７クラブで争われる予選リーグの第４節。ここまで大宮は２試合を戦って１分１敗で暫定５位。予選リーグ突破のために鈴木淳監督は「３勝はしないと難しい」とし、「札幌戦はどうしても勝ちにいかなければならない」と語っている。札幌は３試合を終えて１勝２敗の暫定４位だが、カップ戦での順位よりもリーグ戦での１勝１分９敗という成績から見て、大宮にとっては文字通り『絶対に勝たなければならない相手』ということになる。

両者はリーグ戦第８節に大宮ホームで戦い、２−１で大宮が勝利している（ /jsgoal_archive/game/2012/20120100010620120428.html ）。戦力と順位から見れば主導権を握って攻めるかと思われた大宮が、「前節のダービーでメンタルもフィジカルも疲弊していたため、守備的にゲームを進めた」(鈴木監督)ため、札幌はボールを回して攻めることができ、シュート数でも大宮を上回ったが、攻撃での精度不足と「守備でのイージーミス」(石崎信弘監督)という課題を露呈した。
ゴールデンウィークの連戦から１週間空いて、また連戦。予選リーグ突破のために勝たなければならない大宮が、過密日程も考慮した場合、前回の対戦と同様に、低い位置でブロックを作って守備的に戦うことは間違いない。ただメンバーに関しては、「今のところ選手たちに疲れはないが、また次のリーグ戦が中２日でやってくることを考えると……」と、指揮官は逡巡するところがあるようだ。このところ精彩を欠いている東慶悟を休ませ、ラファエルと長谷川悠の２トップで臨む。もしくは、直近のリーグ鳥栖戦で見せた、上田康太をボランチに入れてカルリーニョスを右サイドに回す形を試合の頭から試すことも考えられる。戦い方ははっきりしているため、現実的に勝ちにこだわりながらも、そうした組み合わせを試すだけの余裕はある。

一方の札幌は、このところの試合内容は悪くなく、直近のリーグＦ東京戦でも押していたのは札幌のほうだったが、結果に結びつかない試合が続いている。札幌にとっては週末のリーグ戦の勝点３も視野に入れて、ここまでのカップ戦同様にメンバーを入れ替え、若手を多く起用して、連戦の中、疲れの見える主力は温存したいところ。いつものメンバーでさらに熟成を図るよりも、勢いのあるラッキーボーイの出現を待ちたい。その面ではU-19日本代表に選ばれた榊翔太、荒野拓馬らの活躍に期待がかかる。

リーグ戦での対戦では、札幌が序盤は前線から激しくプレスに行かなかったことで大宮にペースを握られ先制点を奪われたが、そこからハイプレスで主導権を奪い、一時は同点に持ち込んだ。敵将である鈴木監督にも「やはり力はある。ボールを支配している時間も多いし、決定的なチャンスも作っている」と言わしめている。その自信と、若さによる勢いを持って、大宮の苦手とするハイプレスとショートカウンターを徹底できれば、札幌が試合を優位に進められるだろう。ただしその自信と勢いが、課題である精度不足とミスを補えるほどのものでなければ、そこを大宮にしたたかに突かれる危険も大きい。
１８日間で訪れた再戦の機会。札幌がリベンジを果たすか、大宮が退けるか――勝負の行方に注目だ。

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2012.05.15 Reported by 芥川和久