ヤマザキナビスコカップで得た勢いを清水にぶつける。リーグ戦では3試合勝ち星のない浦和だが、16日に行われた川崎F戦で3−0と快勝したことでチームのムードは明るい。槙野智章も「リーグ戦では勝てていないけど、これでエスパルス戦にいい形で入れる」と力を込め、週末の試合が待ち遠しい様子だった。
結果だけでなく、内容的にも完勝だったことで選手たちは自信を深めている。柏木陽介は「自分たちのやりたいサッカーができていた。みんなで崩すことができたし、やりたい崩しの部分が出せていた」とイメージ通りのプレーができたと振り返る。川崎F戦を外から見ていた梅崎司も「やりたいサッカーがすごいできていたし、得点シーンもきれいだった。外と中のメリハリがしっかりしたいい攻撃ができていて、見ていて楽しかった」と話す。
無論、快勝劇のなかでも課題はあった。特に、ボールをつないで崩そうとするなかで、技術ではなく判断のミスでチャンスをフイにするシーンが何回かあったのはもったいなかった。ミハイロ ペトロヴィッチ監督もその点を反省の材料と捉えており、「3人くらいの選手がフリーで走っているにもかかわらず、相手の選手がケアしている1人の選手にパスを出して取られてしまうシーンがあった。そういう部分では、もっと視野を広げ、正しい選択をするようにもう少し改善していかなければいけない」と試合後に苦言を呈していた。そして川崎F戦翌日の練習ではさっそく修正のメスを入れ、ミニゲームで同じようなシーンが出た瞬間に指揮官はゲームをフリーズさせて判断の拙さを指摘し、選手たちに改善の意識を植え付けていた。
清水戦はそういった課題が改善されているかどうかを見るいい機会になる。清水は前節引き分けに終わったものの、それまでは3連勝と波に乗っており、現在リーグ戦4試合負けなしで2位。また16日のヤマザキナビスコカップ・神戸戦もアウェイで2−1と競り勝っている難敵だ。浦和としてはそういった相手に狙い通りのプレーを見せることができれば、さらに自分たちのスタイルに自信を持てるだろう。
清水は攻撃時には前線の3枚、とりわけ両ウィングの大前元紀、高木俊幸が流動的に動き回って守備をかく乱し、インサイドハーフの河井陽介、アレックスも前線と後列の橋渡し役としていろんなところに顔を出す。サイドバックもチャンスと見るや攻撃に関与する。そして守備ではボールを失った瞬間に積極的に前からボールを奪いにいく。今節は守備の要である岩下敬輔を出場停止で欠くが、球際の強さ、プレッシングの連動性はJリーグでも屈指のレベルにある。清水は試合の主導権を握るため、攻守に渡ってリスクを怖れずにアクションを起こす勇敢なチームだ。
だが、浦和にとって噛み合わせ的には戦いやすいタイプではある。浦和は引いて守りを固める相手を苦手とするが(もっとも、世界を見渡してもそれを苦にしないチームの方が稀ではあるが……)、今のスタイルだと前に出てくるチームには持ち味を発揮しやすい。「大宮や新潟みたいに引いて守りを固められるよりも、ハイプレスで来てもらった方が自分たちのサッカーはできると思う」と槙野も話す。
磐田戦のように質の高いプレッシングをかけられると後手を踏むこともあるが、プレスの網をかわせればチャンスが大きく広がるだけに、チャレンジのしがいはある。清水のプレッシングのレベルも高いだけに、球際の攻防は試合の見どころの1つになりそうだ。
以上
2012.05.18 Reported by 神谷正明
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