直近の対戦となる2011年シーズンＪ１第25節では、５−４という壮絶な撃ち合いを繰り広げた、Ｃ大阪と広島。その顔合わせが、ヤマザキナビスコカップの舞台で、今季初めて実現する。今回も、2012年シーズンＪ１で得点ランキング１位の佐藤寿人（広島／９ゴール）と２位のキム ボギョン（Ｃ大阪／７ゴール）という互いに決定力の高い選手を擁するなど、攻撃的なタレントがひしめくだけに、ゴールショーの予感が漂う、見応えのある試合が展開されそうだ。

今季のヤマザキナビスコカップではＡグループに属するＣ大阪と広島。互いに１試合消化が少ないなか、Ｃ大阪は１勝１敗の勝点３で３位、広島は１分け１敗の同１で最下位というのが現状。７クラブ中上位２クラブに与えられる決勝トーナメント行きの切符を得るためにも、ここからの４試合、ともに負けは許されない。Ｃ大阪のセルジオ ソアレス監督も「今までと試合に臨む気持ちはまったく変わらない。とにかく勝ちにこだわる」と、勝利への強い意気込みを示している。

ただし、その一方で、45歳のブラジル人指揮官は「それだけではなく、選手の状況、コンディションというものも考えながらやっていきたい」というコメントも残している。今回のヤマザキナビスコカップは、Ｊ１リーグ戦の間、ミッドウィークの16日（水）に行われるもの。８日間で３試合というタイトな日程を考えつつ、状態のいい選手を積極的に起用することで、チームの総合力を上げたいという意図も、Ｃ大阪にはある。これは広島にも共通することだろう。実際に、同じく週の半ばに組み込まれていたヤマザキナビスコカップ第３節では、直前のリーグ戦からＣ大阪が３人、広島が４人、先発を入れ替えて臨んでいる。

リーグ戦ではここ３試合で１分２敗と苦しんでいるＣ大阪。しかし、Ｊ１第11節清水戦では、２位と好調な相手を、あと一歩で倒すところまで追い込んだ。残念ながらラストプレーでゴールを奪われ、敵地で勝点２を失う悔しい引き分けに終わったが、「チーム自体もちょっとよくなってきている」と山口螢。セルジオ ソアレス監督も「清水戦では、『チームを立て直すぞ』、『やるべきことを思い出してやるぞ』という気持ちが、選手から存分に見られた。そこはすごく手応えを感じている」と、チーム状態は上向き。さらに、クラブ生え抜きで、約２年半ぶりに今季から復帰した柿谷曜一朗がＪ１初得点を決めれば、吉野峻光、金聖基が公式戦でデビューするなど、明るい話題も多い。
そして、Ｃ大阪は今週２試合をいずれもホームで戦えるアドバンテージも有している（19日柏戦は長居で開催）。「ここ（広島戦）でしっかり勝って、次のリーグ戦でもしっかり立て直したい。ホームでやれるので、サポーターもいっぱい来てくれますし、自分らが上にいくには、もってこいの２試合」と山口も言うように、この２連戦は、Ｃ大阪にとってＪ１リーグ戦でも、ヤマザキナビスコカップでも、大変重要なものとなる。

対する広島は、直前のリーグ戦では横浜FMに１−３と苦杯をなめたものの、Ｊ１リーグ戦では仙台、清水に次ぐ３位と好調。それに、ユース所属、２種登録のＭＦ野津田岳人がリーグ戦５試合、ヤマザキナビスコカップ１試合に途中起用されるなど、若手の台頭も目立つ。このヤマザキナビスコカップでは、メンバー編成も注目だが、Ｊ１で２位タイの得点を誇る攻撃力を、どこまで出せるかも見どころ。「90分間闘う姿勢を見せることはブレていない」と、横浜FM戦後の会見では、チームの戦いに自信を示した森保一監督。Ｃ大阪にとっては、やっかいな相手であることは間違いない。

2010年のＪ１復帰以降、Ｃ大阪はリーグ戦で３勝１分けと広島に負けなし。果たして、この相性どおり、Ｃ大阪がホーム、キンチョウスタジアムで勝利の凱歌をあげるのか。それとも、08年のＪ２のときに３連勝、ヤマザキナビスコカップ過去２戦２勝というデータも持つ広島が敵地で白星を奪いとるのか。16日19時キックオフの試合が待ち遠しい。

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2012.05.15 Reported by 前田敏勝