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【ヤマザキナビスコカップ 神戸 vs 清水】レポート:ゴトビ・マジックで清水が快勝。神戸は“収穫”多き敗戦。(12.05.17)

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「シュートは大胆に、でも冷静に」。
神戸の安達亮ヘッドコーチが出したハーフタイムの指示の一つである。ヤマザキナビスコカップ神戸vs清水は、この言葉に全てが集約されるようなゲーム内容だった。

前半のシュート数は神戸7に対し、清水4。前半14分に清水は小林大悟が鍋田亜人夢へスルーパスを通し、GKと1対1の決定的な場面を作った。このチャンスを神戸のGK嘉味田隼に阻止されると、清水はほとんど決定機らしい決定機を作れず、神戸にゲームをコントロールされてしまう。

一方の神戸は、復帰した河本裕之が清水のFWジミー フランサを抑え、相手DFラインとGKの間に落ちる効果的ロングフィードを送り込む。それをトップの小川慶治朗が走り込み、そのままシュートまで持ち込むか、または小川の競った後のセカンドボールを森岡亮太が拾って多彩に展開していく。これを軸に、朴康造や田中英雄がからみ、左サイドバックの林佳祐が持ち味のクロスで攻撃にアクセントを加える。神戸は比較的に高い位置での勝負に持ち込み、田中が「前半からボールを奪ってからのショートカウンターは決まっていたので、本当にあそこを決めるかどうかの差だと思います」と振り返るように、いいリズムで攻守がかみ合っていた。

前半26分過ぎには、清水のセンターバック岩下敬輔からボールを奪った小川が、GKと1対1の場面を作る。だが、これを清水の山本海人にシュートブロックされ、その直後に小川は都倉賢と交代。安達ヘッドコーチはこの交代の理由を「決めないとダメでしょというところです。いま僕らの置かれている状況はそういうところなので。それを外して、そのままグラウンドには置いておけない」と述べた。結果にこだわる安達ヘッドコーチらしい決断だったと言える。

ともに無得点で迎えた後半は、立ち上がりから清水のパスワークが機能しはじめる。「もっとパスをつないで相手を疲れさせること」というアフシン ゴトビ監督のハーフタイムの指示通りの展開。そして試合は動く。

後半10分。このゲームが復帰戦となった清水のMF杉山浩太が、右サイドを駆け上がる吉田豊へスルーパスを通す。それを吉田がファーへセンタリングを上げ、走り込んだ小林が頭で合わせて先制。これで流れはさらに清水へと傾くかに思われた。が、後半17分に神戸が“ある選手”をピッチに送り込んだことで、流れを引き戻す結果となる。ある選手とは、5月11日に「第2種トップ可」の登録を済ませたユースの松村亮だ。
17歳の松村は今年2月の鹿児島キャンプにも帯同し、テストマッチにも出場していたユース年代期待のMF。細かいボールタッチと切り返しの速さを持つドリブラーで、GK嘉味田は「神戸のメッシ」と評す。その松村が入って早々に結果を出した。

後半19分に田中がドリブルで相手DFを引き付け、左サイドに走り込んだ松村へスルーパスを通す。それを松村が一度切り返しを入れてコースを作り、冷静にゴールネットを揺らした。このゴールで小川慶治朗の持つチーム最年少得点記録(18歳3カ月16日)も更新した松村は、その後も持ち味のドリブルで再三チャンスを作りだした。いつしか彼にボールが渡るだけで観客席から歓声も上がるようになる。若手を積極的に起用するヤマザキナビスコカップならではの楽しさが、この日のホームズスタジアムにはあった。

ただ、ゲームを制したのは清水だ。神戸の松村に同点弾を許した4分後の後半23分に大前元紀を投入し、後半30分には高木俊幸もピッチへと送り込む。今や清水の2枚看板となったアタッカーを入れることで、ゴトビ監督は追加点を狙いにいくという明確なメッセージを選手たちへ送った。そして後半38分、大前がバイタルエリアでDFを引きつけた後、絶妙のタイミングで左前の高木へスルーパスを通す。それを高木が決めた。ゴトビ監督の采配が的中したこのゴールが決勝点となり、清水がヤマザキナビスコカップ3連勝を達成。試合後の会見では「高木、大前もいいタイミングで代えられたと思いますし、彼らがいいゴールを決めてくれた。良かった点は選手を入れたタイミングだけではなくて、2人がいいプレーをできていたことだと思います」とゴトビ監督は満足気に笑った。

逆に神戸の安達亮ヘッドコーチは渋い表情で「決定機が何度かあって、そこを決められなかったのがいつもの課題というか、そういうゲームになってしまったのが残念」と試合を振り返った。結果的に、ハーフタイムの「シュートは大胆に、でも冷静に」という指示は、実を結ばなかったことになる。
だが、初出場の嘉味田隼の活躍、河本裕之の復帰、林佳祐の躍動など、なかなか出場機会の少ない選手を見極めるという意味では、収穫の多いゲームだったと言えるだろう。
また、2種登録の松村に関しては、ハーフタイムの指示通り“大胆で冷静”なゴールも決めている。本人は「2点目のチャンスを決められなくて、自分のせいで負けたと思っています」と悔しさをにじませたが、神戸サポーターにとっては楽しみが一つ増えた記憶に残る一戦になったのではないだろうか。

以上

2012.05.17 Reported by 白井邦彦
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