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【ヤマザキナビスコカップ 大宮 vs 札幌】レポート:追加点の遠い大宮。終盤に安定を欠き、前田俊介の個人技に勝点2を逃す。(12.05.17)

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互いにリーグ戦とはメンバーを大幅に入れ替えて臨んだ一戦は、ともに1ゴールずつを挙げてドロー決着。終了間際に追いつかれた側にとっては勝点2が逃げて行った、追いついた側にとっては勝点1をもぎ取った……ということになるが、大幅にメンバーを入れ替えた以上、その入れ替えたことによる目的をどれだけ達成できたかも重要だ。その意味では、より大きな収穫を得たのは札幌のほうだった。

大宮は直近のリーグ戦第11節に対し江角浩司、渡部大輔、金 英權、鈴木規郎、上田康太、金久保 順、ラファエルの7人、札幌は奈良竜樹、荒野拓馬、砂川 誠、内村圭宏、榊 翔太、大島秀夫の6人がスタメン起用された。当然、互いに不安はあるが、それがより大きかったのは札幌だろう。「DFラインの真ん中の2人と、ボランチの2人がすべて10代の選手」(石崎信弘監督)という思い切った布陣で、受けに回るのは危険と見たか、「監督からは、とにかくFWからどんどんプレスをかけていけと言われた」(大島秀夫)通り、激しいハイプレスを敢行した。それは大宮の苦手とするところでもあり、序盤の大宮はラファエルめがけてロングボールを入れるしか手がなかった。

一方大宮の布陣は、「攻撃ができるシステムとメンバーで構成」(鈴木淳監督)されたため、こちらも引いて受けるのは得策ではない。「(ボールを)取られた最初はプレスに行こうと話していた」と菊地光将が言うように、それまでのリーグ戦での戦い方に比べれば、多少は押し上げて高い位置から取りに行った。当然、札幌も大島めがけてのロングボールが多くなったが、札幌は最初から「大島にポストプレーさせる」(石崎監督)ねらいだったため、どちらかというと札幌ペースといえた。ただ札幌の攻めは単調で、前線にボールが入ってもアイディアと連動性に乏しく、右サイドバックに入ったジェイド ノースのクロス以外に試合を通じてチャンスらしいチャンスを作れなかった。

そうしてゲームが落ち着いてくると、次第に札幌の勢いが衰え始める。「前から追っているのに、後ろがついてこなくなった」と大島が振り返ったように、若いボランチコンビが自重の色を見せ始める。同時に、上田とカルリーニョスという、ともにボールを動かせる大宮の2枚のボランチが巧みに下がってビルドアップし、大宮がポゼッションで主導権を握る。ただ大宮も、ワイドにボールを動かして札幌の守備を広げ、間にボールを通していくものの、「最後に入ったボールに対しての連動性と精度」(鈴木監督)が不足していた。

とはいえ大宮にしてみれば、決定機は少ないもののその直前までは行けており、ゴールはいつでも取れそうに思えたし、逆に点を取られそうな感じもあまりなかった。そして53分、この日何度も素晴らしい弾道のボールを供給していた金久保のコーナーキックに金 英權が合わせて先制。その後も大宮がボールを支配して札幌を押し込み続け、勝負あったかに思われたし、実際に追加点が取れていればその通りになっただろう。しかし大宮の悪い癖で、優勢にあるときの攻撃に鋭さと迫力を欠いた。守備も、主体的にボールを奪うというより、相手のミスを待つといったのんびり感が漂っていた。もちろん実際に、札幌がミスしてボールを渡してくれていたわけだが。

互いに間延びして、「攻めて攻められて」(鈴木監督)という状態。それも、指揮官が過去に何度となく指摘してきた、「何となく攻めて、何となく守れている」状態が続く。もちろんそのまま試合を終わらせられれば悪くはないが、札幌も手をこまねいてはいない。榊に代えてボランチに芳賀博信を投入すると、それまでややぎこちなく安全第一に終始していた札幌のパス回しに、リズムとダイナミックさが加わった。そこへ前線でパスを受け、仕掛けられる近藤祐介と前田俊介を次々に投入したことで、次第に大宮の守備の安定感が失われ始める。そして88分、ジェイド ノースのクロスのクリアを上田と渡部がお見合いし、それを近藤、砂川とつながれ、最後は前田の素晴らしい個人技によって札幌が同点に追いついた。

直近のリーグ戦第11節・鳥栖戦に続いて、大宮はリードしながら終了間際に追いつかれた。その流れの悪さもさることながら、これまで出場機会に恵まれなかった選手を交代枠まで含めて多く投入した割に、もともとレギュラーだった金 英權を除けば、レギュラー組を脅かすほどの存在感を示せた選手がほとんどいなかったことが、試合後の後味をさらに苦いものにした。これでヤマザキナビスコカップ予選リーグは、消化試合数が一つ少ないとはいえ、勝点2の6位。残り3試合をすべて勝っても決勝トーナメント進出は難しい状況になった。

一方の札幌は、期待された荒野、榊のU-19代表コンビは物足りなかったものの、大島、砂川、芳賀らケガから復帰したベテラン勢がその力をしっかりと証明した。終了間際に勝点1を奪った以上に、そのことが何よりの収穫だろう。札幌も残り全勝しても勝点10までしか届かず、グループリーグ突破は難しいが、今はリーグ戦で尻に火がついている状況だけに、この勝点1を何としても浮上のきっかけにしたいところだ。

以上

2012.05.17 Reported by 芥川和久
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