この一戦は、鹿島アントラーズ・ジョルジーニョ監督の言葉を借りれば、「サッカーファンとすれば、実に見応えのあるゲーム」。計5得点、逆転と再逆転が交差するシーソーゲームにスタンドが大いに沸いた。
鹿島は、中盤、前線を中心に、ターンオーバーとも言うべき選手起用で、若手中心の布陣を配す。横浜FMはベテラン数人を温存させ、ダブルボランチ2人をリーグ戦の前節から入れ替えてはいるが、必要最小限のカスタマイズだった。やはり、予選リーグ突破の可能性を残すため、「白星」をより意識した布陣だったと言えるかもしれない。
鹿島は16分、中澤佑二のバックパスをカットした岡本英也がGKと1対1の絶好機を迎える。しかし、飯倉大樹の左足一本のスーパーセーブに防がれる。これを境に流れは横浜FMへ。24分には齋藤学が初速から一気に加速するドリブルで左サイドをぶち破る。3人のマークを引き剥がして、中へパス。しかし、この決定機をゴール前で待ち構えていた大黒将志が、空振り。
それでも、いい流れは続き、36分に先制点が決まる。速攻から小野裕二が縦パスを送り、走り込んだ齋藤が倒され、PKを獲得。兵藤慎剛が冷静に沈めた。だがその後、畳みかける攻撃は見られず、全体的にラインが下がってリトリート。その戦況を見た時、後半に派手な撃ち合いになるとは知る由もなかった。
後半スタート時から鹿島が動く。遠藤康、柴崎岳を同時投入。この交代により持ち前のビルドアップに、推進力がプラスされる。58分、遠藤がいきなり結果を出す。カウンターから、重心の低いドリブルでDFの壁を切り裂き、エリア内で左シュート。相手の中澤に「あの相手の1点目が悔しい」と言わしめるゴールで同点とした。鹿島は勢いそのままに、68分にジュニーニョが逆転ゴールを奪取。1点目同様に逆襲から、新井場徹のドリブル突破、本山雅志の素早いダイレクトパスを経て決まった爽快な一撃だった。
ところが、試合はまだ動く。その原動力は、71分に鹿島ゴール裏のブーイングを浴びながらピッチに立った、マルキーニョスだ。ゴール前のポストプレーで、大黒らへパスを供給し、チャンスを広げる。また、62分に途中出場していた中村俊輔も広角なパスで相手を揺さぶり、再び横浜ペースへ。
再同点は、相手DFが下がり出し、縦パスが入り出した83分に迎える。相手GKのファンブルを齋藤が見逃さず、ハイエナのごとく、こぼれ球に食らいつき、プッシュ。これでホーム、ニッパツ三ツ沢は一段と活気づき、3分後に大黒が左足を振り抜き、再逆転に成功した。
なお、古巣と初対戦したマルキーニョスは試合後、鹿島のロッカールームまで出向いて、一時代を築いた仲間たちと談笑。その後、古巣との試合について聞くと「若干、不思議な感じがした」と笑みを浮かべたが、続けて「今度はF・マリノスで自分の名前を残したい」と言った。その端正な顔は、真剣そのものだった。
以上
2012.05.17 Reported by 小林智明(インサイド)
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