなく2‐0で快勝した栃木は、中2日で迎え撃つ2位・湘南戦に向けた準備を試合翌日から行った。90分フルに戦っていないとは言え疲労は残っているはずで、「精神的に疲れたし、試合中にはアドレナリンも出たので頭も疲れた」とは“闘将”パウリーニョ。選手の疲労を考慮した松田浩監督は、トレーニングの強度を落として「いつもよりコンパクトにした」。ただ、入念な下準備が福岡戦の勝点3に直結しただけに、普段よりも一層ひとつ一つのトレーニングに質を求めることで、リーグ最多得点を誇る湘南に挑む万全の準備を整えた。やるべきことはやった。「最初の頃は手が付けられなかった」(松田監督)湘南が相手でも臆することなく闘えるはずだ。
「点を取ってくれたことが大きかったし、精神的に楽になった。本当にありがたい」
前々節の草津戦からゴールマウスを預かるGK柴崎邦博は、心の底から攻撃陣に感謝の言葉を述べた。草津戦も福岡戦も先手を奪えたことで試合を優位に運ぶことができた。アグレッシブが代名詞の湘南には、その勢いを殺ぐために先行することが今まで以上に重要であることは言うまでもない。再開試合で開始4分にゴールを奪った廣瀬浩二は言う。
「先行したら相手はどんどん前に来るし、栃木としたら守ってカウンターのスペースが生まれる。質の高いカウンターで最低でもCKが取れれば、相手を押し込むシーンが増えるはず」
ハイテンポでハイプレスを仕掛けてくる湘南に対して、まずはプレスの網を掻い潜らなければならないが、「福岡の20分間のテンポは、湘南のテンポと似ている」と松田監督が言うように、事前にシミュレーションができていることはプラスに働くに違いない。福岡戦でもゴールには結び付かなかったが、何度かカウンターチャンスは作れた。例えば、廣瀬が起点を作り、右サイドバックの荒堀謙次が抜け出た70分のシーン。相手が前掛かりになる分だけ空くスペースを有効利用し、相手に負けないダイナミックなカウンターを撃ち込み、久々に流れの中からゴールを奪い取りたい。
3連敗後2連勝で勢いを取り戻した栃木に対し、2連敗後に引き分け3つの湘南は、序盤に首位を快走した勢いに陰りが見られる。その一因を曹貴裁監督は、「思い切りがない」と分析。前節の大分戦でも後半こそ盛り返して引き分けに持ち込んだが、前半はボールを人が湧き出るように追い越す本来の姿が鳴りを潜めた。「湘南が目指すハイプレッシャーでコンパクトな中で、縦にボールを入れて味方を追い越していくというスタイル」(曹監督)が薄れつつあるが、堅守で鳴る栃木を相手に自分達のやり方が貫徹できれば再びチャレンジ精神に溢れ、若さを前面に押し出した湘南スタイルが復活するはずだ。栃木が狙う堅守速攻にハマることを恐れず、果敢に挑んで勝点3を持ち帰れるか。曹監督が重きを置く今節の栃木戦は、リーグ前半戦のひとつの山場になるだろう。
今節の湘南戦から東京V、水戸、岡山と、上位陣との直接対決が待ち構えている栃木。チャレンジロードに向けた意気込みをパウリーニョはこう話す。「昨年を思い出してもらえば分かると思うが、直接対決ではほとんど負けていない。だから、チームとして自信を持って闘える」。簡単な試合などひとつもないが、勝てない試合もひとつもない。栃木の“下剋上”第一幕は、湘南戦から幕を開ける。
以上
2012.05.19 Reported by 大塚秀毅
J’s GOALニュース
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